本当に神経わかんないうちの馬鹿父の話
長々とごめん
うちは母がお店(かなり繁盛していて支店もあった)
を経営してバリバリ稼ぐ人だった
その反動か(?)父はふわふわとした遊び人
仕事を転々としていて、
私の記憶にある限りでは仕事してる期間より
無職期間の方が長かったんじゃないかと思う
子供の頃はいつも遊んでくれるお父さんが好きだったけど
大きくなるに従って
(アレ、この人駄目人間なんじゃ…)
って思うことが増えた
でも母は「もうちょっとしっかりしてくれないと」
と言いながらも結局別れなかった
そんな母が、四十代の若さで亡くなった
私は別の業種で働いていたし、
父が引き継いで経営できるはずもないので、
店は人手に渡すことになった
優良物件だったので、
かなり高い額で引き取り手があった
そのお金と母の預金を父と一人娘の私で分けた後、
税金を差し引いても相当な金額になった
お金が手に入って即、
父は当時やってた仕事を辞めた
私は実家から電車で一時間ほどの距離に住んでいて、
月に一度程度帰っていた
仕事を辞めた父は、車や時計、カメラ、旅行等
かなり派手にお金を使っているようだった
私は段々不安になって
「お父さん、これから働かないで
八十まで生きるとして、
お金足りるか逆算してみた?」
とか言ってみたけど何の効果もなかった
そして、母がしんで2年も経たない頃
実家に帰ったら父が
「再婚を前提に付き合ってる女性がいる」
と言い出した
引き合わされたのは、
父の行きつけの飲み屋で働いてるとかいう女性
×2で子供が4人居て、
全員成人済みだけど無職かフリーター
正直あまり好感は持てず、
(ちょっとは考えろよ…)と思ったけど父には
「応援は出来ないけど
ひとの恋愛に反対する権利もないし、
そっちで良く考えて」
とだけ言って放置した
案の定というべきか、
数ヵ月すると段々と父の話に愚痴が多くなった
女と子供達がとにかくお金をたかるらしい
「何かというと『パパお金出して』って……
俺、もしかして金蔓なのかな?どう思う?」
とか泣きそうな顔で言うから、
これが五十近い男が娘にする相談かと呆れながらも
「はっきり言うと、そうだと思うよ」
とだけ答えておいた
そしたらある日会社に女の息子達が突撃してきた
エントランスで止められていたけど、
呼ばれて出ていったら
「お前、ファザコンか」
「ひとの恋愛邪魔すんじゃねぇよ」
等と声を荒げる
訳が判らず詳しく話を聞くと、
馬鹿父がママとの別れ話に私をダシに使ったらしい
「俺は別れたくないけど、娘が猛烈に反対している」
「これ以上君と付き合ったら親子の縁を切ると言われた」
とか何とか根も葉もない事を言ったらしい
何とか家に帰ってから電話で怒鳴り込んだよ
そしたら父は申し訳ないといいつつ
「彼女とお前は女同士だろ?
何とか女同士でうまく決着つけてくれないかな」だと
父は、私の会社もアパートの住所も
彼女や息子連中に教えてしまっていた
ああもうこいつ駄目だと思った
翌日、上司のAさんに事情を聞かれて
恥を忍んで話したら随分と親身になってくれた
身の危険を感じていると言うと、色々助言をしてくれ、
希望するなら他県の部署へ異動できるよう
上に掛け合うと言ってくれた
(女子社員は基本的に異動の無い会社だった)
それで三ヵ月後、他県(と言っても隣県だけど)
へ引っ越すことになった
引っ越すまでにも
女と息子達の突撃が何度かあったけど
上司がガードしてくれ、
寝泊まりはほぼウィークリーマンションで
していたので無事だった
引越し先と転勤先は、もう父にも教えなかった
あれから数年、
まだ父は彼らにまとわりつかれているらしい
泣き言メールがたまに来るけど、
一度も帰ってないし私の居場所も教える気はない
もう好きにすればいいと思う
あの時親身になってくれた上司のAさんが、
近々旦那さんになってくれる事だけが救い