嫁には恋愛感情というものがない

嫁には恋愛感情というものがない。
可愛くて華奢で一目惚れした。
俺だけじゃなく、
同じサークルの男どももバイトすりゃバイト先の男も。

付き合ってりゃ自分に恋してないのは自然に分かる。
でも厳しい嫁親の門限クリア、
面接クリアして付き合い続けられる奴は
限られてたから俺が残った。

恋愛感情無いのは分かってたがそれは嫁の個性で仕方ない。
他に誰かを愛してる訳じゃなく、
誰も愛していないから俺の事も愛してないが
俺に情は移ってきたと感じられたからそれで十分と思って結婚した。

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「誰も愛せないのは感情の大事な線が一本足りない、
障害だと思う。 身体の障害は見えるから分かりやすいけど、
内側の障害者だと思う」

と言われた。
充分な誠意をもらったと思って結婚した。

子供もうるさくて嫌いだし愛せないと言っていたから、
二人で平和に過ごしてた。
後から結婚した友人達が次々に出産し、
嫁は「子供産まないと」と言い出した。

厳しく過干渉支配的な嫁親に育てられた嫁には、
「人生の正しい唯一のコース」から
はずれる勇気がないのは分かっていたから(だから俺が嫁と結婚できたわけだし)
嫁が愛せない分ガキは俺がベッタリ愛してやるから大丈夫と言って子を持つ事にした。

嫁はきちんとしっかりした人間だから、
ベタベタした愛情は示せなくてもしっかり世話は
すると確信していたから、愛は俺が与えてやればいいや、
クールな母親も悪くないさ、と
思ったからさ。

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で、子供が生まれて全てが変わった。
予想に反して息子を可愛がる、そりゃもうすごく。
俺の出る幕なんて無いくらい。
自分の事は完全に後回しだ。
母親としては普通のこと何だろうが嫁個人としてはあり得ない状況だ。
俺はなんだかモヤモヤして不機嫌が続く。
嫁が言った。

「ずっと探していた物をやっと見つけた。
ずっと自分は異常だと思っていた。
こういう感情だったんだね」と。
世界中が「どうでも良いその他大勢」で
その少し上で「情」という踏み台の上に
乗っていた俺の存在なんて完全に消し飛んだ。
「ずっと探していた愛する対象」を見つけたんだからな。
どっかのクソ男と不倫のほうがマシだ。
暇つぶしか気まぐれで愛じゃないからな。
もう俺じゃ何したって届かない。

息子にも嫁にも優しくできなくていたら
「この子の良いお父さんできないなら要らない」
と離婚届突きつけられた。
焦って「良い父親頑張るから」とわざとらしくムリして息子を可愛がった。
だんだん育って息子は俺に懐き、本気で可愛いと思えるようになった。
息子にとって良い父親である限り、嫁は俺に良い妻として接してくれる。
愛してはいないが。

でもそれは嫁の障害で、
おれは納得してプロポーズしたはずで
でも俺が納得してたのは「誰も愛せない嫁」なわけで。
浮気して楽になる気にもなれん。ただ苦しいだけで。
強くもない酒がどんどん深酒になっていって、
酒癖悪くなっていって最悪。

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