昨日の出来事
うちの嫁は娘が2歳のときに亡くなったんだが、
居間でソファに座ってTV見てたら、
後ろを嫁が歩く気配がした。
ハッとして振り向いたら高2になる娘がいた。
あんまり勢いよく振り返ったんで娘もびっくししてた。
そこで気づいた。娘の匂いが嫁だった。
シャンプーと洗濯用洗剤とボディークリームが混ざったような匂い。
匂いって不思議だよな。
匂いで鮮明に記憶が呼び出されるんだよ。
それでつい、涙が出てしまってな。
娘も心配して「大丈夫?」とこっちに来た。
俺「いや、大丈夫。それよりお前、いい匂いするな」
娘「なにいきなり。キモい(笑いながら)最近ボディークリーム変えたから、それ?」
それが嫁と同じだった。
よく見たらシャンプーも同じだった。
どうしてそれ選んだのかと聞いたら
いい匂いで、なんだか安心するんだと。
2歳でも母親の匂いは記憶に残ってるんだなと思ったら
もうダメだった。
妻を失った悲しさもだけど、
娘が無意識に母親を求めているのが可愛そうで
涙が止まらなくなってしまった。
いい年した親父が娘の胸でおいおい泣いてしまった。
それはママの匂いだよ。と教えると、
娘はちょっとビックリしてから微笑んで、
そっかって言った。
今でも嫁を愛してる。
最近嫁にますます似てきた娘に、
今度、ゆっくりと母親の話をしてやろうと思う。