俺の記憶では嫁と初めて会ったのは小学校
縦割りグループ(1~6年のすべての学年から
1~3名が集まって一つのグループを作って
自由時間として活動するためのグループ割り)で
小1と小6として一緒になった
俺小1、嫁小6
俺は当時チョロチョロした子供で、
今なら多動として診断されかねないくらい落ち着きのない子供だった
一人っ子でしかも皇帝(双方の叔父叔母たちには子がいなかったため、
双方の祖父母にとって唯一の孫)で、親はしっかり俺を育てていたが、
大人との付き合いが多いせいか俺自身は年上相手でも
遠慮しないような子供に育っていた
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当然縦割りグループでもリーダーである
6年生のいうことなどまるで聞かなかった
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少子化の影響からか、小1一人(俺)に対して、
小6は2~3人という人数配置になっており、
俺たちのグループでは小6は3人(男子1+女子2)だった
そのうちの女子一人がリーダーで、もう一人の女子が
実質的に俺担当の専属保護者役となり、
常に手をつないで行動するようになった
そうしないと危なっかしい行動をするから
その俺担当の小6女子が嫁だった
あるとき図書室で活動してから階段を降りるとき、
(恐らくは勉強嫌いの)小6男子が
「俺これ飛べるんだぜ!」と10段ほどの階段を飛び降りて見事着地した
それを見た小5男子も飛ぼうとしたため、
リーダーの小6女子が慌てて止め、
飛んだ小6男子に「小さい子が真似するし危ないからやめろ」と怒り始めた
小6男子も言い返し、それが次第にエキサイトして、
見ていた小2女子が泣きそうになった辺りで
嫁が二人の同級生を止めるために割り込んだ
が、俺は嫁が手を放したのをいいことに、
この隙に助走をつけて階段を飛び降りた
小6の体格なら余裕で飛べたのだろうが、
小1の俺には高さがありすぎ、
階段はちゃんと超えられたのだが着地に失敗して
見事に転んで床(木製)で額を打った
響き渡る硬い音
息をのむグループメンバー
嫁は階段を3段抜かしで飛び降りてきて俺に駆け寄った
俺は痛みはあったと思うがびっくりして泣きもしなかったのだが、
代わりに嫁が泣いていた
その後救急車に乗せられたが、
コブが出来た以外は特に何の問題もなく、
週末だったので次の日まで1日検査入院して
月曜日には普通に登校した
その月曜日には嫁が俺の家まで迎えに来て、
一緒に手をつないで登校したのだが
年上のいうことを一切聞かない俺が、嫁には従う姿を見て、
母親は卒倒しそうなほど驚いたそうだ
俺はといえば、救急車に乗ったことを自慢げに話していたらしい
階段を飛んだ小6男子は、ガッツリ叱られたそうだが、
あとで俺のところに来て「おまえ1年なのによく飛んだな」
と笑顔で言われたので反省はしていなかったと思われる
その後は俺も学校でチョロチョロすることもなくなり、
父は冗談交じりで「息子は頭を打っておとなしい性格に変わった」
と笑っていたが、実際には俺は嫁に泣かれるのが
嫌でおとなしくなっていたのだと思う
そのまま普通に嫁たち6年生は卒業
俺は2年になり下級生ができたこともあったろうが、
「後先考えて行動するようになった(母親談)」そうだ
その後は嫁との直接の交流は一切なかった
当然だが、5学年離れているので、
地元中学校でも高校でも大学でも一緒になることはなかった
ただ、俺の母親はPTA役員や自治会役員などをやっていた関係で
同じ町内に住む嫁の情報を聞くことはあったらしい
母親は嫁を「息子をおとなしくさせた奇跡の子」、
という認識で気に留めていたのだとも思う
「嫁美ちゃん、中学校(地元の公立中学)じゃ生徒会に入ったんだって!」とか
「嫁美ちゃん、○○高校(そこそこの進学校)に合格したんだって!」とか
「嫁美ちゃん、○○大学(当時の俺でも知ってた地元の国立大)に入ったんだって!」とか
「嫁美ちゃん、○○関係の会社に就職したんだって!」とか
「嫁美ちゃん、婚約したんだって!」とか聞かされた
俺は全部「ふーん」と返してた
