交際1年半、結婚丁度一年。
嫁はいわゆるお嬢様で、
かわいい、俺にはもったいない子だ。
東京の高級住宅地を離れて、埼玉のどいなかの、
何もない俺の所に嫁に来てくれた。
狭い賃貸住宅。
会社の通勤時間は軽く4倍に膨れ上がっただろう。
でも毎日どんなに遅くなっても
毎日毎日手料理を作ってくれる。
おかずなんか1個で十分なのに、
2つも3つもこさえてくれる。
栄養を考えて、1週間の献立をあらかじめ考えて表などにして、
無駄が無いように節約してくれている。
そんな嫁に突然変化が。
家に帰ったら部屋は真っ暗。
ベットに膝を抱えて嫁が小さくなっていた。
するとおもむろに嫁が
「もうできない!いい奥さんになれない!毎日ご飯も洗濯も掃除もできない・・・
もっともっとやらなきゃいけないことたくさんあるのに!!」
と叫んで号泣した。
いや俺にしてみたら、出来すぎなくらい
してもらっていると思う。
でも話を聞くとどうやら同じ会社の同僚が、
嫁自慢をしているのを聞いて
自分と比較してへこんでしまったようだ。
いつも手伝おうとすると
「いいからいいから~。休んでて~」と
ニコニコほんわかのおっとり嫁だけど、
やはり無理をして居たんだと思う。
俺は本当に反省し、謝った。
もっと早く気づいてあげればよかったね、と。
ひとしきりワンワン泣いた嫁だったが、
おもむろに台所へ向かって黙々と調理を始めた。
「よし!これからもがんばれる!泣いてごめんね~」
さっきまでのがうその様に、またいつもの嫁に戻った。
なんか悪いような、これでいいのか、複雑な気持ちになったが、
俺に対する愛を感じた。
俺ももっと積極的に家事を手伝おうと思った。
ほんとに俺には勿体無い子だと、心底思った。