当時23~4才。スタビなどのサイトが流行していたが、
ヘタレなオレは書き込みや返信も出来ずに眺めているだけだった。
携帯のメールアドレスが電話番号から任意に変えれるようになった頃で、
変えれるようになった夜中に起きて、自分の名前@キャリア名 に変えた。
滅多にいない名前なのに、単純だったこともあったのか
よく「ヒマならメールしよ」みたいなのがちょくちょく来た。
当時、就職氷河期で就職出来なかったので、学生時代のアルバイト先で働いていた。
楽で時給も良く、携帯触りまくり。返信もすぐにできた。
ただ、メール来るのが遠方ばかり。近ければ会って、なんて考えてたが無理。
でもまぁヒマだし男ばっかりの職場で女っ気もないから張り合いになってた。
当時写メなんかはなく、文字でのやり取りのみ。
文章の雰囲気からはちょっとヤンチャな子が多いのかな?という印象だった。
メールが長く続いた子が何人かいた。忘れられないのが四国のちょっとアホな子で、
男友達数人に流されてサレちゃった、とか時々来てた。
マジメに嫌なら嫌、って言わなきゃとか返信してたが、
周りにちゃんと言う人がいないようで、信頼され好かれてたみたいだ。
最後は愛してた、と返信あった。変な気を起こす気はないがこ
の子に会えるなら合ってみたいと今でも思う。
ある日、今の嫁から「良かったらメールしませんか?」 のようなメールが届く。
ヒマなのですぐ返信。聞くと東北という。当方は関西。
まぁこの子と会うことないだろうな、と思いつつメール開始。
メールするうちに、他のメル友と違いスレておらず、
賢くないが素直な子だとわかってきた。
別に趣味が合った訳でもないが、なんとなく気になってきた。
知らないうちに好意を抱き始めた。
電話をすることにした。メル友と電話は初めて。
お互い無言の時間が多く、訛りが強いなぁと思った。
今度は会ってみようということになった。しかしお互いの仕事やらを考えると、
頑張っても夕方に中間地点の東京で会うことになる。
その時間に会って、その日中に帰るにはごく僅かな時間のみ。
よってお泊りするしかないね、となった。
当日、緊張してお互いメールしながら東京へ向かう。
写メもないし、今のようにGoogleマップなんてある時代じゃない。
東京駅で、東北新幹線のホームにいてと頼んだのに降りてきた嫁。
電話しても現在地を正確に把握していない。顔も知らないから探しようないぞ、
と途方に暮れた時、ふと見た柱のところに1人の女の子が。
お互いに目が合い、○○ちゃん?と聞くと頷く嫁。
思ってたよりはかわいい。ところが、顔を見て逃げ出す嫁。
オレがキモかったのか?と思いつつ捕獲。
東京の街を歩きたい、というので当てもなくさまよい歩き、半蔵門の駅にたどり着いた。
そこから渋谷のホテルで一夜を過ごした。
一夜を過ごし、その後明治神宮などを観光して別れた。
嫁のお腹が痛くなるなど色々あったが、また会おうよ、
そして付き合おうとなり、同じようなデートを繰り返した。
さて、自分もいつまでもフリーターでいる訳にもいかない。
給料は良かったし楽だったが、ルーティンワークが飽きてきた。
地元に展開する小売店に就職したが、小売業特有のブラック企業。
休みも平日の週1のみ。土日祝の休みは不可。
勤務時間もシフト制ではなく長い。当然、東京なんて行く余裕はない。
彼女自身も田舎の食品工場で給料も安く、こちらまで来るのも困難。
辞めるまでの3年半くらいは会えず、
電話とメールのみの日々。今思えばよく続いたと思う。
そして退職後に会った。大阪で観光したい、というので新大阪へ迎えに行った。
第一印象は嫁曰く「太ったよね」オレ「痩せたね」だった。
その後お互いにメールや電話する日々。
今度は彼女が仕事の人間関係でしんどくなっていた。
オレ自身、マイナス思考が嫌いなところに、
