アパートに帰るとどう見ても小学生か中学生くらいの子供が裸で寝ていた

嘘みたいだけど本当の話。ちょっとだけフェイク入れる。

その日俺は焦っていた。
出勤している電車の中で、
家の鍵を掛け忘れたことに気づいたからだ。
家を出るタイミングで上司から電話があって
メモ取るのに気を取られてしまったんだ。

もし空き巣に入られたとしても、
現金とかは置いてないから損害は大したことないかもしれないが、
一日落ち着かなかった。
しかもその日に限って仕事は超需要な案件があって、
抜けることもできず(朝の電話はそれについて)
結局残業までして帰ることができたときには23時を回っていた。

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アパートに着くなり自室のある3階まで駆け上がって通路をダッシュ。
ようやくたどり着いた我が家のドアに手を掛けてドアノブを回す………。

しかし、ドアは開かなかった。鍵は掛かっていた。
鍵を掛け忘れたと思ってたけど、なんだ、しっかり鍵掛けてたのか。
あぁよかったよかった。

そう思って鍵を開けドアを開けた途端、違和感に気づいた。

酒の臭いがする。
あと、これは……女物の香水の臭い……?

まさか誰かに入られたのか……?でも鍵かかってたぞ……?
恐る恐る玄関から部屋の奥を見てみるが、
ここから見た限りでは荒らされたような形跡もない。

ちなみに俺の部屋はワンルーム。
玄関から入って通路右にキッチン。左にトイレと風呂。
通路を抜けるとリビング。
玄関から見えるのは部屋の角にあるTVくらい。
玄関から死角になる位置にはベッドがある。

ゆっくりと、なんとなく足音を立てないように奥へ進む。
と、部屋の真ん中に服が脱ぎ捨てられているのが見えてきた。
玄関側からベッドの方へ、
女性用服………?
……そして、上肌着………!?
………下肌着…………!?

なんだこれ、どうなってるんだ俺の部屋…
そう思いながらベッドの見える位置まで進んだ……

誰かいた。
人のベッドで布団も掛けずに、素っ裸で。

俺(誰かいた!?女!?っていうか裸だったぞ!?)

一瞬見たものの、衝撃的な光景にすぐに反射的に隠れてしまった俺だが、
状況を把握すべくもう一度覗いてみることにした。
言っておくが、この状況下で断じて下心など無い。

やっぱりいた。
だがその女は、150cmもないくらいの身長。
Aカップくらいの胸部。毛のない下腹部。
どう見ても小学生か中学生くらいの子供だった。

俺(なんだこれ、どうするどうする!!)
俺(誰だよ!?女!?っていうか子供!?ハッ、警察……!?)
俺(いや待て待て、今下手に刺激して叫ばれたりしたら逆にヤバくないか)

頭に浮かぶ『拉致監禁暴行容疑』という文字………。

完全に頭が真っ白になった俺は、
いかに容疑を掛けられずに穏便にこの娘を起こすかを考えようとした。
だが焦ってしまい何も思い浮かばず
アタフタしているうちに彼女が目を開けた。

ぼーっとした目でこちらを見る女。
うつろな目が段々確かになってくるとともに目が見開かれていき、
ついに俺としっかり目を合わせた時には驚愕の表情になった。

女「いやぁあああああああ!!!!!!!」
俺「うわぁああああああああ!!!!!!」

叫ぶと同時に布団で体を覆う女。
なぜかつられて叫ぶ俺。
パニクった俺は矢継ぎ早に言い訳をした。

俺「待て待て待て待てここ俺んちだから俺んちだから俺んちだから
君だれか俺知らないし知らないからここ俺んちだから今帰ってきたところだから
仕事帰りだから会社から直帰だからここ俺んちだからぁあああ!!」

