亡くなった嫁の手紙を、捨てられたときが修羅場。
嫁が30ちょっとでなくなった。
当時息子も娘も保育園の年齢。
病気だったから、準備の時間があって、
俺、息子、娘にそれぞれ一年ごと、
そしてイベントごとの手紙を書いてくれていた。
息子と娘は20才までと結婚、就職、親になったとき。
俺には60才までと再婚したとき、退職したとき、
祖父になったとき。
一つ一つは長くないけど、毎年本当に楽しみに読んでいたし、
これがあるからしにたいとおもってもしねなかった。
誕生日の手紙も律儀にちゃんとその都度読んで、
先に読んでしまうことはしなかった。
ところが家が浸水してしまい、
手紙がびしょびしょで復活できない状態。
それでもどうにか…と思っているうちに捨てられてしまった。
魂が抜けたかと思っていたら、
息子が手紙の写真?携帯でとったやつを持っていた。
震災のニュースを見ていて、
写真や手紙もデータにしとけば万が一のときも残る可能性があるなと思って、
中身は極力読まずに撮っておいてくれたらしい。
バックアップも複数してあるそうで、
もし息子の携帯が壊れてもみられるんだとか。
それをきっかけに、今まで見なかった嫁個人の日記というか、
入院中に書いていたノートのデータを見た。
辛い苦しいみたいなことも書いてあるんだけど、
そのあとに必ず
「でも私で良かった。病気になったのが息子や娘、
旦那じゃなくて良かった。神様、ナイス!」
と書いてある。
「もし旦那がしんでしまったら、私は弱いしだらしないから、
息子と娘を立派に育てることはできないだろう。
旦那に任せていけるからなにも心配ないね。
あーでも二人の成長を見たかったなぁ。
息子が水に顔をつけられるようになるの見たかった。
娘が話すのを聞きたかった。
誕生日の手紙、とんちんかんなこと書いてたらごめんね。
二人がどんなふうに成長してるかわからないから、妄想。
生まれ変わらずに待ってるから、100年後くらいに、
あったことぜんぶぜんぶ教えてね」
と書いてあった。
100年待たなくても、俺が教えに行く。
ただ娘と息子のこと、
なるべく多くのことを伝えてやりたいから、
絶対に長生きしようと思う。
夏休みといっても毎日部活、
バイトばかりの子供たちだけど、楽しそうでなにより。
皆も大事なものは、携帯で撮っておくといいよ!