日々マイナス思考な鬱々としたメールを送って来る。
アドバイスするものの、妙に頑固な所もあるのでなかなか聞き入れない。
そのうちに存在が鬱陶しく感じるようになってきた。
こちらも当時の職場でうまく行かないところがあり、
自分の中で機嫌の悪い日々が続いていた。
別れもよぎったが、この時点で数年以上経過していて、情もある。
なので距離を置こうと宣言した。
彼女にとって辛い時に、こちらの身勝手とは思いつつも
自分にも余裕がなくなっていた。
距離を置いたものの、お互いに手持ち無沙汰というか、
なんだかんだで以前ほど頻繁ではないにしろ時々はメールはしていた。
どうしたもんか、と思っていた頃に東日本大震災が起きた。
ネットで甚大な被害を知り、職場でテレビをつけると共に頭をよぎったのは嫁の事だった。
即座にメールを送ったら、あの状況下としては奇跡的にすぐ返事が来た。
私は怪我もなく大丈夫。職場はグチャグチャ。家にいる母親が気になるので帰る。
ということだった。この後、連絡がしばらくつかなかった。
やはり状況が気になるのでこまめに連絡をするようになった。
家は風呂にヒビが入った程度だが、
水道が出ないので井戸水で生活しているとか、
ガソリンの給油の行列待ちしてるとか、そういう日常会話をしていた。
ほどなく、彼女は仕事再開となり働き始めたが、
メールは以前のようにやり取りし出すようになった。
数ヶ月後、彼女の好きなグループのコンサートが関西であり、コンサート仲間と会うという。
聞くとコンサート後はお互いに解散とのこと。自分も休みの自由が利く仕事に変わっていたので
終わったらご飯食べようということに。ご飯後には彼女も(ry
また会おうね、と別れた数ヶ月後、またコンサートに来ると言う。今度は観光もしたいと。
ちょうど誕生日が近いこともあり、夜景のきれいなホテルを取り、ネックレスをプレゼント。
一応は名のあるブランド品とはいえ特に高価なものではなかったのだけれど、
元々そういう物を買うことはおろか、持つこと縁もない生活をしていたせいもあるのか、
驚いて文字通り鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしたのち、ものすごく嬉しそうな顔をしていた。
自分の中で、やっぱりこの子なのかな、との思いが湧き出しはじめた。
今思い返しても、あの時の嬉しそうな顔は死ぬまで忘れないと思う。
その数ヶ月後、また彼女はコンサートに来た。
実家に住んでいたオレだが、元々友達も多くないのに、
急に友達と遊び回り「泊まってくるわ」と言うのも辛くなってきた。
そこで、我が家には珍しい種類の大型犬がいるのでこれをダシにして、
友達が犬見たいと言ってる、ということを建前に彼女を家に連れて行く作戦を立てた。
突然に息子に電話で友達連れて家に来ると言われ、
突然の来客に不愉快な親。そりゃそうだ。
家に着くと居間に1番おとなしい犬だけがおり、
母親は別の部屋から用事をして出てこない。無理はないわな。
母親に「あのー、彼女連れて来てんけど。。」と言うと、
用事を放り出し、大阪のオバちゃん特有の好奇心丸出しでやってきた。
もう一つ、彼女を連れて来たのは別の一頭に彼女を見せたかったのもある。
この犬、人を見る目があり、なぜか二重人格や腹黒い人には噛み付くのだ。
どうか?と思いつつ彼女の元へこのワンコを連れて行くと、
家族以外には触らせない頭を触らせ愛想を振りまいた。
自分でも大丈夫だと思っていたが、触らせて愛想するまでは思わなかった。
自信は確信になった。
これで堂々と会えるようになり、プロポーズ。
小声でOKをもらった。そして結婚。
かわいい娘も産まれ3人で暮らしています。
嫁が「ネックレス絡まっちゃった」とオレがプレゼントしたのを持ってきて、
色々と思い出したのでカキコ。