当時利用していた通勤電車の帰宅途中で、
そこそこ混んでる車内の俺の目の前に
両手に荷物を持ったOL風の女性がにいて、
なんかもぞもぞしてたんだけど、
「は、ハクチンッ!」の声とともにくしゃみをして
俺の顔につばをかけたんだ。
そう、俺は背が低い。だから顔にかかった。
もちろん女性は気づいて、
「ごめんなさい!」とすぐ謝ってきたけど、
恥ずかしさで焦って俺に接近した時に
電車の揺れが重なり、更に俺の足を踏んづけたんだ。
「っつ!」
「ああ、ごめんなさい!本当にごめんなさい!」
と更に動揺しながら、なんとかハンカチを取り出すと
俺の顔のつばを拭いてくれ
(この時、ハンカチからとても良い香りがした)
停車した駅で逃げるように降りていった。ハンカチを落として・・・
俺は、あっけにとられながら車内に残り、
(OLさんぽかったから、また電車で会えるかもな)
と思ってそのハンカチを持ち帰ったんだ。
でも、その後電車で見かけることもなく1ヶ月くらいたち、
あの時の事を意識しなくなった頃、
本当に偶然に最寄り駅近くの本屋で
その女性と出会ったんだ。
更に、会社帰りだったこともあり
偶然ハンカチが鞄に入れっぱなしだったので
(もちろん洗濯はしたよ)思い切って声をかけたんだ。
「あの~以前電車でハンカチを~」
と緊張気味に言うと、女性も気づいたようで、
ふにゅ~という感じの困ったような恥ずかそうな表情で
「は、はい、あの時はすいませんでした・・・」
と電車の時みたいに謝ってきたんだけど、
その表情がなんとも可愛く感じて、
もう少し会話したいなという気持ちがたかぶってしまった。
そんで、ハンカチを返しがてら、ちょっと強引かもと思ったけど、
「少しだけお茶でも飲みませんか」
と誘ってみたら、
「少しなら」と言ってくれてお茶したのがスタート。
でも、話は全然弾まなくて、やっぱり仕方なく来た感じかな、と思い
こりゃ進展はないかと分かれようとすると、
「やっぱり、私なんかとお話しても楽しくないですよね・・」
とまた、ふにゅ~って表情をしたもんだから、
「そんなことないですよ!ほら、今回は初対面みたいなもんだし、
また、一緒にお話したいなあ、なんて、はは」
とまくし立てると
「ほんとですかぁ」
と今度は、ぱぁと明るい表情に変わった。
その表情も可愛くて、まあ、そうゆうことです。
なんか、彼女それまでもいろいろとドジが多くて、
自分に自信がないみたいで
いろいろ悩んでたそうだ。
でも、俺が積極的に誘って、いろいろ会話したり、いろんな所行ったりして
一緒の時間を共有するようになったら、徐々に、ふにゅ~ってなることが
減ってきて、ぱぁ~が多くなってきた。
そしたら、まさに懐いたって感じでじゃれてくるようになって、
結婚しました。
まあ、結婚した今でもドジは多くて、俺がふにゅ~ってなってます。