×年前、隣町で地元民の
婚活パーティーのような催しがあった。
主催の議員さんの奥さんが
私母と仲が良かったため、
ちょうど夏休みで帰省していた私に
「手伝いのバイトをしないか」
と声がかかった。
当時大学生で、
ちょっとでもお金が欲しかったのでOKした。
当日「参加者女性より目立っちゃ駄目、
地味な格好で来なさい」と言われていたので
すっぴんにユニクロ上下で行った。
やることと言えばテーブルと椅子の搬入とか、
参加者に名札を配布するとか飲み物の用意とか
至って楽なバイトだった。
でも参加者でもない私が
なぜか参加者男性に目を付けられる羽目になった。
向こうが私に目をつけた理由は
「チャラチャラ着飾っていない。若い。よく働く」
という物だった。
当然だけど参加者女性はおしゃれしてきてるし、
結婚適齢期~ちょっと上くらいだし、
参加者だから働くわけがない。
その時点で「いや言い分おかしいだろ?」
と思った。
第一相手は20歳近く上だったし
父親と大して歳変わらないしで、
そんな目で見れないので
パーティが終わるまで忙しいふりして逃げ回った。
でもそれが逆効果で
「骨惜しみしないでよく働く女だ!」
と思われてしまった。
帰り際も待ち伏せされて
携帯番号を聞かれたけど
「彼氏います!(嘘)携帯持ってません!(嘘)
彼氏(嘘)以外眼中にないから無理です!」
と叫んで議員さんの奥さんの車に飛び乗って帰った。
3~4日して家で留守番していたら、
チャイムが鳴った。
親から宅配便が届くと言われていたから、
クロネコだろうと思い開けたら
(実家はインターホンがない)
その男性だった。
なんで家知ってんだ!いかん!
すぐドア閉めなきゃ!
と思ったんだけど体が動かなくて、
声だけは出たので「ウワー!」とか
「ウギャー!」みたいな声で絶叫した。
たぶん楳図かずおの
漫画みたいな顔をしていたと思う。
そしたら相手が声でひるんだというか、
ゲッという顔をした。
その顔を見たら「いける!」
という気が湧いてきて、
体が動くようになった。
男性がドアの隙間に足を入れて
閉まらないようにしているのが見えたから
「ウワー!ウワー!」と言いながらけった。
男性が足を引っこめた隙にドアを閉め、
裏口まで走って、サッシを開けて
庭で草刈りをしていた裏の家のおじさんに
「知らない人が玄関にいるー!怖いー!」
と叫んだ。
おじさんは鎌を持ったまま駆けつけてくれた。
男性はまだ玄関にいたので
「お前どこのもんだ!名を名乗れ!住所言え!」
とおじさんが問い詰めた。
よその家からも野次馬が集まってきて、
男性は逃げた。
その後議員の奥さん
→議員さん経由で正式に苦情を入れてもらった。
なんで私の実家を知ったかというと、
別の議員さんの親戚(高校の同級生の母親)
が教えてしまったらしい。
キューピッド()のつもりだったという。
男性「すまないことをした。
面と向かって謝りたい」私「お断りします」
…と断ったはずなのに、後日またやって来た。
上記の「別の議員さん」が
「謝罪くらい受けてあげて」
と言って連れてきてしまった。
この時は親がいたんだけど、
母親「帰せ!」父親「謝罪くらい」
と意見が割れて、父親が家に上げてしまった。
結局父親の判断が間違いで、
男性はトイレを借りるふりをして
私の部屋を物色したので完全に出禁になった。
私は予定を前倒しして帰省を切り上げ、
アパートに帰った。
その後しばらく、夏休みに帰省するのはやめて
GWや秋の連休に帰るようにした。
何年かして結婚し、
いくらなんでももうOKだろうとお盆に帰省したら
例の男性から書中見舞いのハガキが来ていてビビった。
まだ毎年届くらしい。
おしまい。