私の父は、
私がまだ母のお腹の中にいる頃に、
事故に遭って死んでしまった。
だから私はずっと母と2人で暮らしていたんだけど、
小学生になった頃に母が再婚し、父と4つ上の姉ができた。
もちろん母は私にすごい気を使って、
私がこのまま2人で暮らしたいならそうするよと
言ってくれてたんだけど、
父は私と全力で遊んでくれるし、姉とも本当に仲良くなったので、
何も問題なく新しい家族になった。
母が仕事を変えたから、嫌だった学童保育にも
行かなくて良くなって、あの頃はほんと幸せな子供だったと思う。
でも2年ほど経ったある日、
急に私と同い年の男の子が家族に加わった。
その子は姉の実の弟で、離婚する際に
親権が母の方にいったんだけど、その母がなんか問題を起こして、
こっちに引き取られることになったらしい。
詳しくは覚えていないんだけど、育児放棄か虐待か、
なんかそんな感じで、
弟は常にビクビクしていてよく泣く子だった。
過程としては、父が弟の実態を知り、母に相談。
母が「かわいそう!早く連れてきてあげて」
みたいな感じだったらしく、
私と姉には一切伝えられることなく、
突然弟が家に来た。
姉もずっと離れていた弟と一緒に暮らせることを
喜んでいたけど、私からしたら、弟は家族の中の異物でしかなかった。
それから、大抵のことが弟中心になった。
弟は学校を休んで、病院やら色んな所に行って、
父も母も姉も弟のことが第一だった。
あんまり騒ぐと弟が怖がるから、
と姉はあんまり遊んでくれなくなったし、
父と母も弟のことについて話すばかりで、私のことは二の次。
夕飯の時も、「学校でこんなことあったの!」
と話してもあんまり反応が返ってこなくて、
誕生日に買ってもらうはずだった犬も
「また今度」という話になった。
ここらはちょっと私の被害妄想も入ってるかもしれないけど、
私は弟のことが大嫌いだった。
父も母も姉も、常に弟に気を使って
弟が嫌だっていったことはさせなかったし、
騒いだり遊んだりすることもなかったから、
私は弟が嫌だって言ったことをさせ、
弟の前で遊びまくった。
弟が風呂に入りたくないと言えば、
あの手この手で引きずって一緒に入り、(当時低学年)、
家族が聞いてくれない学校でのあれこれを弟に話しまくり、
弟の前で一人スピードや一人おままごとをやりまくった。
そんなことをしているうちに、弟は学校に行くようになり、
自分からあれこれしゃべるようになり、
私のやりたい放題に文句を言ってくるようになった。
そのうち喧嘩もするようになり、
ゲームや遊びで競争するようになり、
学校の成績で競うようになり、結果として
よく小競り合いをする兄弟みたいな感じで育った。
私としては(当時の私視点で)甘やかされている弟に
嫌がらせしていただけだったんだけど、
弟からは「みんな俺を腫れ物扱いだったのに、
(私)だけはすごい構ってくるから、それで救われた」というし、
家族も私のおかげで弟が普通の生活を送れるようになったと信じ込んでいる。
最初は悪意100%の仕業だったとはもう
誰にも言えない。