自分語りが入り長い話になりますがよろしくお願いします。
亡くなった私の夫がエネミーでした。私と夫は10歳違い。
コトメが男性関係の激しい人で小学生の娘(コトメコ)を置いて家出。
他に身寄りが無いのでうちで面倒を見る事になりました。
コトメコは気性が荒く、私はともかく、夫と合わず頻繁に喧嘩。
家出を繰り返したり、コトメコが暴力を振るう事もあり、かなり苦労しました。
夫は引き取ってもコトメコの事は丸投げ
「女だから義務教育だけでいい」
というのを
「今は高校を出ていないと将来厳しいから」
と何とか説き伏せてコトメコを高校までいかせました。
コトメコは頭がかなり良かったのと、
コトメ譲りの美人だったので
高卒でもちょっと良い企業に就職。
夫と折り合いが悪いので就職が決まると離れた所で一人暮らしをして
4年間一度も戻りませんでした。
そんなある日、夫が事故死、不倫相手を車に乗せ、
飲酒をした上での接触事故でした。
相手の方が大怪我を負い、過失がこちらにあるので、
慰謝料で今まで貯めた貯金を殆ど使うことになり
高校生の息子と大学生の息子を抱え、何より、
ずっと夫に騙されていた事がショックで呆然自失。
どうしていいか解らず、今までの人生は何だったのだろうかと思うと
悲しさと悔しさでやりきれない気持ちで死ぬ事さえ、考えていました。
そんな時に、葬式にコトメコがやってきて私に聞きました。
コトメコ「叔父さんの遺産、どれぐらいあるの?」
私はコトメコが遺産の分け前をもらいに来たと思ってついカッとなって
「ある訳ないじゃない!慰謝料を払ったら何も残らないわよ!」
と怒鳴ってしまいました。
コトメコが悪い訳では無いのに、
怒鳴ってしまった私にコトメコは怒らず、
静かに通帳を差し出して
「これ使って」
と、中を見たら200万入っていて、コトメコが
一人暮らしをしながら4年間貯めたお金でした。
「もらえないし、使えない」
と断ったらコトメコが笑って言いました。
コトメコ
「叔父さん(夫)は嫌いだったけど、叔母さんには本当にお世話になった。
素直になれなかったけど感謝している。だからこれは使って欲しい」
と。
その途端、夫と喧嘩をして飛び出したコトメコをサンダルで追いかけた事、
小学生のコトメコがずっと口を利いてくれなかった事、
仲良くなるきっかけを作りたくて毎日好きなものを作った事
そんな事を思い出して泣いてしまいました。
私のやってきた事は全部無駄じゃないんだ。
感謝される事、報われる事もあったんだと・・・。
コトメコにもらった200万と私のパート、息子もバイトをして
何とか2人とも社会に出す事が出来ました。
この前、コトメコから電話があり、
今度の10月に結婚するそうです。
コトメコから
「本当のお母さんだと思っているから出て欲しい」
と言われました。
もちろん、喜んで出席する予定です。
夫が亡くなって8年。
今から思うと夫はエネミーだと思うことが沢山ありますが
コトメコの事は良かったと思っています。
怒鳴った事はコトメコに後で謝りました。コトメコは笑って
「いっつも私叔母さんに怒鳴ってたじゃない気にしないで」
と言ってくれました。
事故の事については
不倫相手→軽症
夫→死亡
接触事故の相手(バイク)→重症でした。
ちょっとこれ以上は無理です。
相手の方の事も、不倫相手とのいざこざもあり、
詳しく書くと泣いてしまいそうなので。
事故の被害にあった相手の方と家族の方には
何度かお見舞いに行き謝りましたが
「あんたがやった訳じゃないから」
と言ってくれて良い方々だったので余計辛かったです。
コトメコには、お金を返す話を何度かして断られましたが
この前の電話の時に、結婚したらお金がいるようになるから
少しづつでも返済すると話をしたところ
「返さなくてもいいから、もし子供が出来たら、孫だと思って可愛がって欲しい」
と言われました。
正直、夫が亡くなるまで、
コトメコがこんな良い子だとは思いませんでした。
夫は高圧的で、コトメコにもいつもコトメの悪口を言い、コトメコに
「お荷物」
「お前は捨てられた」
「お前がいるから金が無い」
などと言っていました。
今思うと、夫の態度がコトメコを苛立たせて
反抗的にさせていたのだと思います。
コトメコにもし子供が出来たら、本当の母親以上に
コトメコと子供の手助けをするつもりです。
昔の事だと思って書いたのですが、
私の中にこの時の事がまだ残っていたみたいです。
いくつか質問があったのでお答えします。
まず保険、これは全く保証が無い所か事故の2年前に
自動車保険と定期預金と合わせて解約されていました。
家計は全て夫が握っていたので私は知りませんでした。
どうも、不倫相手との付き合いで使い込んでしまったようです。
幸い持ち家と他に土地があったのでそれを手放して
被害者の方への慰謝料を支払いました。
不倫相手への慰謝料については、不倫相手にも家庭があり、
その配偶者(不倫夫)から事故での怪我の賠償と不倫での慰謝料を請求されたり
不倫相手の家族(子供)が家に怒鳴り込んでくるような事が
何度もあったらしいです。
あったらしいと言うのは、恥ずかしい話ですが、
この頃の記憶が所々抜けてしまっているので解りません。
見た目には怒鳴り込んで来た相手にも普通に話して
対応してたらしいのですが、
その記憶がどうしても思い出せないのです。
カウンセリングにも行きましたが無理に思い出す必要は無い、
