私は若干畑違いだけど、
色々な小学校に関わる立場の仕事についた。
そしたら2人の評判が聞こえてきた。
冷たい厳しい先生になるんだろうな、
と思われた冷子。
彼女自身は相変わらず面倒くさがりで、
「子どもはなんもできないお荷物」
って考え方
でも、だからこそ、
「どうせなんも出来ないんだから面倒くさくないように
二重三重に予防線をはる」
ってことをしていた。
例えば、1年生が初めて図工でハサミを使うとしたら
どうせうまく紙を切れないだろう→あらかじめ切る線を見やすく紙に印刷
どうせ怪我するやつもいるだろう→補助の先生を呼んでおく。
絆創膏も用意
どうせまったくハサミを使えないやつも
いるだろう→最悪切れない子はちぎり絵で作品にしても可
みたいに、フォロー体制が万全だった。
結果的に、図工苦手な子もそれなりの作品を
しあげるから、子どもたち自身大満足だし、
どうせ出来ないと思ってた分、冷子は
「え、みんな出来たの!?すごい!!
絶対無理だと思ってた!君たち天才か!?」
と子どもらをべた褒め。
どの教科でも同じく、万全フォロー&ちょっとでも出来たら
べた褒めなので、冷子のクラスの子は自信をつけ、
何に対しても積極的になり成績もグングン
伸びていった。
手のかかる子どもに対しても
「もらってる金の分きちんと仕事はする」
と言って、冷静かつ根気強く接してた。
おかげで問題行動も改善し、
保護者からの信頼度も抜群に。
一方の熱子。
「子どもの可能性を信じる」彼女は
「君たちならこれくらい出来るって信じてる!」
と、どう考えても無理な課題を丸投げするように
さっきの図工の例だと
うまく紙を切れるって信じてる→得意な子以外、
何をどう切っていいか分からず適当に切り刻む
ハサミの扱いくらい身に付いてるって
信じてる→指先を切る怪我多発、
補助の先生もいないからカオスに
素晴らしい作品が出来るって信じてる→出来てない
と、惨憺たる結果で、熱子は爆発。
「先生は君たちを信じてるんだよ!?
やれば出来るんだって!だからふざけてないで、
ちゃんとやりなさい!!」
ヒステリーにわめくけど、
具体的な指導やフォロー体制がないから、
出来る子だけがほめられ、出来ない子は置いてけぼり。
さらに熱子は子ども好きだけど、好きすぎて、
悪いことをした子をろくに叱らずにいた。
当然、ずる賢い子がクラスでのさばる。
手のかかる子どもについても
「君は本当はいい子だって信じてるよ」
と言って、対策を何もとらないから、
もめ事ばかり起こって保護者から苦情が殺到
「私はこんなに一生懸命やってるのに!」
って職員室で泣く熱子ばかり見るようになった。
結局、熱子はいわく付きの教師として有名に。
一方の冷子は、有能な教師として評判になっていった。
大学時代の予想と真逆になったのが衝撃。
どんな人がいい先生になるのか、
分からないものだね