ある年の冬休みに、初めて上京。
友人宅に何泊かする予定だったので、荷物は結構でかかった。
夜行バスが予定よりも早く着き、早朝東京駅でぼーっとしていたときに、
20代半ば頃のカップルに声をかけられた。
「どこからきたん?」
「なにしているの?」
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恐かったけども、正直に答えていると、
突然女の人が笑い出した。
「ごめんごめん。家出少女に見えたからさ〜」
中学生ぐらいの女の子だと思ってたらしい(当時私は大学生)。
聞くと二人は夫婦らしく、旦那さんは元族のリーダー、
奥さんはレディースだったという。
現在は夫婦で気楽なホームレス生活をしている、
とのこと。
「家には東京に着いたと連絡したんか?」
「まだ朝飯食べてないんだろ?おごっちゃるよ」
「東京でヘンな奴にあったら俺に言えよ。
俺が吹っ飛ばしてやるからな(彼の靴は鉄板入り)」
「荷物重いんじゃない?ほらあんた持ってあげなよ」
家への電話代を払ってくれた。
スープをおごってもらった。
改札口まで荷物を持ってもらった。
初対面の私に二人はとてもよくしてくれた。
そして、最後に。
「これ、お守りな。着けとき」
改札口でお礼をいって、別れるときに彼が手渡してくれたのは、
雫形のペンダントトップのついたネックレス。
「気を付けるんだぞ、東京は恐いとこらだから〜」
最後の最後まで親切だった若い夫婦。
初の上京という不安を解消してくれた。
この二人とはこれっきりだけど、私の手元にはまだ、
彼がくれたお守りが残っている。
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