一人カラオケに行ったら「もし良ければ…ご一緒しませんか?」

俺 当時24歳
嫁子 当時22歳

ある日曜日、雨降りで草野球が中止になっちゃった時があって。
急に誘っても空いてそうな友達もいないし、年齢=彼女いない歴だったし。
そこで、1ヶ月後に迫った、会社の後輩の結婚式で歌唄ってって頼まれてたから、
その練習の為にひとりでカラオケ行ったの。別にひとカラに抵抗ないから。
俺、顔には自信無いけど、歌にはちょっと自信あって、

後輩からは曲のリクエストを貰ってたから
何回かその曲の練習して(式場に自分で問い合わせてカラオケの機種も調べておいた)、
折角来たし、どうせ暇だし、メンツに合わせて曲の選択するような煩わしさもないし、
と思って歌いたい曲を歌いまくってたの。

で、1時間位かな、経った時、1曲歌い終わって選曲してたら、
嫁友「あの…すみません…」
ドアがちょこっとだけ開いて、頭だけ部屋の中に突っ込んだ女の子が2人。
俺 「は?」
嫁友 「おひとり、なんですか?」
俺 「そうですけど…」
嫁友 「もし良ければ…ご一緒しませんか?」

普通無いでしょ?そんなの。いや、あるのかも知れないけど、
俺は聞いたことないし、もちろん初めて、そんなシチュエーション。

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2人とも結構可愛くかったんだけど、普通こんなことありえない事だし。
何かのキャッチセールス的な事かな?なんて考えもよぎって。でも、ハッキリ断ることもできず
俺「ああ…まあ…いいですよ…」
嫁友「ほらっ!嫁子!いいって!ありがとうございます。じゃ私達、自分の部屋の精算してきます!」
颯爽と出ていった。少しして嫁友が帰ってきた。
嫁友「ここの部屋の人数を追加しなきゃダメみたいなんで
一緒に受付にお願いします。」って言われて受付に。

嫁子「すみません…嫁友が、あの人絶対1人だから行こう!って聞かなくて…」
俺「さすがにビックリしましたね。ま、いいですよ。仰るとおり、どうせ『お一人様』ですから。」
これが嫁子との初めての会話。
当時(今も)営業マンで、営業スマイルと営業トークには自信あったけど、
内心ドキドキ。仕事じゃないプライベートで女の子と会話するの
いつ振りだろう…て状態だったから。

そこから俺の入ってた部屋で3人でカラオケすることに。
何故声をかけてきたのか聞くと、
俺が最初に歌ってた曲(結婚式用の曲ね)が俺の部屋から漏れ聞こえてきた。
その時、2人は受付して部屋に行く所だった。その曲は2人とも凄く好きな曲で、
しかも凄くウマイ!って思って部屋の中を覗いてみた。
そしたら男1人。きっとツレがいるはず、と思いつつも、
気になってドリンクバーとかトイレの度に俺の部屋を覗いてみてもやっぱり1人。
きっと『お一人様』のはず!と確信して、思いきって声をかけてみた、と。

色々話したり、2人からのリクエスト大会みたいになって、
俺ひたすら熱唱モード突入したり。

嫁子「これだけ歌がウマイと、彼女さんもご自慢の彼氏なんじゃないですか?」
俺「彼女さんがいたら、日曜日の昼からひとりでカラオケ来ないでしょ。」
嫁子「あ、それもそうですねw」

クッソ!笑われた!どうせオイラはモテナイ君だよ!

