私の母の存在で、村1つの在り方と数多くの娘さんの人生が変わっていた話

私の母の存在で、村1つの在り方と
数多くの娘さんの人生が変わっていた話。
30年位前の話でフェイクもりもりなので
つじつま合わないところあったらごめんなさい。

私の母は距離にして北海道→関西くらいまでの大移動をして進学をした人。
進学先と同じ土地で就職。私の父に出会い、結婚した。
父の実家は新幹線の停まらない駅から更に車で2時間の超田舎。
田舎と言うともう少し街側に住んでいる人に
「お前らと一緒にスンナ」と言われるくらい田舎。
そして農家。

ほとんどの家庭で嫁いびりっぽいことはあったそうだが、
周りがそんな環境なので当たり前の雰囲気だった。
しかし私母はそんなこと気にしない。
ガンガン正統派にやり返し、陰で鬼嫁と言われていた。
この辺は今回の話とは関係ないので省略。

私は妹と2人姉妹。
祖父母と同居しており、実家は例にもれず農家。

スポンサーリンク

当時は学歴社会と少子化が顕在化し始めたころで、
10年ほど前から2~4人くらいの兄弟構成が多くなりつつあった。
そうすると当然ながら男の子のいない家庭が出てくる。

しかし膿家は女の子でも容赦なし。
進学先の選択肢などなく長子は農業高校一択。
農高なんて農家がほとんどだからみんな実家を継がなければならず、
婿入りしてくれる相手なんて見つからない。

私地元の農高は大変偏差値が低く
農業大学に進学するほどの学力はない人が多く
地元に戻る→結婚相手が見つからず途方に暮れる、
みたいな流れがちらほら出始めていた。
昔なら養子縁組もあったのだろうが、時代の流れでそれも難しい。

そんな中、私は母の方針で公立普通高に進学。
祖父母が何か言っていたらしいが、
父が普通高→農業大学なのでその流れでいくと思わせて了承させる。

まぁ、農業大学ならバイオ系の研究職もあるな~くらいに
思っていた高校1年生の時に父が事故で急逝した。
ここで私の人生一変。村の未来も一変。

テンプレ嫁いびりを受けていた母は
さっさと妹と私を連れて田舎を脱出。
街中で新しい生活を始める。

母は嫁いでからは農業を手伝っていたが、
実は結婚前は看護師だった。
あっという間に前の職場のツテを使って
好条件で復職。大変だったろうが、
女で1つで私たちを育て上げてくれた。

そして、村の方も異変があった。
まず私が長子なのに普通高校に進学した時点で
「そんな方法が…」状態で普通高校進学者が続出。

母がその辺の事務員よりよっぽど良い給料をもらってるのを知って、
農高に進学した女の子も看護専門に続々進学。
これは私母が仲の良かったママ友に
「学費ほぼタダ、奨学金あり、就職して何年か勤めれば奨学金返済免除」
という制度を教えたため。
農業高校→看護専門って畑違いもいいとこのように思えるのだが、
農業系は生物と化学が強かったため意外といけた。
病院側も看護師不足に喘いでいたので、割と採用してくれた。

こうして農家でいかず後家になる女の子が激減。
かわりに跡継ぎのいない農家が大量発生かと思いきや、
大地主さんが土地を買い上げて農業会社を設立。
というのも、私実家は父が亡くなった1年後に祖父も死去。

スポンサーリンク

父の他に男兄弟はいなかったため実質誰も農業をやる人はいなくなった。
その時に母は父から相続→祖父に預けてあった土地を
全部大地主さんに安く売った。

母としてはいらないものだから処分できただけで
万々歳だったのだが、これも他の農家が後に続いた。
ついでに仲が良かった大地主さん家の若夫婦に
「どうせなら会社にしちゃえば~」とアドバイス。

大地主さんとしては普通に買うより安く(身内価格で)土地が増え、
農家の三男坊などが働きに来て上手くいった。
結果として生産性が上がり、乱開発もなくなって土砂崩れなどもなくなる。
仕事にあぶれる人も、嫌な農業を押し付けられる
若い女の子もいないの良いことづくめになったそうだ。

というのを、先日行われた5学年合同の同窓会で知った私。
私にはたくましいが普通のその辺にいるお母さんだったのだが、
母に人生救われたと思っている人がたくさんいてびっくり。

地元に看護師多いな~あるあるネタが話せて楽しいな~とは思っていたし
一部が「私ちゃんのお母さんに憧れて看護婦になったの」
と言う子がいるのは知っていたが
私は地元を出てからほとんど戻っていなかったので、
まさか地元全体がこんなに変わっていたとは知らなかった。

ついでにいかず後家になっちゃってたお嬢さんたちに、
田舎の農業体験ができる民宿や田舎カフェ
地元でできた新鮮果物のスイーツを作ってネット販売とかを提案したのも母だった。

現在は農業企業に勤める若手男子と結婚した人が多いので、
いかず後家はほとんどいません。
私が地元を出る当時、これは過疎化の一途をたどって
そのうち消えるだろうな、と思っていた地元は
現在それなりに賑わい、全国版テレビで特集を組まれたり
他県の山間部が視察に来るらしい。

大地主さんちの孫(私の2個上の先輩)に

「お前の母さん、地元の女神なんだぞ。あの人いなかったらみんな路頭に迷ってた」

と言われて、今じゃただの孫バカになってる
母の武勇伝を知ってびっくりした話でした。

同窓会の後にその話を母に聞いたら
「そんなことになってたの?知らなかったわ」と。
母としては看護婦として自分の人生を楽しく生きて
テレビでやってる色んな農家の成功例を、
大地主家の若奥さんに世間話してるだけのつもりだったらしい。

ちなみに母と犬猿の仲だった祖母ですが、
距離ができたためか関係は改善。
それなりな親戚関係を築いてます。
ついでに「あの女神を産んだお姑さん」
と地元で持ち上げられ、それなりに楽しく1人暮らしを満喫しているようです。

具体的には
私(孫/跡取りの長子)が普通高校に進学させるのを許した(実際文句言いまくり)
父亡き後、母と私・妹が実家を出るのを許した(実際文句言いまくry)
母が農業をやる→私に継がせるという形でなく、母の復職を許した(実際文句をry)
実家の農地を大地主に売るのを許した(実際ry)
とかですかね。

父死亡時にも、農地を売る際にも大変な遺産相続戦争があったりしたのですが
それはここでは関係ないので割愛させて頂きます。
現在は母も祖母も良い距離感でいるので蒸し返すつもりはないようです。
ジジババ世代には祖母から愚痴られて実情を知っている人もいましたが、
現在はほとんど墓の下なのでバラす人も少なく。
知っている人は「調子いいなぁ」と思っているでしょうが
まぁ田舎の人間関係なんて馴れ合い上等なので口出しする人はいないようです。
私たちも1人残した祖母が気持ちよく住んでくれているならそれで満足です。

スポンサーリンク