「東京!」と書かれたダンボールを持った女性がブンブン手を振っていた

馴れ初め話してみるか。
もう大分前だけれど、ヒッチハイクが流行った頃の話。
車好きな俺は仕事が終わってから夜の峠をドライブしていたら、
中腹辺りに差し掛かった所で人影を見つけた。
手に「東京!」と書かれたダンボールを持った女性が
ブンブン手を振っていた。
たまたま開けた路肩だったので、
停めたら走り寄って来た。

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俺「こんな時間に大丈夫??」
女「すいません、明るいところまででいいので
乗せてもらえませんか!?」

聞いたらどうも乗せて貰った相手にからかわれたのか、
中途半端な中腹まで連れてこられて下ろされたとか。
車の助手席に乗せて話を聞いていたけれど。
段々怖くなったのか泣き出してしまった。
そりゃ下手すれば襲われててもおかしくなかったもんなぁ…
名古屋からずっとヒッチハイクで移動してきて
ここまで辿り着き、目的地の東京は自宅との事。
まぁこれも何かの縁かと思って
そのまま東京まで送っていった。

ただ時間も時間だった為、
東京に着いたらそのままとんぼ返りで
高速に乗らないと仕事に間に合わなかったので、
自宅まで送ったら早々に帰ってきた。
別れ際に後日お礼がしたいからと連絡先を聞かれたが、
別にそんなのどうでも良かったし
断ったものの押し切られ、名刺を渡して帰った。

後日連絡があり、わざわざこちらまで挨拶に
来ているとの事だったので、慌てて仕事帰りに
時間を決めて会った。

改めて会った時はちょっとびっくりする位に
綺麗に変わっていて驚いた。
聞けば大学1年生で、友達数人と同じような事を
していたらしい。
大学でも事の顛末を話して、友達にもちゃんと
お礼を言いに行かなきゃって言われたらしい。

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結局お茶した後に車でドライブして、
結局また都内まで送っていった
その間の数時間お互いの話をして意気投合して楽しかった。
その後も頻繁に電話やメールのやりとりをし、
仕事が休みの時には遊びに行ったりして
付き合いが始まった。

その後彼女が大学を卒業する年に
俺自身も都内に転勤が決まり、同棲開始。
そこでお互いに大型二輪の免許を取り、
一緒にツーリングにも行くようになった。

翌年の6月に結婚、入籍、
やっと子宝に恵まれ間もなく子供も産まれる。
バイクに乗れないと不満気だが、
今度は新たに車を買って家族でドライブに行こうと思う。

あの時停まっていなかったら、
きっと今でも車転がしていたのかな。

ハイカー後部座席に乗せてやったら
襲われたとか事件であるしね。
当時乗っていたのがロードスターだったのもあって、
襲われたりはないかなーなんて思ってた。
あと場所的にもあまり車が通る峠道でも無かったので
何かあったのかと思ったのもあった。

まぁそんな偶然とかが重なったからこそだろうね。

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