が中学生の頃の話。
話の内容を地元の奴が見ればわかると思うが、まあいい。
俺は当時、DQNグループから壮絶ないじめを受けていた。
そのグループの中にリーダー格のAという奴がいた。
そいつもやはりバリバリのDQN、しかもイケメンで彼女もおり、
いつも4、5人の取り巻きがいてクラスの人気者。
かたや俺は大人しく、クラスには1人しか友達はいない。
カードゲームやアニメが好きな、いわゆるオタクだ。
でも昔から身体は大きい方だった。
このAにはよく殴られた。顔は目立つからなのか何回かしかなかったが、
身体はいつも殴られてアザだらけだった。
クラス全員の前で服を脱がされたこともあった。
本当に色々屈辱的ないじめを受けたが、
これから話す事が一番頭にきた。
ある日の下校中、いつものようにAとその取り巻きが俺にちょっかいを出してきた。
それだけだったらいつものことで我慢したんだが、その日は違った。
俺が教室で友達とカードを出して話してるのを見ていたらしく、
そのカードのことをバカにし出したんだ。
すると取り巻き(B)が俺のカバンを引っ張りだした。
俺はそれを阻止しようと必死で抵抗する。
次の瞬間、カバンが肩からかかったままひっくり返り教科書やノート、
カードが路上に散乱した。
そのカードを何枚かBが拾い上げ、川へ投げ捨てる。
爆笑するDQNたち。
俺は怒りでワケがわからなくなり、初めて怒鳴った。
「いい加減にしろよ!お前ら!」
初めてまともに抵抗した俺に一瞬静まりかえる。
が、すぐまた爆笑するDQNたち。
「こいつなにマジぶっこいてんのwwwちょーウケるwww」
それでも怒りが収まらなくて、
「お前ら全員死ね!」
と言ってやった。
すると、その言葉にAがキレた。
「おいっ!お前調子のんなよっ!」
と怒鳴りながら俺の髪の毛を掴み、殴る態勢に入る。
怖かったが俺も相当怒っていたためその時は引かなかった。
それでも喧嘩慣れしているA。
俺は簡単に顔面を殴られる。それを止めようと必死にAにしがみつく。
こめかみにひじ鉄を食らい続ける。
こんな状況なのにAは笑っている。
取り巻きが、おー!やれやれー!と騒ぎ立てる。
下校中の生徒たちで人だかりができていた。
そこで俺はさっきのカードのことを思い出した。
唯一のおれの楽しみまで奪いやがって!!!
こいつ絶対殺してやる!!!
笑いながら騒ぐDQNたち。攻撃をやめないA。Aに必死にしがみつく俺。
俺は何かがキレた。
攻撃されてるのなんかおかまいなしに、
Aの身体を思い切り持ち上げ、地面に叩きつけた。
ちょうどバックドロップみたいな感じで。
頭から地面に落ちたのか、生々しい感触が手に伝わってくる。
周りが静まりかえる。
それでもAの身体をロックして離さなかったんだが、
急にAの身体がすごい力で硬直し始めた。
最初抵抗してるのかと思ったが違った。
打ち所が悪かったのか、Aの身体は棒のようになり痙攣し出したんだ。
するとここでDQNたちが騒ぎ出す。
「おい!これヤバイ!救急車救急車!」
彼女もAに駆け寄り泣き叫ぶ。
「Aくん!しっかりして!Aくーん!!!」
ヤバいと思った。すごい怖かった。
でも先に手を出してきたのはAだし、
そもそも俺はいじめられてたんだ!こいつが死のうがどうしようが知ったことか!
正当防衛だ!
散らばった教科書やノート、カードを震える手で拾い上げ、
急いでその場をあとにした。
その日は帰ってから気が気じゃなかった。
いつものように家族で晩ご飯を食べてる時に電話が鳴った。
普段こんな時間に電話が鳴ることはないので、
もしかしたらと思い心臓がバクバクだったんだが、
やはりAのことだった。
学校の先生からの電話で、Aが病院に担ぎ込まれたから今すぐこい、とのこと。
病院へ行くと、担任、Aの両親、Aの彼女が憂鬱な顔と怒りの表情で俺を出迎えた。
結論から言うと、Aは意思の疎通もできない、
言葉もまともに喋れない障害者になってしまった。
あうあうあー
俺はというと、周りの証言から俺がいじめられていたことや、
あの日もAに一方的にやられていたことなどがわかり、
結局何もお咎めがなかった。
両親からはめちゃくちゃ怒られたが、
いじめられていたことを知ってからは複雑な表情をしていた。
…そして現在。
噂によるとAはまだ生きており、
無事に障害者の人生を送っているそうだ。
あの日からずっと障害者になってしまい、
つらいだろうが残りの人生頑張って生きてくれ。
すまないが俺は今、まあ普通の人生だが幸せに暮らしている。
最後に、どうしても俺からAに伝えたいことがある。
やったぜ。