嫁が家を出て行った日もこんな寒い日だった。  家に帰るといつもと違ってシーンとしていた

最近は寒い日が続くね。

こんな寒い日は、つい思いだしてしまう。
嫁が出て行った日もこんな寒い日だった。

あの日、嫁が家を出て行った日もこんな寒い日だった。
家に帰るといつもと違ってシーンとしていた。
部屋の様子からすると
突然思い立って出て行ったようだった。

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嫁から電話があった。
「離婚したい。今日は帰らない。明日の夜に話し合いたい」
電話が切れたので、すぐにかけ直したがつながらなかった。

次の日、帰ってくると嫁は家にいた。
しばらく沈黙が続いたが「離婚したい」と嫁は言った。
どういうことか正直に話さなければ離婚には応じないつもりだった。
そのことを伝えると、少しずつ話し始めた。

好きな人ができたこと。その人は独身であること。
その人と結婚の約束をしていること。
だから離婚したい。
財産分与はいらない。

ショックではあった。
しかし昨日の方がショックが大きかったこともあり
昨日から考えていて、どうせ離婚になるだろうな
くらいの気持ちになっていた。

他の男に惚れている女をそばに置いておくほど広い心を持ち合わせていない。
だから離婚には応じるつもりだった。

最初に言ったのが「お前、浮気していたのか」だった。
嫁は返事をしなかった。
証拠もないことだし追及できないのはわかっているのであきらめた。

ただ、嫁の性格から考えて次の行き先が確保されていなければ
離婚を切り出すはずがない。
相手と深い関係になっているのは間違いない。

子供がいないのは不幸中の幸いだった。

・報告者の年齢職業 会社員28
・嫁の年齢職業 会社員27
・婚姻期間 2年
・子供の人数、年齢 なし

話しが終わって、もう勝手にしろという気になって離婚に同意した。
きっと俺は嫁が好きというより
俺のことが大好きな嫁が好きだったんだろうなと思う。
だから、目の前にいる嫁に対して執着しなかった。

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嫁は話し合いが終わって出て行った。
その次の日に嫁は自分のものだけを取りに来ていた。
嫁の身の回りのものだけを持って行っていたから
相手のところで生活しているのだろう。

記入済みの離婚届けが置いてあった。
メモが添えてあった。
残りを書いて出して欲しい。
離婚届を出したら連絡して欲しい。
と書かれてあった。

俺の親に離婚することを話した。
離婚届けを出した日に嫁に連絡をした。
それと同時に嫁親にも報告した。
嫁から詳しく聞いていたようで挨拶と簡単な話だけで終えた。

次の日に嫁がお金を持ってきた。200万円あった。迷惑料だそうだ。
これが2人の気持ちだと言っていた。
相手が200万払ったのか、嫁が200万払ったのか、100万ずつ払ったのか
わからないが、もし嫁が払った分があるとしたら
嫁親から出してもらったか嫁親から借りたかだな。

俺が相手のことを聞きたくないし会いたくないと言ったから
今日も1人で来たのだろう。
それ以外に俺から出した条件はたった1つ。
今後、俺と会わないこと、連絡しないこと。
これは完璧に守られている。

嫁に向かって話した。
お前、悪いと思っているから今日来たんだろ。
これが最後のチャンスだぞ。
今話しておかないともう謝罪する機会はない。
新しい生活を始めるなら心の負担を軽くした方がいいんじゃないか。

嫁は浮気したことを謝罪した。
謝罪したことは今後の嫁にとってよかったと思う。
謝罪されたことは今後の俺にとってもよかった。
そしてこの騒動があってから初めて普通に近い気持ちで会話をした。

毎日残業で遅く帰っていたこと、休日出勤や出勤でなくても仕事の準備や調べ物で
本来の休日と言えるのが月に3日くらいしかなかったことが土壌としてあって
そこに相手からの攻撃に引き寄せられたというのが原因のようだ。
「釣った魚にエサをやらない」という言葉があるけど、それだって言われた。

今は仕事を頑張らなければならない年齢だと思っているし、
それが家族の幸せにつながると思っていたからだと言った。

そんなことはわかっている。でもね・・・  嫁は黙った。

長い沈黙の後、嫁は再び謝った。
そして、これまでお世話になりましたとお礼を言って
俺が健康でいて欲しいと言った。
その後に何か言いたそうになったが言わなかった。

でも何を言おうとしたのかわかった。
幸せになって欲しいと言おうとしたと思うが
自分のしたことを思えばそんなことは言葉にできなかったのだろう。

嫁は最後に深々と頭を下げて出て行った。
これが嫁を見た最後だ。

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