俺は母子家庭で育った
実の父親は蒸発した
母もキツかったのだろう
俺が5歳の時再婚した
再婚相手は典型的なDV男だった
朝起きた時機嫌が悪ければなぐられた
夜仕事から帰って来れば取り敢えず起こされた
なぐられない日は神に感謝した
俺はなぐられたくなかったから色々考えて行動した
きっと嫌われてるからなぐられるのだろうと最初に思った
子供ながら頑張って手伝いをした
邪魔だとなぐられた
きっと俺が勉強を出来ないから
なぐられるのだろうと次に思った
ひたすらに勉強をしてテストで
全教科90点以上とって見せた
ふざけてるのか?となぐられた
きっと俺が悪い奴だからなぐられるのだろう
と思い考えられるだけの行動をした
お前は生きる価値の無い人間だとなぐられた
気が付けば俺はとても卑屈な人間になっていた
外に遊びに行けばなぐられるから
家に常に居たし痕が常に全身にあったから
常に人の視線を避けて生活していた
本当にクソみたいな生活だった
家に居るのに何故かゴミ箱に捨てられた物を
食って飢えをしのいでた
俺に与えられた空間は土間だった
誰か来る度にみすぼらしい姿を見られ屈辱的だった
今思い出しても身体が震えるほど
あの時は糞みたいな地獄だった
そろそろ中学生になる時
教師がずっと気にしていたのだろう
児童相談所の職員が来た
あいつらは俺に大丈夫だよ。
君を助けに来たと言い強引に俺を施設に連れて行った
俺みたいなみすぼらしい奴等が沢山いた
ここも地獄だった
いじめばかりだった
それしか知らないからなんだろうと今なら思う
俺はひたすら喧嘩を売ったし買った
喧嘩以外してなかった
施設に送られた時まともになろうと思って
行動すれば良かったと心の底から思う
喧嘩で勝てばなぐられないし良い思いができる
と糞みたいな学習をした俺は
中学卒業したら働く気満々だった
金が欲しかった
俺は土木関係に中学卒業と同時に就職
こっから落ちる所まで落ちてく
糞みたいな奴が糞みたいな奴等と
一緒になればそりゃ糞になる
パチにハマり競馬にハマり
気が付けば借金で首が回らなくなっていた
貯金なんて全く無い
借金しかない
ああ、しぬしか無えんだなとふと思った
この時の年齢は26歳
金もない
学歴も無い
親も居ない
なんなんだろ?
俺の人生ってなんの為にあったんだろ?
ひたすら中身の入って無い頭で
考えながら命を絶つ用意をしていた
失敗した
爆笑したのを覚えてる
なんで笑えるのかわからなかったけどひたすら笑った
笑い終わった後しぬ事も出来ないのか俺はと絶望した
でももう一回しのうとする勇気は無かった
そりゃ誰だってしにたくはない
俺だって本当はしにたくなかった
まともになりたかった
結婚だってしたかったし
幸せな家庭って奴にしぬ程憧れてた
まともになりたかった
ただ普通に憧れた
今からまともになるにはどうすれば良いのか?
考えた
無い知恵振り絞って出たアイディアは
高校にいき学歴を作りまともな場所に就職する
まともになるにはなかなか大変だった
取り敢えず金がいる
バイトを始めた
しぬ程働いて金を貯めた
定時制高校なら入れる程度の金は貯まった
俺は高校生に29歳でなった
定時制でも結構楽しいのな
工業系の学校に進んだ
掛け算が怪しかった俺にはなかなか難しかった
朝6時から16時までバイト17時から21時まで学校
22時から2時まで違うバイト
なかなかキツかった
最初の一年は甘い考えのままで留年した
学校生活は本当に勉強とバイトだけで
埋まってるから余り語る事はない
留年したせいで5年も高校に通った
教師には感謝してる
34歳のおっさん相手に
ちゃんと就職先を見つけてきてくれたから
今でもたまに飲みに行く
夢だった結婚もした
子供は諦めてるけど幸せだよ
40手前で子供はキツイ
嫁はまだ31だけど貴方が良いなら
って言われてしまった
子供の事はさり気なく嫁に話ししてみる
やっぱり憧れは強いよね