2時間位経った頃かな。途中、嫁子が15分くらい帰って来なくて、
嫁友と2人きりにされちゃって。
メチャクチャドキドキしたけど、もちろん何が起こる訳もなく、
そのあともう2時間位して、やはり何も起きずにお開き。

嫁友「今日はありがとうございました!すごく楽しかったです!」
嫁子「ホントごめんなさい。折角の楽しい『お一人様』のジャマしてしまってw」
俺「ホントこれ以上にないイヤミですねwでも、僕も楽しかったです。」

以上終了。

向こうから連絡先とか聞かれる事もなく、俺から聞くなんて根性もなく。
なかなか巡ってこないチャンスを逃して、ちょっと凹んだけど、それも2、3日だった。

それから1ヶ月
後輩の結婚式の前日の金曜日の夜、またひとりでカラオケ行ったの。
もう歌詞見なくても歌えるから別に良かったんだけど、
一応の為に、声潰さない程度に歌っておこって感じで。

その時、1ヶ月前の事思い出して、また凹んでしまった。
当然のごとく、その日は何も起こる事なく終了。

そして結婚式当日。

会社の上司たちと一緒に式場に入り受付へ。
ご祝儀を出して芳名帳に名前を書いてる時だった。

嫁子「歌だけじゃなくて、字も上手いんですね。」
俺「?!」

顔をあげると…

新婦側の受付にいた女の子が微笑んでいる。
最初は分からなかったんだけど…

俺「…嫁子さん?」
嫁子「おひさしぶりです。また後ほど…」

受付だからあまりバカ騒ぎできないんだろう。
俺にだけ聞こえるくらいの小さな声で言った。

しかし、ホント最初分からなかったんだよ。
カラオケの時はTシャツにデニムにメガネ。
その日は、キレイなドレスにフルメイク。メガネなしだもん。

でも、ちょっと気になったんだよね。
偶然の再会にしては、あんまり驚いていないように見えたから。

席についてもそわそわしちゃって、同じテーブルの上司や同僚の話も上の空。
俺は勝手に「キセキの再会」とか感じちゃってるけど、
嫁子のさっきの反応もイマイチに見えたし。
気になって嫁子のテーブルの方見たら、嫁子と目が合って。
そしたら、テーブルの上に掌だけ出して、かるーく笑いながら手を振ってくるの。

そんなんされて、惚れないヤツいないだろ!

ようやく祝辞やらが終わって「しばしの歓談タイム」になった時、
嫁子がビールとコーラ持って俺のいるテーブルへ。
上司とかにビール注いだあと、最後に俺にコーラ注いでくれた。
カラオケの時、俺が酒が全く飲めないって言ったのを覚えててくれたみたい。

上司とかからの
「お前の知り合いか?!彼女か?!」
とか、総ツッコミを何とか受け流したの。
そしたら嫁子の驚きの一言

嫁子「わたし、俺さんがここに来るの、知ってましたよ。」
俺「へ?」

とりあえず、どういう事だかわからないけど…
上司からの仕事以上の追及を回避しようと考えた。

ただ、嫁子のテーブルで話すのもちょっと…
て事で、新郎新婦へのビール注ぎを待つ感じで、嫁子と2人で話すことに。

この間、俺のテーブル、嫁子のテーブルからの視線がビシビシ刺さってさ。

俺「俺が来るの知ってたって、なんで?」

嫁子曰く…
・カラオケの時、結婚式で歌う歌を練習しに来た、
・それが1ヶ月後にある。
・新郎は会社の後輩で、確か俺の2つ年下のはず
・俺が俺の会社名を言った。(名前を聞けば、大体の人は知っている会社)

俺が話した、以上の事でピンと来たらしい。

・自分も女友達の結婚式が1ヶ月後。
・相手は俺と同じ会社だった気がする。(新郎との面識は無し)

確信がなかったから、その場で俺に聞かなかったんだって。
で、カラオケの最中のいなくなってた15分で、新婦に電話して聞いてたんだって。
新婦は、その時俺の名前をまだ知らなくて、
その場に新郎もいなくて、その時は確信まで至らず。
カラオケで別れたあと、再度電話して確認。
教えられた名前が、俺とビンゴ。