小学校の5学年上のイメージしかないので、
恋愛対象でもなかったし、
その後会ってないんだから思い入れも何もなかった
ただ、結婚したらこの町を出ていくんだよ~という感じで
嫁母と一緒にご町内の知人の家を挨拶して廻っているらしく、
その時10年以上ぶりに嫁に会った
実際には町ですれ違っていたり、
町内イベントで一緒になったりはしていたかもしれないが、
まともに顔を合わせたのはこのときが久々
嫁に対する感想は綺麗だとかじゃなく、「大人の女」という感じがした
ただ、小学生の時のようにまったく恋愛対象外というイメージはなくなっていた
といって横恋慕するとかそういう感じでもなく、近所の綺麗なお姉さん風だった
俺は当時大学生で、その前年ごろまで年上彼女がいたのだが
その彼女、サークル内で二股かけていた
というか、俺が浮気相手だったw
俺はショックでそっと身を引いたが、
彼女の俺様彼氏(本命)もサークル内のほかの子に手を出したりしていたため、
ドロドロの人間関係に陥っており、
それを見てめんどくさくなって俺は一切のサークル活動をやめた
その後、元カノと本命彼氏はサークル棟で大喧嘩して
物品を破壊し窓ガラスを割ったりして出禁となり、
いろいろあって元カノも本命彼氏も留年したらしいが詳しくは知らない
まあ、とにかく男も女も浮気はろくなもんじゃない、
という認識だった
幸いにも友人や趣味友に恵まれていたため、
残りの大学生活は楽しく過ごせたし、
ある意味メンヘラの気がある元カノと別れられたため
健康的な毎日を過ごせた
多少女性不信にはなりつつも、その後の就活もうまくって
恋愛系以外は順風満帆だった
あるとき久々に母親からの嫁情報が入った
「嫁美ちゃん、婚約解消したんだって」
理由は教えてくれなかったが、
ニュアンスでは相手の男がロクでもなかったらしい
さて俺たちの町は、二つの線路に挟まれた
ちょっと交通の不便な地域にある
私鉄のA駅のほうが距離的には近いのだが、
バスの本数や駅の大きさからJRのB駅を利用する人が圧倒的多数だった
俺は自転車で普段の通学にA駅を使っていたのだが、
町内のほとんどの人はバスでB駅を使っていた
歩いていけなくも無いが、ちょっと山を越えたりで1時間はかかる
ある雨上がりの日、人身事故の関係でA駅が使えなかった
仕方なく俺は、自転車を諦めてB駅から帰ることにした
時間も遅くバスが無かったうえに、タクシーは一切捕まらず、
仕方なく駅から家まで歩いて帰る羽目に
山を越えて俺たちの集落に入るあたりで、人が争う声がする
嫁と元婚約者だった
後からわかったのだが、嫁父はこの婚約者が気に入らず
(というか一人娘の嫁が結婚して家を出ていくことそのものが
気に入らなかったのかもしれないが)嫁母の反対を押し切って、
勝手に興信所を使って元婚約者を調べたそうな
すると、借金+浮気のコンボ
借金そのものはともかく、それを隠していたことと、
特に嫁父は浮気に対してブチ切れて婚約解消
嫁も嫁母も解消に同意
式場などは予約前だったこともあり、
慰謝料も特になし
話し合いの席で元婚約者親は平謝り、
元婚約者もおとなしかったらしいが、
おとなしい態度はその場だけだったらしい
元婚約者はメールや電話で嫁に復縁を迫り(というか
『僕たちの愛はこんな障害は乗り越えられるよね』、とかのロミオ系)、
嫁にケンもホロロにあしらわれると今度は執拗にストーキングを繰り返したらしい
一度は嫁父に撃退されたが、その後はB駅で待ち伏せするようになり、
嫁は素早くバスに乗るなどして逃げ回っていたが、
その日は誰もが駅から歩いて帰ることになって、
ついに捕まったようだった
嫁と元婚約者は一本道の先で争っているため、
今更迂回することもできなかった
俺はその日、元カノに「すべてを忘れてやり直しましょう」と言われて
断ったところ(俺がそこそこ良い就職先に決めたことを聞きつけたらしい)、
その件でなぜか元カノの本命彼氏に
「俺の女に手を出すんじゃない」と意味も分からずブチ切れられて
イライラしていた
その上電車は止まるし、雨が降ったり、駅から歩かなきゃならないしで、
イライラのピークに達していた
そこへ争いあう男女
怒鳴ってストレス解消!
