私の母は、私が二十歳を過ぎてすぐに病死しており
さすがにこの年になって“新しいお母さん”と言う感覚はなくて
喜寿を目前にして父は心筋梗塞で急死した。
A子さんは父の為に泣いてくれて、互いに寄り添って葬儀を終えた。
四十九日が終わって納骨も済ませ、相続になった時に問題が発生した。
父とA子さんが再婚する時に、相続については話し合っていたらしく
保険金の受取人は私になってて、それ以外の相続は私とA子さんで折半になる。
ふたりで上手く相談していたようで、再婚時の父の預貯金は一部解約して
一括払いの養老保険に切り替え、受取人を私に設定しており
老後資金のみを口座に残していた。
それをA子さんと私で分割して相続した。
A子さんから「10年程度一緒にいたぐらいで
半分寄越せなんて言えない」と言われ
なんだかこちらが申し訳ない気持ちになったぐらいだった。
ところがここで思わぬ人が現れた
父の葬儀にも現れなかったA子さんの実娘が突然やってきて
「私のぶんは?」と言い出した。
「( ̄Д ̄ )んあ?」
としか言えない状況。
「相続は妻が50%、残りを子供の数で割るんだから
私には25%の権利がある。現金で頂戴」
と言われて、ぽかーんとしてしまった。
いやいや、あんた養子縁組してないし、
娘でもなんでもない赤の他人なんですけど。
丁寧に説明しようにも一行で終わる話だし、
さすがにムカついたので
「わざわざ遠くから交通費かけてきたのにご苦労さま」
とちょっと意地悪言った。
いや言い終わらないうちにA子さんが実娘の頬を叩き頭を叩き・・・
と両手でビシバシ叩き、山歩きで足腰鍛えてるせいか、
蹴りまで入れてた。
泣いてた。喜寿間近の老女が泣きながらボコボコにしてた。
結局恥だけ晒して帰って行ったけど、
その後A子さんから実娘との関係について初めて話された。
昔別れた旦那さんがお金にルーズで借金を返したら
また借金してくるような人で。
旦那さんの借金の返済の為に働くばかりで、
いつも眉間に皺寄せてたせいか娘は自分に懐かなくて、
旦那にばかり懐いてしまった。
旦那が事故で死んだ時借金が何百万もあって、
相続放棄したかったけど恩のある人から借りてたので
それも出来ず必死で返済してきた。
だけど借金を返し終えた頃にはもう、
娘との溝はどうにもならなくなっていた。
山歩きを始めたのも、自然の中を黙々と歩いていたら気持ちが落ち着くからだったそうだ。
ごめん。長すぎた。