女「きゃああああぁぁっぁ……………あ?」

叫びながらも俺の声が聞こえたのか、
叫ぶ声が小さくなっていきついには疑問形に。
叫んだせいか高潮した顔は、
もともと白い肌のせいで色っぽく見えた。

叫ぶのを止めた女は周りを見回した。
おそらく、間取りや作りが同じアパートのものだと気づいたのだろう。
震える声でこう言った。

女「あの………ここ………何号室ですか」
俺「ここ俺んちだからこ………あ、えっと、……305だけど」

そう応えると女は更に顔を真赤にして
布団で顔まで隠して倒れこんだ。
そこで俺もピンと来た。

俺「もしかして………あの、このアパートの住人?」
女「……………405です…………」
俺「…………」

つまり、酔っていたせいで階を一階間違えてしまい、
玄関の鍵が空いていたため部屋に入り鍵をかけ、
服を脱ぎそのまま寝てしまったと。

そういうことだったか、と安堵した俺は、
玄関のほうで背を向けて、その間に服を着てもらった。

服を着ると「すみませんでした」と言って
まだ背を向けていた俺の横を通って、玄関でそそくさと靴を履きだした。

女「あ、あの、お詫びしたいので、連絡先を教えてください」
俺「いや、べつにいいよ。」
女「いえ、お願いします」

まぁ、隣人さんだし、いいか。
携帯を取りだして赤外線で連絡先交換をするべく近づけた。

だがここで女は予想外の行動に出た。
俺の携帯をガッと掴みとると、玄関を開けて出て行ってしまった。

俺「おい!待てよ!おい!?」

信じられん。何が起きてるのかさっぱり分からん。
靴を履いていなかった俺はとっさの出来事に
すぐ追いかけることが出来なかった。
とはいえ、どこに住んでるかは分かってる。慌てることもないか。
俺はゆっくり歩いて405号室に向かいインターホンを押した。

女「どうぞ、入ってください」
俺(なんだ抵抗しないのか……?)

ドアを開けると、女はリビングにいた。

女「どうぞこちらへ」

いきなり女性の部屋に入るのは抵抗があったが、
携帯も取られてるし、おとなしく入ることにした。

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テーブルを挟んで向かいに座布団が敷かれ座るように促された。
女はずっとうつむいている。

1分くらい黙ったまま向かい合って座っていると、女が謝ってきた。

女「本当にごめんなさい。携帯お返しします。失礼なことをしてすみませんでした。」
俺「どうして携帯持っていったの?」
女「あの、その、変な写真撮られてたらどうしようと思って……」
俺「あ。」

なるほど、あられもない格好で寝ていたわけだから、
目が覚めるまでの間に写真を撮られているかもと警戒しての行動だったわけだ。
まぁもとより写真撮ったら児ポだろ。いや合法ロリかもしれんが。

俺「疑いは晴れたかな?」
女「はい。というか、わたしが勝手に入って寝てたのに、疑ったりしてすみませんでした」
俺「いやいや、仕方ないよ。じゃあ、ホッとしたらお腹減ってきたし、帰るわ」
女「お食事まだなんですか?」
俺「あぁ、仕事が忙しくてね。それじゃ」
女「あの、もし良かったら、すぐ用意するので食べて行ってください」
俺「いや、悪いし」
女「いえいえ、お詫びしたいので」

そういうとキッチンへ駆けて行った。
まぁお詫びならと、俺もお呼ばれすることにして上げかけていた腰をおろした。

料理を待つ間ようやく一息付いた俺は、ここでやっと冷静になった。
そうだ、どう見ても子供にしか見えないけど、ここワンルームだし一人暮らしだよな。
そういや酔ってたから俺の部屋と間違えたわけで……

俺「あの、失礼かもしれないけど、未成年じゃないよね?」
女「よく言われます。これでも26なんですよ」
俺「え!?俺のいっこ上!?すみません、タメ口きいてしまって」
女「いいんです。私は敬語のほうが落ち着くし、相手はタメ口のほうが好きなんです」
俺(ほんとかよ……)