とばかりに俺は争いあう二人のところに飛び込んでいった
二人は道に接するちょっとした広場(ゲートボール場として使われる)
の辺りに立っていて、道から数段下がったところにいた
走りながら「なにやってんだ!!」と叫び、俺はその段差を飛びこえる
ことに失敗して、転倒
雨上がりで地面が緩かったことが原因と思われる
(ちなみにマッマ作の毛糸の帽子をかぶっており怪我はなかった)
服はドロドロで俺放心状態
カッコワルー
嫁は一瞬で俺だと気付き、
駆け寄ってきた(後で聞くと「まったく同じシチュエーションだったからわかった 笑」
だそうだ)
元婚約者は闖入者にビビリつつも、
「誰だこいつ」と嫁に対してブツブツ言っていた
嫁は俺を助け起こしながら「私はこの人と結婚するから!」
と元婚約者に言い返していた
(ここで初めて俺は女性が嫁であることを知り、
状況からみて男性が元婚約者であるとわかった)
俺は頭を打ったショックというか、転んでしまった精神的ショックで
俺はボーっとしていたが、結局嫁が元婚約者を追い返す形で
言い争いは終了し、元婚約者は逃げていった
その後俺は、嫁に俺家まで送ってもらった
助けるつもりがなさけねーw
まあ助けるつもり、っていうか、
イライラをぶつけたかっただけだからバチが当たったのかもしれない
俺が風呂に入って着替えている間に、
俺母は嫁を家に上げ、礼を言い、嫁宅に連絡したりしていた
俺母はその際に嫁の陥った窮状などを聞いたらしい
後日改めてお見舞いということで、
嫁が嫁両親と一緒に俺宅を訪れた
俺父と嫁父は地元小学校の先輩後輩に当たり(俺父が後輩)、
俺母と嫁母も自治会で顔を合わせる仲なので全員が知り合いだった
父の出した酒を飲み始めた嫁父は俺の話を俺父にいろいろ聞いていた
そして「俺君は、就職活動はどうだ」「卒業したら結婚する相手はいるのか」
「卒論はどうだ」「結婚したらこの町を出ていくのか」などと聞いてきた
俺は、就職先を答えたり(地元でそこそこ名の知れた企業)、
元カノとは去年別れたとか、卒論の研究テーマを答えたりした
嫁父は酔うと顔に出るタイプですでに真っ赤だった
すると突然「俺父!(父の下の名前 子供のころから下の名前を呼び捨てらしい
自分の父親が親族以外から呼び捨てにされるのって不思議な気分)
俺君と俺娘(嫁)を結婚させよう」とか言い出した
嫁も嫁母も俺父も相手が酔っていることもあって
適当に笑って流していたが、嫁父は一応筋の通る話をしていた
曰く「ちゃんとした男と結婚させれば元婚約者の襲撃もなくなる」
曰く「同じ地元の俺君と結婚するなら結婚してこの町を出ても、
この町に関わって生きていくことになる(ので嫁父が喜ぶし、俺父も喜ぶ)」
曰く「嫁もとっさに結婚相手であると言っているがこれは嘘から出た真と言える」
曰く「まだ学生なのだから金が無いのは当然で、むしろ借金が無いだけで十分」
など言っていた
が、全員スルーのまま嫁父が寝そうになったのでこの日は解散
俺の卒業も決まり、あとは就職まで暇な時間が続くころ、
町内イベントのお手伝いなどをして過ごしていた
一応嫁父は町内の顔役なのでどこにでも顔を出すのだが、
やたらに俺に近づいてきて「娘(嫁)とは会っているか」など聞いてきていた
俺は適当に返事していたが、イベントごとに聞かれるので
次第に回数が多くなりこれは、嫁父に言ってもらちが明かないと考え出した
そこで俺母を通じてセッティングしてもらい、
嫁父をどうにかしてくれ、と嫁に直接言うことにした
嫁宅に一緒に行くはずだった俺母が、
直前になって急に忘れ物をした、とかで先に俺だけ行くことになった
それなりに近所で家もだいたい知っているので
文句を言いながらも一人で嫁宅訪問
すると、嫁母に満面の笑みで迎え入れられた
嫁も玄関で待っていて、そのまま手を引かれて嫁の部屋に通された
(ちなみに今でもそうだが、嫁に手をつながれると逆らえない)
そこで嫁に、嫁父の暴走を止めてくれ、と言ってみたところ
嫁「そんなに嫌?」
俺「嫌とかじゃなくてそういうのは外野が言うことじゃないでしょうか」
嫁「田舎なんだからそういうこともあるんじゃない?」
俺「当事者の意見は無視ですか?」
嫁「別に本当にしちゃえばいいじゃん」
俺「は?」
嫁「私、俺君、嫌いじゃないよ」
俺「あんなカッコ悪いところしか見せてないのに?」
嫁「そういうのは気持ちの問題でしょ」
俺「俺としてはカッコ悪いの」
嫁「小学生の時にも一回見てるし大丈夫 笑」
俺「まだ働いてもいないんだから生活力のない男ですよ?」
嫁「私が稼いでるし、家に入ってくれてもいいけど 笑」
俺「それはさすがに情けないし」
あれ?話すり替わってない?とここらで気付く
俺「ちょっとまって、順番おかしくない?」
嫁「あ、そうだね 暴走した 笑」
俺「(あの親にしてこの娘あり・・・)」
嫁「俺君 私と付き合ってください」
俺「え、あ、(突然の直球に戸惑う)」
嫁「俺君、こんな年上じゃ嫌?」
俺「それは気にならないけど」
嫁「じゃあ付き合おうよ 駄目なら振ってくれていいから」
俺「俺、元カノには振られてるし(嘘ではない)
俺が振られることだってあるんじゃない?」
嫁「それは無いけど 笑」
俺「なんで言い切れるのさ」
嫁「私、一途だから 笑」
俺「それ、自分で言うかね 笑」
嫁「笑った 勝った!」
俺「・・・・負けた 笑」
嫁「結婚してとか責任とってとか絶対に言わないから私と付き合ってください」
とここで反則技の土下座
俺「こちらこそよろしくお願いします」
と土下座返し
そこからお付き合いが始まり、
俺も就職し、同棲をはじめ、嫁が妊娠
嫁「迷惑はかけませんから産ませてください」
と言われたので
俺「結婚しましょう」
と返しました
嫁は泣きだしました
嫁が泣いてるところを見たのは小6以来でした
おわり
長々と失礼しました
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