姉が羨ましくて妬ましい。
姉は昔からある分野が飛び抜けて秀でてた。
仮に絵だとするね。
上手いだとかそんな程度の話ではなくて、
こういうのが天才っていうやつなんだなってレベル。
親はよく姉の事を「絵の神様の愛娘」だとか冗談混じりに言ってたりした。
それまでは親や周囲から褒められるからなんとなくでやってたけど、
中学頃からは姉自身その分野にのめり込むようになって、
出場するコンテスト総なめ状態。
姉の作品を購入したがる人も徐々に現れ始めて高校~28歳までに、
贅沢しなけりゃ一生生活出来るくらいの金額を稼いでた。
そんな姉を心から尊敬してた。
でもそんな姉が29歳でピタッと絵を描く事をやめた。
というか姉が言うには「描きたいことがなくなったから描けなくなった。
描く意味がなくなった。」らしい。
「自然と頭に色々なものが浮かんできてそれを表現するためには
絵が一番いい方法だったから描いてたけど、
もう浮かんでこないから描く必要がない。描き尽くしたからやらない。
あー楽しかった!」と本人は大満足。
もちろん両親や関係者は必死に止めたよ。
「姉の絵を求めてる人はたくさんいる!
これからも伸びていけるのにこんなとこで止めるのはありえない!」
と言う周囲の人間に、姉はキョトンとしながら、
「描く意味がわからない。描くものがないのに
何を描けばいいの?みんなが求めてようがなんだろうが、
描けないものは描けないし描く必要もない。私は死んだの。」
と言い切って引退、今は家で元気にほぼ引きこもり隠居ゲーマー生活を謳歌してる。
姉の人生だし、姉が選んだ事なら仕方ないよ。
仕方ないのはわかってるけど腹がたつ。
私も別分野だけどそれなりに結果は残してるし
それなりに名前も知ってもらえてる。
でも私のは努力して努力して努力して、
それでも「それなりの結果」しか手に入らないのに、
楽しい・やりたいだけの気持ちで「たくさんの賞賛と実現出来る環境」を
手に入れられる才能を持った姉が、それを自ら放棄してしまった事が許せない。
だったらその才能を私に欲しかった。
望んでも私には手に入れられないのに。なんで姉だったんだろう。
同じ両親から生まれたのに、なんで私は神様の愛娘になれなかったんだろう。悔しい。羨ましい。
才能の枯渇かぁ…。
うん、そう言う事なんだと思う。
それでもただただ羨ましくて妬ましくて仕方ないんだよねw
もしも私も神様の愛娘になれてたら才能を絞り尽くしても
惨めに縋り付く晩年を晒してると思うよw
私、自分がやってる分野が好きで好きで仕方ないの。
もう二十数年やってるけど、それでも始めた当初と
変わらないくらいに大好きでたまらないの。
「今でもこれほど楽しくて大好きで仕方ないのに、
姉ほどの才能を持ち合わせてたらさらにどれだけ楽しいんだろう!」っていつも思ってしまう。
凡人にはどうやっても掴めないほどの才能を持ち合わせていながら何故使わない?
何故活かさない?何故?何故?って考え出しちゃうとどんどん
どす黒い感情が湧いてきちゃうんだよw
まぁいつか姉の頭にまた色々なものが浮かんでくる事を願いながら気長に待ってみる。