彼氏ができそうな時に両親に呼ばれ「そろそろ結納しよう」

私は当時、とある田舎の女子高生。
まわりは田んぼばかりで、町中みんな顔見知り。
近所は親戚だらけ。 

仲の良い濃いコミュニティだが、排他的。
そんな環境でした。
顔見知りばかりの小中学校時代を経て私は、
高校はちょっと遠くの、電車で3駅向こうの公立に
通うことになった。
それまではずーっと、血はつながってなくても
みんな親戚みたいな感覚の人にのみ
囲まれていた私に、高校生活は
いろいろカルチャーショックだった。 

みんなおしゃれ。みんなカワイくてカッコイイ。
流行に敏感。女の子がお化粧してる。
男の子は髪の毛スタイリングして眉毛細い。
みんないい匂いがする。文房具もバッグもカワイイ。
電車でたった3駅しか離れてないのに、
まるで都会みたい。

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学校帰りにスタバやミスドでお茶したり、
13でアイス食べたり。
ややこしい注文をサラっとこなす友達が
すっごくかっこよく見えた。 

それまでまわり中親戚みたいな集団の中にいて、
恋愛感情なんか持ちようもなかった私は
生意気にもサッカー部でさわやかイケメンなAくんに
初恋した。
Aくんはもちろん私だけじゃなくみんなに人気があって、
私は自分が付き合えるなんて考えてるわけじゃなく、
アイドルに憧れるような感じだった。
授業中とか寝る前にAくんと自分のさわやか
ラブストーリーwを妄想して赤面する程度の、
もうほんとアホな乙女心全開だった。 

ところで当時、私のおこづかいは3000円でした。
みんなと学校帰りに2回お茶して、
かわいい靴下買って(当時のせいいっぱいのおしゃれw)
近所の美容院という渾名の床屋に行ったら
もう終わりな額。 

そこで私はバイトしたいと
ダメモトで親にかけあってみた。
もちろん却下された。

「畑仕事手伝ったら1日100円あげるから」

と言われたけどそういうことではなく…。
ともかくバイトの話は流れた。
そうこうしてるうちにバレンタインになって、
私はAくんにみんなと一緒にチョコをあげた。
がんばって手紙なんかも添えた。
そしたら驚いたことにAくんから返事が来た。
Aくんは別のクラスなんだけど、
私とけっこう仲がいい同じクラスのCくんから
私のずれた天然っぷりやお笑いネタを
よく聞かされていたらしく

「楽しそうな子だな、いっぺんしゃべってみたいなって思ってた」

と手紙に書いてあった。
私はもう天にものぼる気持ち。
そしてAくんとスタバでお茶して、
メアド交換して帰った。 

その後はメル友として毎日メールするようになった。
内容はテレビの話とか、お笑い芸人の話とか
そんな程度だけど。

さらに月日は過ぎて私は高校2年になった。
ある日、両親に座敷に呼ばれて、
なんだろうと思いながら行ったら

「そろそろお前の結納しようと思う」 

と言われた。

は??誰と??
Aくんのことは親には言ってないし、
いやそれにしたってまだ早いし、
Aくんの気持ちも聞いてないし…とパニクっていると、
父親が話し出した。 

私の相手とは、2軒隣のB男ちゃんらしい。
私はすこしも知らなかったが、
私とB男ちゃんは許嫁らしい。
私が3歳のとき、親が決めたんだってさ。

は?
B男ちゃん? 

子供の頃からずーーっと知ってる、
弟みたいな(2つ下)B男ちゃん??
恋愛感情とか全然感じられないし、
ましてや結婚なんて無理無理無理。

パニクりながら

「ちょっと待ってよ!私まだ結婚なんていやだ!
第一私好きな人いるし!!」

と叫んだ。
父の顔色がすーっと変わったのがわかった。
父はめったに怒らないけど怒ると怖い人で、
基本的に男尊女卑の人。

田舎の男はたいていそういうところあるから、
子供の頃からいやだった。
高校に行ってから女子に優しい男の子たちを見て
目からウロコぽろぽろ落ちまくったくらい。

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父にまず耳の上のこめかみのあたりを
ガツッと殴られた。
一発で耳がキーーーンとして、
体がぐらっとなった。
それから何発か殴られたけど一発目が強烈すぎて
あとはよく覚えてない。