15分程で料理が並んだ。ぶりの照り焼き。
きんぴらごぼう。枝豆の白和え。ワカメとネギの味噌汁。

余談だが俺は料理にうるさい。
たった15分でこれだけのメニューが出てくるのは、非常に手際がいいことが分かった。
きんぴらは常備菜なんだろう。普段から料理していることが伺えた。
ちょっと衝撃的だったのでこの日のメニューは今でも覚えてる。

俺「料理、上手なんですね」
女「上手かどうか分からないですけど、好きですね。あ、敬語じゃなくていいですよ」
俺「じゃあ、頂きます」
女「ビールでいいですか?」
俺「いや、酒までは……」
女「焼酎と日本酒もありますけど、どっちがいいですか?」
俺「……じゃあ、ビールで……(こいつ酒好きなのか……?)」

料理はめちゃくちゃ美味かった。ビールも発泡酒じゃなくて最高に美味かった。
食べている間、女は両手で頬杖を付いてニコニコしながら、俺が食べる様子を見ていた。

料理を食べ終えた俺は、お礼を言って、
女は改めて謝罪の言葉を述べて、
今度こそ連絡先を交換して別れた。

2日後の金曜日にメールが届いた。
良かったら今晩食事をしに来ないか、というものだった。
迷ったが、彼女の料理にすっかり胃袋を掴まれてしまった俺は了承することにした。

メニューはすき焼きだった。
曰く、すき焼きを独りでするのは味気ない。
ある程度の量を作らないとおいしくならない
でもすき焼きがどうしても食べたい
ということだった。

すまん、気づいてると思うが、この女が嫁だ。
書いてて違和感出てきたので以降は嫁で。

俺が卵を溶いていると、嫁がベッド横の棚をガラッと開けた。
俺絶句。酒瓶がびっしり詰まってた。
前回来た時にうすうす感じてはいたが、こいつ飲兵衛か。

嫁「どれがいいですか?」
俺「女の子にしては、すごい数だね」
嫁「あ///すみません、好きなんです、お酒」

見ていると、一本気になる酒があった。

俺「あ、これって」
嫁「北海道の地酒ですけど、知ってるんですか?」
俺「水曜どうでしょうで見た」

水曜どうでしょうのワカサギ釣りで大泉が飲んでた『大法螺』だった。
どうでしょう好きな俺はそれに目が止まった。
どうやら嫁もどうでしょうが好きで、この前北海道旅行で買ってきたらしい。

嫁が言うには目が覚めたときあまりにビックリして酔いが覚めたと。
あと嫁の体質もある。
嫁は基本的に下戸じゃない。ザルでもないけどかなり飲める。
で、焼酎飲むと速攻酔うけどすぐ抜ける。ちょっと寝たら抜ける。
ただしワインはダメ。ワインはすぐ頭痛くなる上に翌日まで気持ち悪いって言ってる。

これがきっかけで、週1ペースで一緒に水曜どうでしょうを見ながら
食事をして酒を飲むようになってしまった。
ちなみに大法螺は旨かった。

3ヶ月くらいそれが続いた頃、会社で上司と会話中にこう言われた

上司「俺、お前、最近いい顔するようになったな」
俺「え?そうですか?」
上司「おお、ニヤニヤしちゃって女でも出来たって感じだwww」
俺「いや、そういうの全然ですけどね」
上司「いやいや、隠さんでもいい。仕事にいい影響みたいだし歓迎するぞ」
俺「はぁ」

上司とのやり取りで改めて嫁を意識するようになった。
嫁はいいとこ高校生で、どうみても中学生にしか見えないくらい童顔。体型もだが。
そんなんだから全然意識していなかったわけだが、
ハタから見れば現在の入り浸ってる状況は付き合ってると言えなくもない。
嫁はどう思ってるんだろうか。
まぁ嫁と一緒にいるのは楽しい。女として見てなかったけど、可愛いのは確かだし。
なるほど、俺は嫁が好きなのか。

