俺の叔父さんの話なんだが、
叔父さんは俺の親父より年が離れてて、
俺とは15歳ぐらいしか歳が違わない。
そんで面倒見がいい人だったから、
俺が小さいときは、
いつも叔父さん叔父さんって懐いてた。
ただ人間的にはどうしようもない人だった。
まともに働いたこともなく、
女に食わせてもらって、
画家になるだの、映画監督になるだの、
いつもわけのわからないことを言っていた。
でも不思議と魅力があって
イケメンだったから、
女には困ってなかったな。
でも俺は大人になるにつれ、
人間のクズを体現した叔父さんと
関わり合いになりたくなくなっていった。
甥の俺にすら
金の無心に来るくらいだからな。
そんで俺が25~6ごろかな、
とうとう頭に来たんで30万渡して
「二度と俺の前に現れるな」
って言ってしまった。
あの時の顔は今でも忘れられない、
親父や親族に、どれだけどつかれても
ヘラヘラしてた叔父さんが
本当に悲しそうな顔をしてたから。
ちゃっかり30万は持って行ったが。
そんな叔父さんも50手前でしんだ。
シ因は急性アルコール中毒。
正直あんまり悲しくもなかった。
親父や親類にすら見放されてて、
葬儀の金は俺と、
叔父さんの内縁の妻が出した。
葬儀に出たのもその2人だけ。
ただ、遺品整理の時、内縁の妻から
「俺さんへ」って渡されたものがあった。
全部俺が子供の時、
叔父さんへプレゼントしたものだった。
学校で作った工作とか、描いた絵とか。
全部保存してたみたいだった。
「だから何だよ」とは思ったが
ほんの少しだけ涙が出た。
「いつも俺さんのことばっかり
話してましたよ」って。
もう少しだけでも
優しくしてあげればよかったと思った。
リアルでこんな話も出来ないし
誰かに聞いてほしかったから書きました。