基本給20万円でゲーム会社に入社したが明細みたら29,500円だった

かなり前にいたゲーム会社で経験した修羅場。
ちょっとフェイクあり。

その前にいた会社が潰れることになって、
その業務清算中に高校時代の先輩に相談したところ、
「だったらうちに来ればいいじゃん」と言われて、
まだ出来たばっかりのゲーム制作会社に誘われた。

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まずは会社説明ってことで、
社長と副社長が直々に自分と3人を高級そば屋
(上は数千円、下でも千円前後ぐらい)に招待してくれて、
福利厚生社会保険その他はしっかりしているのと
基本給は20万円前後と説明してくれたし、
先輩もいるからと安心して
他何人かも含めていい印象を持っていた。
元映研でシナリオも興味あったし。

今思えば、それが地獄への入口だったと思う。

その後、会社でさらに詳しい説明をするということで
車で会社まで連れて行かれた。
小さいマンションかどこかの一室だと思ったら、
ボロボロなアパート。

それぞれプログラム、シナリオ、CGの部屋が
台所まで使って3部屋に詰め込まれていて、
隣の部屋が宿泊所がわりの仮眠室、
さらに隣の部屋が社長の自宅で、
開発室と宿泊所はトイレと風呂が壊れていて、
台所含めて社長宅でしか使えないというシステム。

あ、これはマズいと思ったんだけど、
先輩に懇願されるわ社長に引き止められるわで
試用期間ということで、
まずは1ヶ月だけやってみるということになった。
前会社の給料遅配でお金もなかったしね。

この業界には労働契約書がある会社もあれば、
「契約書?なにそれ」みたいな会社もある。
この会社は後者で、口約束で仕事が決まった。

数日後に初出勤。自分の担当はサブシナリオ担当。
先輩がメインシナリオ(重要シーン)担当で
自分は日常シーンを担当することになった。

この日常シーンっていうのがクセモノで、
ゲーム中の期間が60日間あるんだけど、
まず1日が朝昼晩に別れている上に、
1日の終わりにはメールが来る。
ここでまず4種類。

さらに喜怒哀楽のパラメーターによって内容が変わって、
喜怒哀楽それぞれ上中下の3段階に別れてるから
4×3で12種類。
そしてヒロインが3人いる。

全部まとめると、 《60日×4種類×12種類×3人》
 60→240→2880→8640
つまり8640種類のデータを作れということだった。

ゲームの内容と大まかな仕様は最初の説明で聞いていて、
普通のアドベンチャーゲーム形式と言われたけど、
どうもこの仕様は隠していたらしい。ハハッ。

朝8時出勤、夜10時退勤のスケジュール。
家を朝6時に出て12時に帰る。睡眠4時間。
その間ただ日常シーンのテキストを作るだけ。

とにかくまずは基礎作りだからと休日も全然ない。
勤務時間は月間400時間は軽く越えてたと思う。
それでも給料が出るならと頑張っていた。

CGで入った3人も、原画って言われたはずが
キャラクターデザインの人が実は原画も兼ねていて、
その色塗りだけをやることになった。

これもメインシーンだけじゃなく立ち絵でも
私服・制服・その他色々とかで
とんでもない差分数があって、
多分1000枚越えてたんじゃないかな。
日に日に目が死んでいった。

しかもCG組は家に帰してもらえず、
仮眠室送りで週に一度だけ着替えを取りにだけ
家に帰っていいという待遇だった。

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シナリオの先輩も頑張ってた。
プログラマーさんも頑張ってた。
原画さんは外部の人だから見たことない。

社長と副社長は資金稼ぎとかいって同人誌を作ってた。
しかもまだ出てない自社作品で。
しかも絵も描いたことがないから文だけ。

「もう雑誌に記事が載ったし売れるだろ」
とか言ってたけどハハッ、ワロスと今なら笑える。
だって雑誌に載ったのラフだけだし。
でも当時は感覚が麻痺してて大変だとしか思わなかった。

そんなこんなで1ヶ月経って、給料日。
その日は遠方から友人が来るので
前日から三日間休みを貰って、
待ち合わせ前に銀行で給料を下ろそうとした。

初出勤日に会社近くの口座で作った
真新しい通帳とカードを入れて、
記帳ボタンをぽちっとな。

通帳に書かれてた金額。
29500円。
もう一度見る。
29500円。
    _, ._
  ( ゚ Д゚)

リアルで↑の表情をしていたと思う。
おいおい交通費+αだけかよ。俺の400時間は?

あわてて会社に電話すると、
前日に仕様変更したとかで俺が作った
3MB分のテキストは全ボツになったらしい。

しかもCG組にメールで確認してみると、
CG組もアニメ塗りから違う塗りに全部変更するから
(アニメ塗り→陰影とかつやを一色ずつで表現
 新規の塗り→陰影とかつやを丁寧に表現)
全ボツで俺と同じ29500円だった。

通帳をカメラで撮影したファイルもついてきた。
「ひどいよ」ってメッセージを添えて。

ここで俺は「あ、終わった」と思った。
で、労働契約書がないわけですよ。拘束条項もない。
しかも「まずは1ヶ月だけ」と話していた。

その後友人と落ちあってから内情全部ぶちまけて、
(守秘義務とかそんなのもないわけですよ)
その作品のおかしさを再確認。

友人からは
「お前はこれ以上その仕事をしていたら絶対に潰れる。
その会社から逃げたほうがいい」と言われたので、
ケータイの電源を切ったまま翌日ケータイの契約を解除。
PCもプロバイダのメールアドレスを変更した上で
そのまま音信不通を貫いた。
自宅は高校卒業してから引っ越してて
会社にも伝えてなかったから、
そのまま住んでいて問題なかったのが幸い。

それでも胃腸と心がぶっ壊れて
病院通い確定で、しばらくは修羅場。
それでも逃げられてよかった。

新プロバイダメールでCG組も逃げたことを確認して、
先輩にだけは詫びようと思ってフリーメールから
メールを出したら
「わかってる。あとはなんとかする」というメールが来た。
それだけは申し訳なかった。

一年後にはゲーム雑誌の販売予定から
そのソフトの名前は消えていた。
結局その会社は一本もゲームを出さないまま消えた。
先輩も逃げて別の会社の広報になっていたのでホッとした。

もう一つ思い出した。
シナリオ部屋というのがまさにタコ部屋で、
4畳半の部屋に座卓×2+PC2台。

ネットも接続されてなくて、
3時間ごとに必ず進捗状況として
出来たところまで見に社長が部屋に踏み込んできた。

疲れて休憩してたりしたら、
昼飯・夕飯の買い出しで何も買ってきてくれない。
これは先輩に対しても同じ。

帰宅以外の外出も許可されていないから、
空きっ腹で作業させられるのが地獄だった。

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