今、健康で明るく生きられるなら忘れたままでもいいと言われました。
私もそう思っています。
不謹慎かもしれませんが、夫がいた時より、
今の生活の方がずっと楽しいです。
身寄りも社会経験も無く、ネットも知ら無い当時の私は
夫との生活が普通だと思っていましたが、息子からの初ボーナスで
買ってもらったパソコンでネットを見て、今までの生活が
異常だった事にやっと気がつきました。
作った料理が
「気分じゃない」
の一言で捨てられるのも
「馬鹿」
「クズ」
と罵られるのも、毎日怒鳴られる為びくびくしながら生活するのも、
今ならおかしいのだと解るようになりました。
長い悪夢からやっと目が覚めたような気持ちです。
一つとても良かったと思う事は息子の事です。
夫が
「男は偉い。女は役に立たない」
と普段から言う人だったのですが、この当時私を守ってくれたのは、
学生の息子では無く、社会人のコトメコでした。
すぐに弁護士をつけて、話し合いになり、
かなりごねたらしいのですが
最終的にはお互い相殺に近い形で終わり、
被害者の方への慰謝料も
少し負担してもらう形になりました。
息子2人は優しい子ですが夫の影響もあって
女は下と言う所があったのですが、
この件でコトメコが不倫相手の家族と戦っているのを見て
考え方が変わったようです。
仲が悪かったコトメコと息子2人も事故の後ではコトメコを中心に
結束して今ではとても仲良よくなり。仕事で困ったりすると
「姉ちゃん」
と息子からコトメコに相談するくらいです。
今度の日曜にコトメコが結婚相手を連れて挨拶に来てくれるそうです。
コトメコの好物の筍とワカメの煮物と茶碗蒸しを作って待つつもりです。
今からすごく楽しみです。
暴れるコトメコを青痣だらけになって育てていた時には
こんな日が来るとは思ってもいませんでした。
夫には恵まれませんでしたが娘と息子には恵まれたと思っています。
今はとても幸せです。
家に怒鳴り込んで来た不倫相手の娘さんですが、本当はいい子です。
相手との慰謝料の話が付き、1年程経った後で
私の元にお菓子(手づくりクッキー)と
お詫びの手紙が届きました。中には、
「今までごめんなさい。事故の後、
家がぐちゃぐちゃになって荒れてる父親にも、
体調を崩している母親にも、
小学生の妹にも当たれなくて(当時不倫子は中学生でした)、
(私)さんに当たってしまいました。
話を聞いてくれてありがとう。
ご飯美味しかったです。本当にごめんなさい」
若干言葉は変えてありますが、こんな内容が書いてありました。
私はこの頃の事があまり記憶に無いのですが、
泣きわめいて怒鳴る不倫子の話を黙って聞いて、
落ち着いたら何か食べさせて帰すという
コトメコに対して
やっていた事と同じ事を繰り返していたようです。
覚えの無い時の事なので、手紙はともかく物をもらうのは気が引けて
当時お世話になっていたカウンセリングの先生に相談したところ
「あなたのしてきた事のご褒美だと思って貰っておきなさい」
と言われたので頂いて(すごく美味しかったです)
お礼の手紙だけ出しました。
今でも不倫子からは年賀状が届きます。
キラキラしたシールやペンで飾った年賀状はとても可愛くて
私の正月の楽しみの一つになっています。
不倫相手ですが、旦那さんからDVと生活費を殆ど貰えない
経済的DVを恒常的に受けている方でした。
夫が貢いだお金も生活費に宛てていたそうで、
きっかけもお金に困っている事を知った夫に付け込まれた形だったそうです。
大人しい綺麗な人で私に会った時に
「ごめんなさい。ごめんなさい」
と泣きながら謝っていました。
不倫子の年賀状に、その後離婚をして
今は母子家庭になっていると書かれていました。
不倫相手の事情を知ってからは、
許す事も憎む事も出来ずに3年くらいは苦しみましたが、
(この3年の間情緒が安定せずカウンセリングを受けていました)
今ではもし出会い方が違えばお互いの立場を相談する事もできたかもしれないと
思っています。
余談ですが、夫が亡くなってコトメコが
1番始めにプレゼントしてくれたのは化粧品でした。
コトメコは
「まだ若いんだから、あんなやつ(夫)忘れて幸せになりなよ」
と言ってくれました。
(結婚が早かったので私は事故当時40代前半でした。)
色々あったので、もう後は静かに暮らす事が出来ればいいと思っていましたが、
コトメコからの結婚の報告と、こちらのスレで幸せになってという
書き込みを見て勇気づけられました。
もう一度、機会があったら自分の幸せを掴む事を考えてみたいです。
夫に預けられたコトメコを育て、夫が事故死した際、今度は
コトメコに助けられた者ですが、コトメコが無事お嫁に行きました。
白いドレスのコトメコはとても綺麗でした。
結婚式の席では、コトメコは私の事を
「お母さん」
と呼んでくれ、私宛に花をくれました。
ドレス姿のコトメコを見ながら、荒れていたコトメコの事で学校に呼び出され
2人でアイスを食べながら帰った事、夜中に飛び出したコトメコを
サンダルで追いかけた事、私が風邪を引いた時にコトメコが私のマネをして
リンゴを摩り下ろして持ってきてくれた事、
コトメコとの色々な思い出に涙が止まりませんでした。
息子もコトメコも独り立ちして少し寂しいですが、
何か肩の力が抜けたような気もします。
今後は自分の人生を楽しもうと思っています。