集金袋がなくなった「今日部室に一人でいた人は誰か」

大学時代、某マイナー競技の部活をやってた
ある時、次の遠征試合まであと半月ってタイミングで
ひどい風邪引いてしまい、
学校も部活も数日休んだことがあった

休み明け、授業は出たけどまだ本調子じゃないから
部活は休もうと思ったけど、
「遠征費集めてるから今日持って来て」とメールが来て、
お金用意して遅れたけど部活行った

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一応道具の準備はしてたので、
途中から参加しうしつて軽く体動かして皆と一緒に部室戻った
部室に戻ったら皆が騒然としてた
遠征費を集金してた子のロッカーから
数万円入った集金袋(某銀行のベージュの無料封筒)が消えたと、
その子が騒いでた
ロッカーにもカバンにも封筒が無い、
確かに今日の部活開始前にはあったのに、盗まれたんじゃないか、と
で、「今日部室に一人でいた人は誰か」となった
遅れて来た私だけ、だった

「ね?何かの間違いだよね?盗んだなんて思ってないから集金袋返して?」
「そうだよ、何か戻し忘れたとかだよね」
「○○(私)ってお金困ってたの?一人暮らしなんだっけ?みんな怒ってないよ」
とか皆に囲まれて言われた
完全に私が盗んだと皆心底思ってる様子で、
皆の目を見てると汗が出て、心臓が飛び出そうになった

勿論「私は盗んでない、お金がもう集まってるのも、
それをどこに置いてるかも知らなかった」と何度も言ったけど、
皆、ため息ついたり苛立ったリして、まるで信じられてなかった
一人だけ「お金置いた場所違うんじゃない?よく探した?
○○が盗んだなんて決めつけるの早いでしょ?」
と集金係の子に言ってくれたけど、
その他の子は聞いてもいない様子だった
汗は止まらなかった
その様子を皆が嫌そうに見てるのもわかった
今の今までチームスポーツに皆で打ち込む楽しい大好きな部活、
と思ってたのが一瞬で変貌したのがまだ消化できなかった

「明日には集めた遠征費で前売り切符買う予定だったのに」
と泣き出す集金係の子を皆が慰め、
「遅いから取りあえずもう今日は帰ろう」となった
「今日カバンを開けたりしないけどさ、
明日までにお金戻ってこないなら、大学か警察に話行くからね」とも言われた
「荷物探すなら探してよ」と私が言ったら、
「そう言うってことはもう別の場所に隠してるんじゃない」と笑われた

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そして集金係の子が着替えてロッカーの下から靴を出した時、声をあげた
ロッカーの靴入れるスペースの奥に、集金の封筒がペッタリと
貼り付くように落ちてたらしい
「嘘ー」と集金の子が泣き出した
そうしたら皆がワッと笑った
「そんなことだったのかー」
「ウッカリだねー」
「○○ごめーん」
と大笑いしながら言った

私は、うつむいて着替えてる途中だったんだけど、
その見つかった騒動と笑いながらの
ゴメンを聞いた直後に、自分のコートと荷物掴んで、
部室から飛び出した

その後顧問に退部届出して、一切の言葉も聞かずに退部した
その翌日、唯一私をかばってくれた子から、
「私も今日退部届出した。みんな部活やめたあなたを
『試合近いのに困る、人数足りなくなる、
あんなことで辞めるなんて』と怒ってた
皆がやったことなのに、あなたのせいにしてるのが心底腹が立った
だから私が決めて私の考えで辞めた。
あの時もっと強くあなたの味方をするべきだった。
皆の剣幕に押された弱い私でごめんなさい。
本当に本当にごめんなさい」
みたいなことを、授業で会った時に呼び止められて言われた

その子とは別の競技団体に一緒に移籍して、
卒業した今も連絡取り合う仲でいる
部は結局人数不足で試合に出場出来ず、
その責任を擦り付け合って内部トラブルが起き、
二年後人数不足で廃部になったと聞いた

ホントに味方がいて良かったです

部活辞めたしばらく後も、視界が暗くなるほど
みっちり囲まれて盗んだかと詰問されて心臓がバクバクする場面を、
何度も夢に見ました
そんな夢をまだ時々見るというのをある時その子につい漏らしたら、
涙を流して「辛かったよね、私もいたのにごめんね」と言われ、
その涙を見て以来、その夢を見ることは全く無くなりました

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