「もう男ができたのか!おまえはそんな女だったのか!
バイタ(?)のようなまねするな!」

って言われて馬乗りになってガンガン殴られた。
母は全然止めてくれなくて、父が
「手が痛い!」
って怒鳴っていなくなったあと

「あんた、あとからちゃんとお父さんに謝っときなさい」 

と言って部屋から出て行った。

週明けの私の顔は腫れて青黄色くなっていて、
こんな顔Aくんに見せたくない…と思ったが、
さぼるという選択肢が思いつかず、
そのまま登校した。 

登校した瞬間クラスが「どよっ」という感じでどよめいた。
私はクラスのいじられ役というか、
男女かまわずネタっぽくかまわれまくっていたので、
みんなに囲まれて

「どうしたどうした!」<

と騒がれた。
いや~お父さんにボコられちゃって…と話したら、
最初は半笑いだった皆もシーンとなってしまった。
CくんがAくんのクラスに呼びに行ってしまったらしく
Aくんまで来た。 

「見ないでよ~Aくんにだけは見られたくないんだ。
こんなんでも一応女の子だからさ」

と笑いながら言ったら、Aくんの横にいた
女友達が泣きだした。
Aくんも泣きそうな顔をしていて、
しまった、嘘ついときゃよかった…とその時になって
悟った。 

みんなに

「女の子の顔をそこまでボコるなんて変」
「だいたい勝手に結婚相手決めるのも変」
「骨は折れてないのか」

と言われ

「そういえば耳がよく聞こえない」

と答えたら

「バカっ!それを早く言え!」

と怒られ、保健室に連れて行かれた。
結局保健室の先生じゃ無理で
病院に行ったんだけど、鼓膜が破れていた。
保険証を持っていなかったので家に電話すると、
祖母(母方)が出た。

昭和生まれだけどこの話が起こった頃は平成ですw 

祖母は離れに住んでいるので私が殴られたことを知らず、
保険証持って駆けつけてくれた。
ちなみに離れには父方祖母と、母方祖母が二人暮らし。
まわり中みんな親戚なので
この祖母2人も幼馴染同士で、
気心が知れてるから同居はうまくいっていた。 

帰宅してから家族会議になった。
父方祖母は父を説教し、
母方祖母は母を説教した。

とくに母方祖母が母に言った

「おまえだって好きな人と結婚できなくて、
つらい思いしただろうが!こんな思いは自分の代で
終わらせるって、お前言っただろうが!
なんでそのことを私子のために思い出してやれん!」

って言うセリフが効いたようだ。
母は泣きくずれ、父はショックを受けていた。
父は母が自分に惚れぬいて嫁いできたと
信じていたので、自信が崩れ去ったらしい。

その後B男ちゃんに確認したら、
B男ちゃん家が私のことを許嫁と認識していた様子は
ないらしい。 

うちの父が向こうのお世辞?を
勝手にまにうけていただけだった。 

B男ちゃんも

「私子と結婚?…え、無理…」<

と犬のように目を合わせなかった。

以来父はなんだか弱々しく、
影が薄くなった。 

私とAくんは高校2年のホワイトデーから
正式に付き合うことになり、
正月のもちつきのとき家に招待したら
母と父方祖母が狂喜して、それからは
Aくん大歓迎ムードになりました。 

なんでも好きなタイプの顔らしい。
血は争えないです。
私も彼の家にお呼ばれして、
何度か食事会しました。

彼の姉に

「そらまめに似てる」

と言われて気に入られ(いじられ)ています。
次の誕生日は楽しみにしとけ!と宣言されたので、
彼の部屋にあるカタログは見ないふりして

「楽しみだあ」

と言っています。 

耳は現在、正常に聞こえます。
耳鼻科の先生には
「幸いきれいに破れてるから再生できるよ」
と言われました。

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