ふっと遠くに消えたい、という気持ちがずっと消えない

父親は、俺が小さい頃から何が理由でキレて
暴力振るうか分からない人で、
毎日のように叩かれて育った。

暴力を振るう理由は
「勉強して良い子ちゃん振ってるのが気に入らない」
とかの言いがかりだったり、
「会社に入ってきた若手社員が気に入らない」とか
俺が気をつけようがないものがほとんど。

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母親も同じように
父親にキレられて叩かれることが多かったが、
母親も母親でよくキレる人だったので、
その後は大抵、
「あんたがしっかりしないから私が叩かれるんだ」と
母親から叩かれた。

ほかに7歳上の姉もいるが、
姉は父親にキレられることすらまず滅多になく、
あれが欲しいこれがしたいと言えば
父親はホイホイ言うことを聞いていて、
自分に対する扱いとは真逆だった。

当然父親は小さい頃から大嫌いだったが、
小3くらいの時に母親に
「何で毎日父親に叩かれなきゃいけないのか、
離婚して父親から離れて欲しい」と言ったところ、
「姉しか居なければとっくに離婚してる、
あんたがいるから離婚できない」と言われ、
それから母親も大嫌いになった
(離婚して子供を二人も養えない、
という意味だと今では思うが)。

ついでに姉も、
しょっちゅう俺が父親や母親に叩かれて
抵抗しなかったのを見ていたからか、
俺を見下してストレス解消の
サンドバッグにするようになっていたので大嫌いだった。

中2くらいには物理的な暴力はなくなったが、
「働きもしないお前を養うのに
年間いくらかかってるのか知っているのか」とか
「誰の金で飯食ってると思ってるんだ」とか、
以前からあった言葉の暴力が一層ひどくなった。

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両親は姉を私立中→私立高→私立大と
エスカレーターで進学させて、海外留学までさせた。
自分は公立中→公立高で、
姉と比較すれば金がかかってないのに、
それでも
「お前なんかに何でこんなに
金を使わなきゃいけないのかと思うと泣けてくる」
など散々嫌味を言われた。

その後、奨学金借りて他県の国立大に進学して家を出て、
そのまま他県で就職。
それから5年間実家にはほぼ帰っていなかったが、
2年前に両親が揃って倒れ、
当時海外で仕事をしていた姉から
「私は仕事を辞めたくないから
お前が辞めて親の面倒を見ろ」と言われ、
さすがに親戚とかに親の面倒を見てもらう訳にもいかず、
仕方なく転職して実家に戻った。

両親はそれぞれ一回倒れて毒気が抜けたんだか知らないが、
昔の性格が嘘だったかのように今は穏やかな性格で、
近隣住民に通報されるレベルの夫婦喧嘩を
しょっちゅうしていたとは思えないくらいの
仲良しな夫婦になり、二人で旅行に行くこともある。

俺に対しての態度も
両親共に信じられないくらい優しくなり、
例えば昔は風邪ひいても
「男が風邪ひくなんて情けない、勝手に自力で治せ」
だったのが今では
「仕事が大変なのか」などと心配される。

そんな両親を見ていると、
「穏やかになってくれてよかった」ではなく、
「これだけ穏やかになれるんだったら
何で昔からそうでいてくれなかったのか」
という気持ちしか湧いてこない。

置かれた環境の割には頑張ってきた方だと思うが、
家が穏やかであれば無駄な苦労もなく、
もしかしたらもっと良い大学に行けてたんじゃないか、
違う未来があったんじゃないか、
そもそも毎日暴力に怯えて
精神的にやられていた過去の自分は何だったのか、
という考えが止まらない。

両親には悪人でいて欲しかった。
親にも姉にも誰にも何も言わずに
ふっと遠くに消えたい、という気持ちがずっと消えない。

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