幼稚園の時弁当の時間に
仲良かったTちゃんがとなりに座ってて、
「おかずとっかえっこしよ」といってきた。
「うん、いいよ」と私。
そしたらTちゃんの反対側に座ってたAってコが
聞こえよがしに耳打ちしたんだわ。
「Nちゃんのお弁当、ごはんばっかだから損だよ。やめなよ」
たしかに私の弁当箱はご飯を入れるスペースが
広かったんだけどね。
母の実家は米どころ宮城でさ。
いつもササニシキのとれたてを送ってもらってて。
しかも釜炊きだったから、私にとっては
うちの白飯はご馳走だったわけ。
おむすび弁当だって大好きだった。
別にTちゃんには普通にその日のおかずのコロッケとか
そういうのあげるつもりだったんだけど、
Aのこの一言でカーっと頭に血が上ってね。
次の瞬間号泣しながらAに掴みかかってった。
楽しいはずの弁当タイムに突然女の子同士のつかみ合い
勃発に大慌てで引き剥がす担任。
押さえつけられながら
「おかあちゃんのおべんとう美味しいもん!
Aちゃんなんか大嫌いだ!」とか延々さけんでた。
…弁当ひっくりかえしちゃったんだけどさ…
その後私とAは別々に呼ばれて事の発端を説明させられた。
その日のお迎えのときに担任が母と少しの間話してた。
(Aの親も同様になんかいわれてた)
帰り道、いつ怒られるのかとびくびくしてる私に
母はなにも言わなかったよ。
いつもと全く変わらんの。
ただ、その日の晩御飯はいつもより時間が早く、
メニューは私の大好きなハンバーグだった。
もちろん炊きたてご飯たっぷり。
続きで、次の日持たされた弁当がいつもと様子が違うわけ。
なんか包みがごつい。
「お弁当の時間まであけちゃだめだからね」と念を押された。
午前のお時間がすぎて弁当タイム。
中から子供の自分の顔なんぞすっぽり隠すくらい
でっかいおむすびが1個出てきた。
おかずは卵焼き、唐揚げ、いぶりがっこ…だったかな。
もう周り中から羨ましがられたよ。
「いいなあー!さるかに合戦みたい!」
「僕もママに同じのつくってもらう!!」
照れ笑いしながら一生懸命食った。
たらこだの梅だのねりおかかだの色々入ってて
さながらビックリ箱おむすび。
途中で腹くちくなったけど最後まで休み休み平らげた。
帰宅してからっぽになった包み手渡したら、
顔中くしゃくしゃにして喜んでくれましたね。
おかあさん有難う。
改めてうちのご飯は世界一だと思ったよ。
ガキのクセに生意気な感想だけど。
家を出た今も、米は釜で炊いてるよ。
でーっかい具たくさんおむすびは私が落ち込んだときに
作る必殺入魂メニューです。