そう、俺が悶々としてたその時点で、
嫁子は1ヶ月後にもう1度、俺と会うこと知ってたってワケ。

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俺「て事は、ヤツ(新郎ね)もこの事知ってたって事?」
嫁子「実は、あのカラオケの日の夜、新婦子ちゃん達と夜ご飯一緒に食べて。
事の顛末話したら、新郎くん、面白がっちゃって。
式の当日まで黙っておこうって。」

ヤロー…
何も知らなかったの、俺だけかよ。

そんな話してたら、雛壇の周りががら空きに。
で、嫁子と2人で新郎新婦のところへ。
待ってましたと言わんばかりの2人。

新郎「もうラブラブっすか!自分の予定よりだいぶ早いんですけどっ!」
新婦「嫁子ちゃん、俺さんの事すごく気になってて…
私とか新郎くんに連絡してきて、俺さんの事、色々聞いてたんですよ!」

えっ?そうなの?

確かに、思い返してみると、この1ヶ月、妙に仕事以外の事で絡んできてたからな。
俺がヤローに話した事、全部嫁子に筒抜けだったって事か。

で、トドメの一撃
新郎「先輩、約束、忘れてないですよね?」
俺「約束?」
新郎「やめて下さいよ!焼肉っすよ!焼肉!」
俺「あ、ああっ!これの事か! 」

結婚式の1週間前

新郎「自分、22で結婚じゃないですか。
早いな、とは思うんすけどね。
先輩、結婚どころか彼女もいないでしょ?」
俺「うるせぇよ!ほっとけ!」
新郎「で、結婚式に、俺の知り合いで先輩みたいな
ゴリマッチョがタイプってコが来るんすけどね。良かったら紹介しましょうか?」
俺「マジか!かわいいコ?」
新郎「ヤバいっす。先輩と並んだら美女と野獣っす。但し、
うまくいったら高い焼肉奢って下さいよ! 」
俺「いいよ。それくらい。ま、そんなうまくいくわけないけどさw」
新郎「絶対大丈夫っす。120%うまくいきますよ!」

自信満々だったわけだ。全部知ってるんだもん。一連の流れも、嫁子の気持ちも…

ん?嫁子の気持ち?

えええっ!マジか!!

嫁子の顔見たら、真っ赤な顔してニコニコ笑ってる。ホントかわいい。

新郎「ま、俺らのミッションは成功なんで、焼肉の話はまた今度ゆっくり。
先輩の今日のミッションは歌っすから、ビシッと決めて下さいね。」
嫁子「私も1ヶ月待ってましたから、がんばって下さい…」
そう言って、嫁子は自分のテーブルに戻って行ったんだよ。

何かフワフワな気持ちだったから、正直、歌った時の事、あんまり覚えてないんだけど、
新婦→号泣
嫁子→涙目
会場の女性陣、何となくみんな泣いてた。
(後から動画見たら、ちゃんと歌えてた。)

ま、何とか成功で終わった。
そのあと、式の終わりまでに何人かの女性から声かけられた。
嫁子の先輩とか新婦の同級生とか。
歌ウマも、たまには仕事するみたいね。

で、2次会突入。
式に来なかった俺の会社の人とか、新婦の友達とかたくさん来た。
もちろん嫁子も来た。
その時知ったんだけど、嫁子と新婦は小・中の同級生で、
小さい時からずっと仲良しなんだって。
嫁子は地元の友達とかと話して、俺の所へ来て俺と話して、
また違う友達の所へ行って、また俺の所へ、の繰り返し。

ホント他愛もない話ばっかりだけどね。
でも嫁子、何とか話題作って話を振ってくれて。その、何か健気でさ。

ホントちょっとだけ会話が途切れた時だった。
嫁子が切り出したの。

嫁子「今日の式の動画が友達の間でまわってるんですよ。みんなそれ見てて。
もちろん、俺さんの歌も。
式の間、俺さん女の人に声掛けられてたじゃないですか。
だから、こうして彼女みたいに隣にいたら、声、掛けられないかなって…」
こりゃ、確定フラグたってますよ、師匠!
っていうか、式の最中に分かってたけど。
で、俺「じゃあさ、嫁子さん。「彼女みたい」じゃなくてさ、ホントに彼女にならない?」
嫁子「はいっ!そうします!」

