嫁に先立たれて早二年が経った。嫁のことが大好きだった猫が飯も食べずトイレもしなくて困っていたある日

八年連れ添った嫁に先立たれて早二年が経った。
最近ようやく嫁の荷物を整理し始めたのだが、
思い出が詰まりすぎてて捗らない。

生前、子供に恵まれなかった為に猫を2匹飼ったのだが、
この猫達は嫁が大好きだった。
寛いでいる時も寝る時も常に嫁の横から離れなかったんだ。

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嫁がいなくなってからは大変だった。
飯は食べない、トイレはしない、
動物病院通いを余儀なくされた。

だが、ある日、2匹の猫が
嫁の愛用していたソファーを見つめ
ニャーニャーと鳴いたんだ。
そしてグルグルと喉を鳴らし始めた。

俺はその光景を黙って見ていたんだが、
突然猫達の飯が入った瓶が倒れた。
平らな場所に
しかも太くて高さのない瓶が風もないのに。

俺は何故だかよく分からないが飯をやらなきゃと思い、
容器に飯を入れた。
そしたら、猫達は嬉しそうに飯をガツガツ食べ始めて、
その日から毎日ちゃんと食べるようになったんだ。

今迄誰にも言えなかったのだが、
あれは嫁が現れたんだよな?
そう信じて良いんだよな?

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俺は嫁がいなくなる前まで
心霊的なものは信じてなかったんだ。
だからあの出来事を
誰かに認めてもらいたかったんだ。有難う。

昨日、今日と連休で嫁の荷物をまとめていたのだが
『嫁ちゃんレシピ』と書かれたノートを何冊も見つけた。
そこには見覚えのある料理レシピと
俺が食べた時の様子が書かれていた。

こんなノートがあるなんて知らなかった。
涙が止まらなかった。

同じ料理でも濃さ、、甘さ、焼き加減を変えて
俺の反応が良かったのを作ってくれてた。
嫁は口も態度も俺様なところがあったが、
やっぱり愛されてたんだなぁと実感してしまった。

古いノートはダンボールに
最新のノートは嫁のタンスの中に隠されてた。

今日は朝からスーパーに買い出しに行き
『嫁ちゃんレシピ』の料理を作った。
嫁の味には程遠いが懐かしい味がした。
泣きながら飯を食ってしまったよ。

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