嫁の半生は無茶苦茶な人生だった。小さい時に両親離婚で嫁は施設行き。そこでいじめを受け

俺の嫁さんの半生は無茶苦茶な人生だった。
5歳の時両親がW不倫で離婚し、どちらも引き取らず施設へ
そこの施設では虐待、いじめのオンパレード
(まともに中学校もいけず)
16で脱走して夜の世界へ
そこで出会った男には金蔓扱いで
挙句893に身売りされかけ
その後は逃げるように各地を転々としながら
派遣として某観光地のホテルで働く
という修羅場の見本市みたいな嫁だった

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出会いのきっかけは嫁が働いていた
そのホテルのバーに入った時
俺がバーテンダーをしていたから。

従業員どうしちょくちょく顔を合わせる事もあり
次第に仲良くなっていった。
とは言っても最初はめっちゃ警戒された。
(嫁曰く、嫌いとかじゃなく過去の経験から)

バーに来る回数を重ねるごとに彼女への想いも
強くなりとうとう彼女に想いをぶつけたが
答えは「考えたい」とのことだった

それを機に彼女がバーへくることも途絶え、
諦めかけていた。

ひと月たったある日、彼女がふらっとバーへ現れた。
「俺君の事は好き…でも怖いんだ」
「怖いって性格とか?」
「そうじゃないんだ…」
蕩々と過去を話す彼女。
虐待の事…男の事…手首の自殺痕の事…
「だから…諦めたほうがいいよ?」
「でも…好きって言ってくれたじゃん…
少しずつでいいから俺の事信じてくれないかな」
我ながらダサい台詞だったと思う
「うん…わかった…信じてみる」
こうして彼女と付き合うことになったが
ここからがホントに大変だった

彼女曰くトラウマと言うのは、
何気無い時でも簡単にフラッシュバックしたり
防衛反応を起こすらしい。
当時部屋で二人でまったりしてても
俺が不意に動くと頭を抱えてガードしたり、
彼女が飲み物をこぼしたときは

「ごめんなさい…殴らないで」

など常に俺の挙動に怯えていた。
また、メールをしていて途絶えたので、
寝たかなと思っていると深夜に部屋へ来て
メールを返さなかった事を謝りに来るなんてこともあった。

「大丈夫…この部屋にはそういう事絶対ないからな…」

そう言って彼女を落ち着かせる事しか
出来ない自分が虚しかった。

そんなある日彼女がこんなことを尋ねた

「俺君は怒ったりしないの?」

少し迷いながらも

「あんまり酷い目にあったら怒るよ?」
「メール返さなかった時は怒らなかったよ?」
「別に怒るような事じゃないじゃん」
「謝ったから?」
「あの日…別に謝ったりしなくても俺は怒ったりしなかったよ?」
「なんで?」
「疲れて眠かったりなんて事誰だってあるじゃん」
「そうだけど…」

 

この時なんとなくだが彼女の抱えてる
トラウマの一部を分かった気がした。
俺はひとつの「ルール」を決めた

「自分のしたいことを優先しよう」

「どういう事?」
「眠かったら寝る、腹減ったら食べる、
風呂入りたくなったら入る。ただし浮気は除く」
「浮気ってwwしないしw」

はじめて彼女の本当の笑顔を見た気がした

その日を境に彼女が少しずつだが
「普通」になっていく気がした。
中でも変わったのは「頼み事」をするようになった。

「ゴミ箱とって?」
「エアコン停めてくれる?」

普通なら気にも留めないやり取りが嬉しかった。
デートの提案もするようになった。

「最近楽しそうだね」

と聞く上司に

「そうですねw」

と答えるのをみて嬉しかった

だがトラウマと言うのはなかなか消えてくれないものらしい
月日が流れ、俺は独立して自分の店を持つことにし、
ホテルを辞めることになった。
そこで俺は彼女にプロポーズした
答えはもちろんyesだった
俺の地元で店をやることにし、
マンションも借り、新生活を始めた。

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だが、それもまた大変だった

部屋にソファーをおいたのだが、
彼女は床に正座している

「ソファー嫌い?」
「座っていいの?」
「ここは彼女ちゃんの家なんだから、
好きに使っていいんだ」

 

嫁曰くその頃は自分が部屋の主でもあるということが
理解し難いことで寮の時と同じく
マンションも俺の部屋にきているのと
同じ感覚だったらしい

また、マンションでの初めての夜、
俺が開店準備で帰宅が深夜になり、
ベッドルームに入ると気づいた彼女が
反射的に飛び起きて正座する、
なんてこともあった

「大丈夫…寝てていいよ」
「うん…俺君だから…ぶたれないんだよね?」
「…抱きしめるけどな」

…出会って2年経ったその日、
彼女と初めて唇を重ね、体を重ねた。

そんなこんなでいよいよ開店の目処も立ち
俺の両親に挨拶の日がやって来た
彼女はとにかく心配そうだった。

実家につき、改めて彼女の事を両親に話す。

 

「分かった…これからも息子をよろしくお願いします」

 

親父の一言に安堵した彼女は泣いていた。

 

「彼女のご両親にはいつ伝える?」

 

はっとなった。どう話せばいいのか…
逡巡している俺。

だが彼女は意を決したようにゆっくりと話しはじめた。
…親の事…施設の事…16歳の事…

話しが終わって発した両親の優しい一言は
今でも嫁さんの心に残っているらしい

 

「じゃあこれからの両親は…私たちでいいわね?」

 

「俺娘欲しかったんだけど母ちゃんが二人でいいって言うしさぁ」

「…ありがとうございます…わたしでよければ…」

彼女はその日嫁と言う立場になり、
両親と言う人を得た。

その日は一日泊まることになった。

夕飯の時間になり、
お袋の準備を手伝う嫁は本当に楽しそうだった。
料理が食卓に並び、「いただきます」の声

 

「食べてもいいんですよね…?」
「そうよ…遠慮しないで沢山食べなさい」

 

お袋の声を合図に嫁は今までの過去を流し去るように
ワンワン泣いていた。

昨日結婚5周年のお祝いをしたとき
嫁に

 

「俺君に会えて初めて人生楽しいって思えるようになりました」

 

って言われたので記念語り。

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