嫁さんは、知り合った当時
娘を通わせてた保育園の先生
嫁「お帰りなさい、
お仕事お疲れ様です」
俺「どうも、お世話さまです」
たぶんこんな感じの挨拶
娘と二人で暮らしてたから、
一緒に家に帰ったところで、
当然、「お帰りなさい」って
返事してくれる人がいる筈もなく。
そんなもんだから、
保育園に娘を迎えにいくと、
先生方の中で一人だけ、
嫁さんだけが
「お帰りなさい」って言ってくれるのが、
なんとなく印象に残ってた。
一日中子供の相手して疲れてるんだろうに、
いつもお迎えが遅くなる俺に対してすら、
元気で明るくて、人当たりが柔らかくて、
いい人だなぁと思ったっけ
知り合った頃の先生は、
保育士なりたてで
やる気満々だったから、
うちの家庭環境に
職業意識を刺激されたとかで、
とにかく面倒見が良くて、
一生懸命だった。
そんなもんだからすぐに娘も懐いて、
うちに帰って保育園の話聞くと先生の
事ばっかり喋るようになったりして。
俺としては親身になってくれるのが
嬉しかったんで、
ある日、お礼のつもりで夕食に招待した。
先生はいつも
コンビニメニューだと聞いてたし、
娘も喜ぶし、はっきり言って
俺は家庭料理だけは得意だしね。
食事に誘ったのは100%完全に
お世話になってる
お礼のつもりだったんだけど、
いつか娘に
「先生がお母さんだったら良いのに」
的な事言われて、
「そうだなー、
お母さんになってくれると良いなー」
的に話合わせたのが
俺の知らないところで
先生に伝わってたらしく、
先生の方はそれを妙に意識してしまってた
と後になって知った。
それから、時々3人で食事にいったり
遊びにいったりする様になって、
裏表の無い性格に
俺の方も惚れてしまったという、
俺29歳、先生23歳の頃のお話でしたと。
最初の嫁さん以外の人間に
惚れてしまうなんて、
自分でも信じられなかったよ。
最初の嫁さんは、
高校の頃から付き合い始めて、
大学出てすぐ結婚した
幼馴染だったんだけどね。
まあ、昔から体弱かったから、
娘を授かった頃に大病患って、
しまいに、嫁さん助けるか子供助けるか、
みたいな状況になってしまって。
結局、嫁さん本人の意思で
とにかく第一に子供を助ける選択をした。
嫁さん、自分の意思で
俺一人に苦労をかけること、
最後の最後まで謝ってたわ。
あと、さっさと新しい女探して
再婚しろってさ。
うん、なんて言えるかってのな。
俺は俺なりに精一杯頑張って、
娘もまあ今のところ、
病気も怪我もせず優しい
良い子に育ってると思う。
親の欲目かも知れんけどね。
こっちの初めてした会話は……
昔過ぎて覚えてないわ、ごめんよ
物心ついた頃は既にそばにいたからね
と、こんな感じですわ