気づいてからしばらく経ったある日

俺「嫁。俺達の関係ってどう思う?」
嫁「どうしたんですか改まって」
俺「いや、こう頻繁に女性の部屋に男が入り浸るのはアレかなぁと思って」
嫁「なるほど。わたしは俺さんのこと好きですよ」
俺「ッ!!!ゲホッゲホッ!!」←本当に気管に入った。しかも日本酒が。
嫁「あわわわ、大丈夫ですか」
俺「いや、ごめん、そういうふうに見られてたとは思わなくて」
嫁「はぁ、鈍感なんですね。で、俺さんはどう思ってるんですか」
俺「うん、その、嫁と居ると楽しいし、ご飯も美味しいし、趣味も合うし……」
嫁「つまり?」
俺「好きです付き合ってください」
嫁「喜んで。……と言いたいんですが……」
俺「……なに?」
嫁「その、私、子供みたいだし、胸もちっちゃいし、本当にいいのかなって」
俺「あぁ、大丈夫。一回ちゃんと見てるから」
嫁「……!!」←無言でポカポカ殴ってる

というわけで正式にお付き合いすることになった。

付き合って1年後くらいの頃、俺は昇進した。
嫁が27歳。俺が26歳。
年齢もあれだし。そろそろかなって思った。

いい感じのレストランを予約して、
安いけど結婚指輪を渡してプロポーズした。

翌月には俺の両親に会うことになった。
非常になごやかに進んで嫁もホッとしていた。
まぁ唯一妹だけが
妹「お兄ちゃんって****(年下好きの意)だったっけ?」と俺に吐き捨てたが。

それでも妹は嫁に懐いて、かわいいかわいい連呼してる。
未だに実家に嫁を連れていくと、
妹「嫁ちゃんが汚されるから近付かないで****」
と当たりが強いが……。

更に翌月には嫁両親に挨拶に行った。会ってびっくりした。
嫁母さん、超童顔。超かわいい。
嫁父さん、やっぱり童顔なんだけど、かつイケメン。
この両親からあの嫁が生まれるわけだ。

和やかに食事をして、お酒も進んだ頃、
少し改まって俺から切り出した。

俺「嫁さんと結婚を前提にお付き合いさせて頂いています。
つきましては結婚のお許しを頂きたく参りました」
嫁母「(号泣)」
嫁父「(号泣)」
俺「え、あの、えっと」
嫁「ちょっと……!お父さん、お母さん!」
嫁母「(号泣)」
嫁父「(号泣)」
俺「(どうしよう……)」
嫁母「ぶすべをよろじぐおねがいじまず(号泣)」
嫁父「(号泣)」

後で聞いた話。
嫁が会って欲しい人がいると母親に告げる。
嫁母から嫁父に伝わるも、娘激ラブな嫁父が毎晩大泣き。
仕方ないので嫁母が興信所を使い俺の素性をチェック。(俺気付かず。すごいねプロは)
怪しいところもなく年収も十分。信頼できると嫁母歓喜。
嫁父をなだめて今日の挨拶に臨むも、
いざ挨拶されると嫁の小さい頃が思い出されて嫁母号泣。
嫁父はやっぱり娘がとられるのが悔しくて号泣。

そういえば式でも号泣してたな嫁両親。
俺の両親はめっちゃ笑ってたけどw

披露宴では嫁が馴れ初めを友達に話してしまったらしく、
寸劇で再現されてしまった。服は着てたことになってたけどw
実はこの馴れ初めを両親たちが聞くのは披露宴が初めてだったんだが、
やっぱり俺両親大爆笑。嫁両親号泣だった。嫁両親泣きすぎで枯れるかと思った。

ハネムーンは海外に行くスケジュール的余裕がなくて、 北海道になった。
お互いどうでしょう好きだから楽しかったよ。

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