玄関ポストに「奥さまへ」と封書が入っていた。「あなたのご主人の浮気について話したいことがあります」

数年前、マンションの玄関ポストに
封書が入っていた。

ワープロ打ちで「奥さまへ」とあり、
差出人はない。
封はしてあるけど事務封筒ではなく
白い封筒だったのでダイレクトメールでもないっぽい。
なんか変なのと思いつつ開封したら

「あなたのご主人の浮気について話したいことがあります。
(日付と時間)、○○(珈琲チェーン店)で待ってます。
目印に化粧ポーチをテーブルに置いておきます」

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と書いてあった
うちの旦那、おせじにも素敵とは言えない容姿。
はっきり言ってデブでハゲだが、
太っているのは私のせい、
ハゲているのは遺伝子のせい。
彼の良さを理解できるのは私だけだと
思い続けて20年、いきなり間女(?)の登場に
驚きはしたが、何故か怒りはなかった。

でも会ってみないことには何も始まらないし、
旦那に電話して聞いてみようかとも思ったけど
うちの旦那は仕事中に緊急以外で
電話するのをすごく嫌うので
とりあえず気心の知れた友人に電話して
一緒に来てもらい、
時間差であとから入店してもらった
私が手で顔を覆ったら席に来てもらうという
打ち合わせでなるべく近くの席で待機。
店に入るとポーチを置いた女はすぐ見つかった
それがまぁ可愛いのなんの。
目がクリクリしてて、
中◯静香にちょっと似た感じで
どことなく男好きするタイプではあった。

え?このタイプと?ってちょっと思った。

旦那の好みとは正反対だったから。
でもとりあえず正面の席に座った。
するとブスッとした顔して

「すみません、人が来るんでどいてもらえますか」

と言われた。

「いやいやいやいや、あんたが呼んだんでしょ」

と封書を差し出した。
すると

「え?」

って言うから私も

「え?」

って。

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「え?」

「え?

「何々?」

「いやいやいや」

・・・と妙な展開になり

女「Kさんの奥さんじゃないですよね?」

私「はい、Kさんの奥さんじゃないです」

女「あんた誰?」

私「あんたこそ誰?」

女「Kさんの彼女です」

私「Kさんはたぶんお隣さんです」

「え

 
・・・とまぁ、うろ覚えだけどこんな感じで、
女が隣のポストに入れ間違ったことに気付いた。
 
女、テーブルに突っ伏して泣き出した。
とりあえず私は顔を覆って友達を呼び寄せ、
事情を説明。
 
そこから、私が説教するのもなんだけど

「あんたさ、こんな大事な局面でポストを間違う?
 隣はともかく(表札出してない)、うちは表札出してるしさ。
 せめて封筒に相手の苗字ぐらい書いておきなよ。

 そんなおっちょこちょいなら返り討ちに遭うだけだよ」

 

って言ってる間こくこく頷くだけ。
 
やっと泣き止んで、
愚痴みたいな感じで隣家の旦那との不倫関係を告白されたが
正直聞きたくない。関係ないし。
でも話してスッキリして次行けるならと
思って黙って聞いてたら
満足したのか帰って行った。
 
それ以来、変な事を知ってしまったために
隣の奥さんをマトモに見れなくて困った。
 
元々挨拶程度の付き合いだったけど、
毎日小さい子供ふたりと格闘してる
様子を微笑ましく見ていただけに、
他人事ながら隣家の旦那にムカついて
姿を見つけると遠くから呪いを掛けたりしてた。
 
夫婦の間のことは回りには分からないけど、
少なくとも育児頑張ってる妻がいるのにって思ってね。
 
そして昨年秋ごろに数回、
夜に夫婦喧嘩の罵声が聞こえてくることが
何度かあったが、
その結果かどうか分かんないけど
暮れに挨拶も何もなく突然空き家になった。
 
やっと一段落したって感じなので投下。

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