いいことして爽やかな気分になるなんてことは全くなかった

銀行でお金をおろした後、
駐車場に戻ったところで
封筒が落ちてるのを見つけた。

「ウッシッシ」と
思わなかったわけではないけど、
自分の他には誰もいなかったし
ひとまず拾って中を確認。
手が震えたよね、
諭吉が何人もいたら。

ウッシッシどころじゃねえ
早く届けないと、でもどこへ?
とテンパりつつ銀行へ戻り、
受付の人に
「お金が落ちてたんですが
どうしたらいいですか」
と尋ねてみた。

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「うちじゃ預かれないので、
警察に届けてください」
と言われて、初めて
『落し物は交番へ届けましょう』
を思い出した。

でもテンパってるから
最寄りの交番思い出せないw
受付の人に交番の場所訊いて、
何とか震えながら
運転して交番に辿り着いた。

実はこの時妊婦で、
「お金拾ったよーすごいねー」
「帰ったらお父さんにもお話しよーねー」
などとお腹の子に語りかけながら
運転してたが、そうしてなかったら
頭の中がぐるぐるで
運転ミスってたかもしれん。

交番では書類を書いたり
話を聞いたりしつつ、
持ち主が見つかったらまた連絡します
ということで帰ろうとしたら
男性が一人慌てた様子で
駆け込んできた。

話から察するに、
あのお金はこの男性が落としたものみたい。
色々警官が確認してる時に
男性がかなり苛立ってるのが分かって
すごく居辛かったけど、
そのまま帰れない雰囲気だったので
まだその場にいた。

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何だかんだでその男性に
お金が戻ったんだけど、
今度は謝礼の話になった。

警官は「いやーこの人が拾って
届けてくれなかったら大変だったよね~」
と男性に軽く圧力かけてくるし
私にも「絶対受け取りなさい」的な事を
暗に伝えてくるし、

男性は男性で感謝はしてる、
いくら欲しいの?みたいな感じで
聞いてくるからこの時が一番困った。

「いえ、要りません」って言えたら
カッコよかったんだけど、
自分はそこまで出来た人間ではなかったので、
相場と言われる一割を受け取って
今度こそ帰った。

家に着いたら腹がキリキリしてくるし、
どっと疲れてしんどかった。

いいことして爽やかな気分に
なるなんてことは全くなかった。
「拾ったお金を交番に届ける自分エライ」
なんて思えたのは男性が現れるまでで、
あんなプレッシャーかけられてま
で謝礼貰うくらいなら
大金なんて拾いたくないと思った。

ちなみに子供は無事生まれて、
すくすく育っている。
拾ったお金はネコババせずに交番に届けて、
「謝礼?要りませんよハハハ☆」
と爽やかに立ち去れるような
子になって欲しい。

男性のイライラが怖くて始終
「あわわわ」って思ってたけど、
あとから多少減っても
戻ってきたんだしいいじゃんって
思うことにしたらちょっと楽になったよ

いただいた謝礼は
子供の費用に充てるのも
なんか縁起が悪いというか
気持ち悪かったので、
予定してた日帰り旅行でぱーっと使った

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