もうあなたは来てはいけない。今の人生を守りなさい

高校・大学と同級生で、
大学卒業前に告白され
社会人3年目まで付き合った彼氏がいた。

社会人3年目のある日、
「風邪引いたみたい、熱がある、ダルい」
とメールが来て、私は僻地に出張中だったので
「ちゃんと病院行くんだよー」と返事した。

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彼はそのやり取りから数日後に救急車で病院に行き、
入院し、一か月半後他界した。急性白けつ病だった。

彼といた時間が長すぎて
気持ちの整理はいつまでもつかなかったけど、
その一方で自分の子供を持つ夢もあり、
30歳の時、会社の先輩に紹介された人と結婚した。

夫は優しい、子供は可愛い、
ほぼ文句ない暮らしだけど、
一週間に一度は彼の夢を見る。
そこでは私と彼が結婚して子供もいる。
喧嘩したり仲直りしたり、
家を買ったり子供が育ったり。

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目が覚めると泣ける。
彼を亡くして大きく空いた心の穴を実感する。
夫や娘を失くしたらもっともっともっと
大きな穴が空くことは容易に想像がつく。
でも彼がいなくなった穴も私には埋めがたい。

彼のことは夫も私の話で知っていて、
普段は話題には絶対上らないけど、
命日が近い週末前になると、
「そろそろお墓参り行って来たら」
と言ってくれる。
まだ幼い子供が「私も行くー」とか言うたび、
「大事な用だからお母さんは一人で行くんだよ、
お父さんとお出かけしよう」と言ってくれた。

ある年お墓参りに行ったときは、
彼のお母さんにちょうど会って、
「毎年来てくれるのは本当に嬉しいけど、
もうあなたは来てはいけない。今の人生を守りなさい」
と言われた。
でも相変わらずその年以降も行ってる。

夫には「毎年お墓参り行かせてくれてありがとう、
お蔭で行くたびに彼が懐かしい思い出になる感じ」
と言ってる。
そう言うと夫も喜ぶ。
本心から言えたら良いのになと思う。
夫のことは色々人間として尊敬してるし、
男性としても愛してる。

しんだ彼を美化してるわけでなく、
だらしない所があったり、
優柔不断だったり色々欠点もあった。
でも彼との人生はどんなだったか、
40歳になった彼はどんなだったろうとか
想像するのがやめられず、
また毎週のように夢に見る。
それを夫に言えない。

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