完全に嫁子に告られてたんだけどさ、最後は俺に決めさせてくれた。

嫁子、新郎新婦の所へ行ってその事を報告。
新郎新婦、アタリメーだろっ!って顔で俺の方見てて。
苦笑いしか出来んかったわw

俺、人生初告白で成功。
成功率100%w

カラオケ半日、結婚式・2次会で数時間
実質1日分くらいの接点しかない嫁子と、晴れて付き合う事に。

後日、新郎新婦と嫁子と俺の4人で焼肉屋行って。
ホントビックリするくらい払わされた。

で、ここからは早かったなり。

俺が住んでた(今も住んでるけど)部屋が、
嫁子の勤務先に激近で、ご飯作りに来て、お泊まりして嫁子出勤。
最初は週1くらいだったのが、段々増えていって、
それに比例して、俺の部屋が段々嫁子仕様になっていって。
お泊まり週7+完全嫁子仕様の部屋完成(使い勝手っていう意味ね)まで、
付き合い始めて約5ヶ月。

で、完全同棲開始から3ヶ月。
だから、付き合い始めて8ヶ月か。

俺の高校の同級生が事故で亡くなったの。
高校の同級生の中で、1番関係が濃くて、社会人なってからもよく遊んでた。
亡くなる何日か前にも嫁子も一緒にご飯食べに行ったばかりだった。

葬式から帰って、嫁子にそいつとの思い出話してたら、俺泣いちゃって。
そしたら嫁子、俺以上に号泣。
そいつと面識があったのもあるけど、最大の理由は別のトコだった。

嫁子「あたしね、俺さんが急に死んじゃう想像しちゃって。
そしたらすごく悲しくなっちゃって。でね…
こうして一緒に暮らしてるけど、もしね、今俺さん死んじゃったら、
あたし、ただの同居人なんだよ。お葬式も友人として参列するんだよ。
写真とかの思い出は残るけど、ただの他人なんだよ!
一緒に生きた証は残らないんだよ!あたしそんなの嫌だよ!うわあああんっ!」
確かこんな感じの事言ったと思う。

ビックリした。嫁子が本気でそこまで考えてたなんて。
だってまだ23になったばかりだったから。

でも、俺も考えてみたの。その時の生活。
一緒に寝て、嫁子が作ってくれたご飯食べて、
休みには一緒に買い物行って、遊びに行って。
お金の事が面倒だったから、完全同棲状態になったとき、
もうお財布預けちゃってお小遣い貰ってたし。
結婚との違いを散々考えてたんだけど、何度考えても、
「紙の手続き」だけだった。
それでさ、その生活を嫁子じゃない人としている自分が、
どうしても想像できなくて。

で、プロポーズしたの。

俺「ねえねえ、嫁子ちゃん。」
嫁子「はい。」
俺「今の生活、楽しい?」
嫁子「楽しいですよ。」
俺「じゃあさ、今の生活にもう1個だけ足そうか?」
って言って、婚姻届け差し出した。
嫁子、満面の笑みで
「はいっ!」て。

よくある給料3ヶ月分は無理でした。だって、お財布は嫁子管理ですからw

殆ど嫁子からプロポーズされたようなもんだけど、最後は俺に決めさせてくれた。

そう。付き合う時と同じw

で、去年結婚した。
生活は、同棲の時期と何も変わりません。
特別な事も何も起こりません。
でも、それでいいんですよね。

先週末にさ、嫁子と2人でカラオケ行ってね。
あの時の事思い出して書いてみた。

そうそう、カラオケ行く前に、嫁友に連絡したんだけど、
用事で来れなくて。いたら面白かったんたろうなw

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