俺「重そうだし、持ってあげるわ」
嫁「いえ、大丈夫です!ありがとうございます!」
俺「ふらついてるやろ、良いから貸して」
嫁「え、でも…(困)」
俺「○○中学は通り道やから」
嫁「…すみません、おじさんありがとう!」
俺「 !? 」
うろおぼえだがこんな会話だったらしい。
当時、俺23歳180cm、嫁12歳148cm。
嫁曰く、
「スーツ来てガタイ良かったら誰でもおじさんに見えた」
俺は当時社会人1年目リーマン、
嫁は私立中1年。
通勤電車が同じだった。
嫁は小さいくせにバスケ部に入ったらしく、
時々何個もボールが入ってるデカいバッグをかかえて
ヨタヨタしながら電車に乗っていた。
邪魔だなーとしか思ってなかったが、
電車の中でスラムダンクを熱心に読む嫁の姿を
微笑ましく思っていたことがある。
降りる駅が同じだったのだが、
ある日あまりにも電車内が混雑していて、
降りた時の嫁が顔面蒼白なまま、
どでかいバッグを抱えていたから、
思わず声をかけて持ってあげた、
のが上のレスだ。
この日以降、嫁は俺を見ると会釈するようになった。
でも別に仲が良くなったわけでも、
喋ったりするわけでもなく、
そのうち俺が社内で部署異動があり
その電車に乗らなくなってしまった。
実は、それから再会したのが10年後。
嫁が俺の会社に新社員として入社してきた。
もちろん、俺も嫁も全くそんなことなど忘れ、
会社の先輩後輩として出会った。
嫁は入社してきた時から
清楚系美人として社内で瞬く間に有名になり、
33歳にして独身だった俺は、
必死になって嫁と仲良くなった。
その辺りは普通だから省略する。
その後、仲良くなるうちに
昔の話をするようになったが
嫁「中学はすぐ近くの○○中だったんですよ。
実はバスケ部でしたw」
俺「え!全然そう見えんわ。スラッとしてるけど」
嫁「入った時はすごく小さくて。
ボールバッグ担げなかったんです」
俺「そうか。そういえば俺昔そんなバスケ部の
女の子助けたことあったわ」
嫁「私も通りすがりのサラリーマンに
助けてもらったことありますよw
学校の前まで持ってもらったんです」
俺「………ん?」
嫁「あっ( ゚Д゚ )」
俺と嫁、ここでようやく10年前の相手だと気づく。
俺は勘弁してくれ、嫁は激変してたんだw
色黒ショートカットのチビだった子が、
15センチ伸びてモデル体型で
えびちゃんみたいになってたらわかんねぇ。
嫁は俺のことを「ガチムチのおにいさん」
と認識していたようで、
10年経って20kg痩せた俺のことを
同一人物とはまるで考えなかったそうだ。
ここで一気に距離が縮まって交際に発展、
結婚したわけだ。
えびちゃんに変身した嫁だが、
今でもバスケ熱は下がってなく、
よくシャドウシュートをやったり、
出先でスポーツショップを見つけると目が輝く。
近いうちに、小さめの体育館を借りて
バスケをするんだそうだ。
ちなみに俺はバスケは全くできない。
事実は小説より奇なりだな