嫁「あの、メガネ作りたいんですけど」 「うわぁ……メガネッ娘って感じですねぇ(笑)」

俺……23歳・メガネ屋の店員

嫁……高3・その時が人生初メガネで、
つまんない事言うと一瞬でマジギレされそうな、
切れ長な瞳でキリッとした雰囲気の、なんというか
RPGでいうと氷系の魔法使いそうな感じで、
学園モノでいうと風紀委員長タイプ

きょろきょろしながら店に入ってきたけど、ほんの少し
眉間にシワ寄っちゃってるのがまた、委員長って感じ

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嫁「あの、メガネ作りたいんですけど」
俺「はい、いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」

身にまとう空気が妙に完成されてて、
俺は内心ちょっとだけビビリながら接客した

俺「お客様はお顔が小さくていらっしゃるので、
  細めのフレームにされると輪郭のラインも…略…
  こちらのフレームはいかがでしょう?」
嫁「うわぁ……メガネッ娘って感じですねぇ(笑)」
俺「( ゚д゚)……」

俺の勧めたフレームを楽しそうに試着するのがえらい可愛くて、
思わず呆気にとられた。そして惚れた

あれだ、視力落ちたせいで目を細めるのが癖になってただけで、
別に氷の魔女でもおっかない委員長でもなかったんだな
って、そんな話したら嫁に爆笑されたよ

何をkwsk書こうか

俺「初めてでしたら、このくらいのレンズが
  目が疲れなくて良いと思いますが」
嫁「じー……あ、よく見えます」
俺「( ゚д゚)…あの、私の顔ばかりじゃなく…略…」

俺「…略…では、フレームはどれでお作りしましょうか?」
嫁「店員さんが一番可愛いと思うやつ、どれですか?」
俺「( ゚д゚)……えっと…」

母さん、都会には天然モノの小悪魔がいます(´;ω;`)

からかってるわけでも、ふざけてるわけでもなく
ナチュラルにこういう無防備な感じだったんで、俺としても
ついついサービス精神を発揮してしまって

で、そのうち通学途中の嫁さんと、時々店の前で立ち話とか
するようになったりして。うちの店、駅前だったからさ

たまたま会えて話した日は、一日中嬉しかったっけねぇ

ある意味、長野じゃなくてよかったです

人並みに恋愛経験もあり、控えめに考えて少なくとも
嫌われてはいないんじゃないかと思いはするものの、
年齢差や条例やその他諸々が心配になってしまい、
会えた話せたと日々ささやかに喜びつつ、その実、
いつまでたっても関係を進展させられないという、
客観的に見てちょっと気持ち悪い状態が続いたある日、
嫁さんが友達連れで来店した
良く一緒にいるところを見かけてはいたが、メガネは
掛けてなかった筈なのに、ナイロールフレームの切れた糸を
修理したいというオーダーが意外だった
さっそくその場で作業しようすると、その友達が話しはじめた

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嫁友「こいつ目つき悪かったんですけど、ここでかわいー
   メガネ作ってから顔が優しくなって、人気なんですよー」
嫁「あ、こら、ちょっ……」
俺「いえ、もともと可愛いらしい方でいらっしゃいますから、
  私どものメガネはあまり関係ないのではと」

その時の嫁友の言葉は真偽不明だったが、俺は本心だった
だって、だからなるべく表情の邪魔にならないようにって、
ほぼそれだけを気にしてフレーム選んだんだもの

恥ずかしがる嫁さんの制止を振り切りつつ、嫁友の話はまだ続いた
嫁さん何度か告られてるのに、チャラ男でもマジメ君でも
全然眼中になくて、でも誰かと付き合ってるのかと聞くと
いないと即答して、じゃあ好きな相手がいるのかと聞くと
口ごもるという。それはいつもの無防備な印象とは
全然違っていて、俺には意外だった

嫁友「やっぱりメガネですかね?知的ちゃんなんですかねー?
   店員さんの彼女もメガネかけてるんですか?」
俺「いいえ、私にそういう相手はおりませんので」

なんでお客さん相手にマジに答えてんだよ、
というか仕事しろよと、内心、やっちまった感で一杯になりながら、
でも横目でちらっと伺った嫁さんの顔に、何か安心してる様な表情が
見えた気がして、俺にはそれでようやく嫁友の意図が解った
要するに探りを入れに来たのね、と

そんな話を聞いて、そんな表情をみてしまうと、もうダメだった
もしかしたら、なんとかなるのかも知れないって思ってしまう
ひょっとしたら、俺でも良いのかも知れないって思ってしまう
期待しちゃうと、失望がより大きくなるのにね

で、その日の夜は仕事終わって家に帰っても、
ほとんど一睡もできなかった

翌朝、普段は8時出勤で9時開店なのに、全然眠れなくて、
といって他にやることも無いから取り敢えず出勤して、
結局7時には着いてしまったうちの店の前に、同じ様に眠れず、
なんとなく早く家を出てしまったという嫁さんがいた

俺「あの、えっと、お茶でもいかがですか?まだ朝早いし」
嫁「あ、はい、えっと、ぜひ」

というわけで、人並みに恋愛経験もあり、控えめに考えても
嫌われてはいない筈と思った良い大人が女子高生を必死で
誘った初デートは、うちの店の2軒隣のexcelsiorだよ
しかも朝っぱらからな。というお話

嫁さんの学校はブレザーだから
俺のフェティシズムはカチッとしたスーツ+知的メガネだから

で、あれだ、付き合い始めってもプラトニックなのは
在学中からで、そうじゃないのは卒業と同時

なんか、手を出すと歯止め効かなくなりそうで怖くてね
それまでは、ねだられたってオデコにキスまでだね

でも、慎重な関係の深め方したのは結局正解だったと思う
後々そういう関係になった頃には、俺全然Sッ気無い筈だったのに、
どうしてこういう時はちょっといじわるなんですか、とか
涙目で言われちゃったりして結構ショックだったからね

性癖って自分でも意外と解らないもんだなって思ったさ

バーのカウンターでスーツのメガネ女子と飲むって、
そういうささやかなレベルですら憧れだったんだ
俺、会社勤めしたことないからさ

でも、就職した嫁さんが配属された部署は
スーツ着ない仕事なの。がっかりだよ

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