15年くらい前の話。私(私/当時小学生)、父・母の3人家族
当時放送中だった某ドリフトアニメやF1などに感化されて
親が三菱のランサーエボリューション
(以下エボと呼びます)というスポーツカーを購入。
ナンバリングシリーズで、買ったのは7番目でした。
純正で走るつもりは元々両親ともなく、
改造するつもりでいました。
納車後クルマ系雑誌を見て、
一番考え方が似ている某店にお世話になることに。
最初の改造で大幅に改造して、
これで快適にドライブできる!と、両親大喜び。
私はエボの見た目がかっこよくなった!
ぐらいにしか思ってませんでした。
そんなある日、改造でお世話になったお店から、
「某雑誌編集部から、○○(地名)で取材をしたい。
近くにお客さんがいるなら紹介してもらい、
取材できないか聞いてほしいと連絡が来てる」
との電話が。
取材場所は車で30分もかからないほどに近く、
またその雑誌というのも、
両親が愛読していた雑誌だったので取材を快諾。
その後滞り無く取材は終了した。
後日雑誌社から取材のお礼にと
発売日よりも前に車と私一家が載ってる雑誌をもらって、
でも特に何かをするとかもなく、普通に過ごしてた。
ここまでが前提です。
雑誌発売日から数週間後の日の朝、
家の前の通りを挟んだ向かい側のガレージに
停めていた愛車がなくなっていることに気付いた両親、
早朝から大騒ぎ。
母は号泣してるし父は警察や勤め先に電話してるしで、
私が起きた時には既にそんな状況になっていたが、
私は学校があり、普通に通学させられた。
学校が終わって帰宅しても親はいなかった。
その日はお弁当を買って食べた。
夜遅くに両親帰宅、すごく憔悴してた。
現場検証と、その日のうちに
車の登録を抹消したりって処理をしててぐったりしてた。
子供でも解るぐらいの憔悴ぶりだったから
とにかく何か食べてもらわないとって
おいしくもない焦げた玉子焼きを無理に食べさせたw
改造してもらったお店にも
盗難されたことを報告しに行ったら、
そこでも母が大号泣。
店長
「大丈夫?俺の店にあるエボあげるから泣かないで」
母
「そのエボって、そこにあるエボ?」
店長
「そうそう。前にサーキットで走ったやつ」
母
「いらない!
リッター1kmしか走らない車なんかいらない!
うわあああん!」
店長
「(オロオロ)、それだけ言えるなら大丈夫だろう」
ていう状況で、不覚にも笑ったww
でも、当時車のことをよく知らなかった私も、
エボには愛着を持ってた。
車というより、家族っていう愛着で、
だからやっぱり悲しかった。
もうエボに会えないのかなって思うと
泣いてしまうぐらいには、悲しかった。
それから3ヶ月後の冬、隣県の警察から家に電話があった。
ちょうど両親揃ってでかけてて、
私がその電話をとったんだけど、
まさか車が見付かったっていう連絡だとは思わなくて、
驚いて泣いてしまった。
電話先の警察官、
すごく必死に電話口で泣く私をあやしてくれてた。
次第に冷静になって、
すぐに親に連絡するから警察署の電話番号控えて、
親に連絡を取ってあとの対応をお願いした。
次の日、父が積車に乗ってエボを引き取りに行ったんだが、
まぁ、ひどかった。
隣県の、交通量の少ない道路上に
放置車両があるとの近隣の方からの通報で
警察が車両を引き取り、
調べたら私家からの盗難車であることが判明
→連絡とのことだった。
ただ乗り捨てられただけじゃなかった。
電柱にぶつかって、左前のタイヤが
タイヤハウス内側に接触(軸が折れた)で自走不能で、
証拠隠滅を図ったのか車内に消火器噴射されてた。
そんな痛々しい姿になっても、
帰ってきてくれたと父が泣いた。
家族全員が泣いた。
その日のうちにこれまた別の県にある、
件のお店にエボ持ち込み。
店長が「俺が全責任を持つ、絶対直す」
って言ってくれた。
改造してるお店なだけあって、
純正のパーツは中古だけど揃ってたから、
格安でそれに付け替えてもらった。
問題は消火器の粉で、
これがエンジン内に入ってたら
廃車にするしかないと店長から言われてた。
不安があったけど、不幸中の幸いでエンジン内は無傷。
あとは車内のシートとかカーペットとかに
べったりついた消火器の粉を
手が荒れるのも構わずに掃除してくれた。
「俺がする!」って、
他のスタッフ誰一人にも触らせず、
全部店長が一人でエボを
なんとか走れるまでに回復させてくれた。
ありがとう、って
何回言っても足りないくらいの恩をもらった。
だから絶対に大切にこの車を乗ろうって思った。
それから10年間は、どこに行くにもエボと一緒だった。
エボと一緒に大きくなった。
エボのおかげで私もMTの免許を取ることができた。
親に影響されたのか、私も車好きになってた。
ついにエボを手放さなくちゃいけなくなった時、
本当に嫌で嫌で仕方なかった。
盗難された日以上に悲しかった。
もう絶対に会えないってわかってたから。
手放した後しばらくは無気力の日が続いた。
家には在りし日のエボの写真。
だんだんとエボのいない生活にも慣れてきて、
なんとか笑えるようになった。
改造したお店とは、
エボを手放してからも懇意にさせてもらった。
店長
「しばらく顔を見てないから顔を見せに来て!」
私
「でも改造できる車、もうないよ」
店長
「関係ない、こっちもデモカー新しいの仕入れたから
乗りに来い!」
デモカーを新しく入れるたび、
そうやして元気づけてくれた。
私両親よりも年上の店長は、
もう今じゃ親戚のおじさんっていうほど仲良し。
縁あって、そのお店のデモカーを
譲ってもらえることになったので、
またドライブをいっぱいできる生活ができると思うと
本当に幸せ。
来週、また顔を見せにそのお店に行ってくる。
「お前は娘みたいなもんだから、
いつでも遊びに来いよ」
そう言われてるから、遊びに行ってくる。
長くなったけど、以上です。
吐き出せてよかった。ありがとう。
警察が言うには、
犯行時間が朝の5時か6時頃だったので
プロの仕業とのことでした。
また、盗難した側と
それを乗り回した側は別人の可能性があり、
現行犯で捕まえない限り
検挙はほぼできないとも言われました。
車が発売されたのがまだ日も浅く、
雑誌掲載がとどめのようで
窃盗犯の注目を集めたのではないかと思います。