専門学校行きながら、
小遣い稼ぎで新聞配達(夕刊だけ)をしていた時のこと。
中央分離帯に植え込みのある片側2車線の道路を配達中、
前方に何か建物を探してる風の
地方ナンバーな赤くて可愛らしい軽が
のろのろふらふら走っていた。

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運転席からちらちら見える頭が
綺麗に禿げ上がっていたので、
「お爺ちゃんかな?」
「どこか探してるんだったら教えてあげようかな」
くらいに思っていた。

そこに勤め先の新聞屋でも有名な
近所の成金のドラ息子が、
助手席にケバいお姉ちゃんを乗せた
青いスポーツカーで登場。
前方を行く赤い軽にアホほどクラクション鳴らし始めた。

これはさすがに可哀想と思い、
一言注意してやろうとカブを止めたら、
前の軽も止まってしまった。
それでもクラクションを鳴らし続けるので
「爺ちゃん心臓発作とか起こしてないよな?」
とか思いながら
ドラ息子の車の窓を叩くと、
突然鳴り止むクラクション。

前方を凝視して硬直する2人のバカ。
で、軽の方を見てみると

「どう見ても本職の方です。
本当にありがとうございました。」

ってド893が4人出てきてて、
速攻でドラ息子の車を囲み
ボッコンボッコン怒鳴りまくる。
「ハゲじゃないよ!スキンヘッドだよ、これ!!」
と思いながらも道の真ん中だったので、
仕方なく涙目で後続車の交通誘導をする俺。

何とか車が流れるようになった頃、
まだドラ息子の車を囲んでる893の1人から
「すまんな、兄ちゃん。
ところでこの辺に○○宿ってない?」と聞かれて、
場所を教えてあげたら
「ちょっと行ってきて、その辺にいる俺らみたいのに
ここの場所と状況説明してくんない?」と言われ、
「その後、配達に戻っても良いですかね?」と聞いたら
「良いよ、仕事中にごめんな」
(BGMは「ええ加減出てこんかオラァ!!」とかの怒声)

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この時点で怖くて泣きそう。

仕方ないので言われた通りにして
裏道通って配達に戻って、
元の場所近くまで行ったらもういなくなってた。

そのまま配達を続けて、その宿の前を通ったら、
おや?なぜだろう?ドラ息子の車が止まっているw
そしたら宿前にいた集団893(事情を説明した人達)の中に
さっきの4人を発見。と言うか、俺が発見された。

「兄ちゃん、さっきはありがとうな」と言われ
「お礼に」と剥き身で3万円くれた。
最初は断ったんだけど集団に
「良いからもらっとけ、もらっとけw」
と言われたので、有り難く頂いて立ち去った。

それから1年もしない内に
ドラ息子の家が売りに出されているのを見た。
ケバイお姉ちゃんは大学生だったらしいが、
大学を辞めてしまったらしいと風の噂で聞いた。
理由は知らない。

あんな小さくて可愛い軽自動車に、
大柄な黒服のド893が4人も乗ってたのが
結構衝撃だった。

会合だったみたいです。
宿に夕刊届けに行ったら
「第○回(組名)合同集会」
みたいな感じで案内出てました。
まだ当時は893の利用もOKだったんですよね。

その後、ホテルは
基本893お断りになったみたいです。

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