1巻から借りてきた以上、最終巻まで借りる権利がある
私は子供の頃から漫画が好きで、
お小遣いでたくさん集めていた。
友達に貸すことも多かったんだけど、
大抵はお互い貸し借りしていて円満にやっていた。
でも、中学1年の時に図々しい数人が出現した。
 
みんなに貸していた漫画の続刊を、
私が買えなかったことがあった。
他にお小遣いを使うことがあったり、
タイミングが合わなかったりで。
 
するとその子達が
 
「無責任だ、発売日に買ってちゃんと貸すべき」
 
と言い出した。

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私が切れるまでもなく他の友人が反論してくれたけど

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 「だったら最初から貸さなければ良い。
1巻から借りてきた以上、最終巻まで借りる権利がある。
最初に読むのは私ちゃんなんだから、
購入者の権利は守られているじゃないか」
 
というようなことを言われた。
 
恐ろしいことに、それに同調する人たちまで出てきた。
おかしな正義厨と、タダ借りしたい人たちだった。
 
中心人物がすぐ近所の子だったんだけど、親がうちに来たからね!
ちゃんと買うべきでしょ、無責任でしょ、ルールでしょ?って。
 
私母が
 
「そんなに読みたい本ならご自分で買われては」
 
と言ったら
 
「持ってる人がいるなら借りるべきでしょう!
中学生同士ですよ?!」
 
と謎理論。
 
ちょうど父が帰って来たら、慌てて去って行った。
呆れてもう無視していたら、
私が別の漫画を買ったことを知って
 
「他の本を優先するなんてあの漫画家さんに失礼だ。
私たち、ファンとして作者さんに言うから。
こんなひどい読者がいるって」
 
って、あたかも自分たちが正しいかのように
上から言ってきた。
 
で、実際にそういう手紙を書きつけたらしいんだよね、
作者に。
 
すると、なんとその作者から返事が来た。
 
住所を書いた子が学校に持って来て、みんなの前で開封。
私のことを責め立てる公開処刑みたいな空気感になってた。
 
その漫画家さんからの手紙の内容は要約すると
 
「お手紙ありがとう。作品を読んでくれてありがとう。
自分が欲しいものは、自分でお金を貯めて買いましょう。
お友達に借りたい時はちゃんとお願いして
お礼を言って期日も決めて、
自分も何かを貸してあげるようにしましょう。
誰かに何かしてもらうことが当たり前だと思ってはいけません。
そういう大人になって欲しいと、私は思います。」
 
そんな感じのことを分かりやすく書いてあった。
 
クラスみんなの前(他クラスの子もいた)だったのでごまかせず、
みんなに回し読みされ、シーンとなった。あの空気は忘れない。
私たちも、「ほらね!!」って言う気持ちにもならず。
 
結構みんな好きな漫画家さんだったし、
自分がファンの有名人に怒られる、
肯定してもらえないなんて思いもよらない年頃だったから、
それ以降その子たちは
 
「もういい」
 
って近寄らなくなった。
 
納得はしていなかったみたいだけど、
本当に自分たちが正しいと思っていたんだろうから
ショックだったんだろうね。
 
私は実はその漫画はその時には
もう買っていたんだけど、友達以外には
貸したくなかったのであえて貸さなかったんだよね。
 
そのことに若干罪悪感があったんだけど、
その漫画家さんの手紙で
 
「貸したくないければ貸さなくていいんだ」
 
って安心した。
 
なんていうか、赤の他人の大人がこんなに頼れるんだ!
先生と違って、ちゃんと正しいことを言ってくれるんだ!って、
未来がちょっと明るく思えた出来事でした。
 
そのすぐ後、学校のイベントがあって、
貸して派のお母さん数人がうちの母と鉢合わせた時に
その事をグチグチ言ってきた。
 
するとそばにいた父が
 
「そこの本屋で数百円で売ってますよ?
なんでそうまでして買わないんですか?
もう半年でしょう…なんか…凄いですよね…」
 
ってしげしげと見つめながら言ったら
 
「貸せばいいじゃない!」
 
って文句言いながら去っていった。
貸して派の子達は別の漫画好きの子に粘着して
借りるようになったけど、中3の時に借りパクと、
又貸しして紛失を何度かやったらしく、
貸していた子の親御さんが大きな問題にして、
ちょっとした騒ぎになった。
 
息子の学校で今、友達のスマホで勝手に
長時間の動画を見るパケ泥が問題になっていて、
思い出したのでした。
 
 
パケ泥は、同級生に
 
「面白い動画があるよ」
 
と言ってページを表示させて、
数人で囲んで長時間その動画を見続ける…
ということだそう。
 
本人が嫌がってもやるらしく、
パケが上限に達すると別の子にやるんだとか。
ろくでもないですよね。
 
特定されたくないので漫画家さんの名前はボカしますが…
当時白泉社で描かれていた女性漫画家さんです。
今でも描かれていて、大好きな作家さんです。
 

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