生まれてきてごめんなさいレベルでもうこの世にいない兄貴に謝り続けてる

うちの現在進行形の修羅場。

俺の家は俺、父、母、義姉(兄嫁)の
四人で暮らしてる。
二年前兄貴が事故で亡くなって
身寄りのなかった義姉が
身を寄せるようになって、
働きに出てる母親に替わって
専業主婦みたいな立場になってる。

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兄貴と義姉は、
高校生のカップルでもこんなのは
ないだろってぐらい仲が良かった。

平日も休みも家にいる時はずっと一緒で、
二人で実家に遊びに来た時も、
俺達に気を遣いながらも油断すると
すぐ二人だけの世界に入って、
すぐそれに気付いて二人して
気まずそうに真っ赤になって、
見てるこっちまで微笑ましくなるぐらい
仲のいい夫婦だった。

それが兄貴がいきなりいなくなって
義姉が喪主として葬式した時、
普段の様子からは考えられないぐらい
平然としてた。

親戚や兄貴の友達が
泣きながら焼香して挨拶する中、
ずっと平然としてて時々微笑みながら
弔問客を慰めたりしてる。

冷たい人だとは思わなかったけど、
でも悲しみを必死に押しころして
対応してるって感じにも見えなくて、
この人の精神状態どうなってるんだろうって
ずっと不思議に思えてならなかった。

その後の初盆や一周忌の時も
それは変わらなくて、時々笑いながら
懐かしそうに想い出話をしたりしてて、
まあこういう感じ方考え方の人も
いるのかもなーって敢えて
考え込まないようにしてた。

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それが先週の日曜日、
映画を借りてきて居間で見てたら、
二階から降りてきた義姉さんが
いきなり膝から崩れ落ちて号泣。
俺と親父とお袋の前でいきなり
泣きながら兄の名前を叫びだした。

落ち着いてから話を聞いたら、
俺の借りてきた映画が付き合ってた当時に
一緒に観に行った想い出の映画だったらしくて、
それが不意に流れてるのを見たら
色んなものが溢れて来て止まらなくなったと。

ごくたまに、あまりに悲しいことがあると
感情が麻痺してかえって平気な顔してて、
後になって物凄い揺り返しが
来るタイプの人がいるけど、
たぶん義姉はそれだったんだろうな、
っていうのが親父の談。

でもその揺り返しがあまりに激しかったのか、
それ以来義姉さんはずっと
壊れたみたいになってる。

朝起きて普通に挨拶したと思ったら
いきなり部屋に籠もって泣きだしたり、
気分転換に買い物に連れていっても
モールのど真ん中で
うずくまって泣きだしたり、
何もせず放っておいたら起きてる時間の
八割ぐらいずっと泣き続けてる。

ここ数日は頭を抱えて震えながら
「ごめんなさい」って呟くことが多くなって、
何を謝ってるのか聞いてみたら
一緒に暮らしてる時に料理に失敗したとか
デートでワガママ言ったとか
他愛のない些細なことから
子供を持たなかったことや
両親がいなくて迷惑かけたことのような
他人が口を挟めない内容まで様々、

というより
生まれてきてごめんなさいレベルで
ありとあらゆる事を、
もうこの世にいない兄貴に謝り続けてる。
ずっと。

迷惑とかいい加減にしろとかは思わない。
ただ、二年分圧縮された悲しみに
押しつぶされてる義姉さんの姿が
物凄くつらい。

俺も親父もお袋も
話を聞いてあげるぐらいしかできないのに、
その話を聞くことすら
まともにできないのが本当にきつい。
時間が経てば落ち着いてくるんだろうか。

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