四十九日が過ぎたから書く
自分の兄とその妻だった人の話
農家の跡取りということで、なかなか結婚できなかった兄は、
知人の紹介で見合い結婚をした
相性は悪くなく、それなりに幸せそうだった
程なくして子供ができ、何事も無く出産が済んだが…
産院から退院後、婚家に戻ってきた妻は、
ベビーベッドに生まれたばかりの乳飲み子を置いて
家から出ていってしまった
双方の家族が心配し、手を尽くすが行方知らず
数日後、夫の元に署名された離婚届と結婚指輪が届き、
実家には他に好きな人ができたから離婚する、
子供はいらないとの電話が
結局元には戻らず、兄は父子家庭になってしまい、
激怒した両親は先方に一切当家とかかわるな、
生まれた子(孫)には接触するなと念書を取った
残された子は、兄と両親(爺と婆)、
私とその夫で慈しみながら育て、夏になれば2歳になる
ある日、元妻の両親から電話があり、
元妻が悲しい最期を迎えたことを知った
家を出る原因となった男は酷い奴で、働きもせず、
元妻を産後まもないうちからこき使い、気
に入らないとひどく暴力をふるった
金が尽きると実家に金の無心に何度も行かせ、
もらってきた金が少ないとまた暴力だった
元妻が病みやつれ、もう使えないと分かると、
元妻の実家の玄関先にゴミを捨てるように
放り出して置き去りにした
その後療養の甲斐なく、程なくして死んでしまったが、
今際の際に捨てた子に会いたいと泣いたが、
両親から何を今更と叱責され、後悔の涙の中死んでいったと…
馬鹿な女だ、妊娠中に出会い系にハマり、
知り合った男の甘言に騙され、
温かい家庭や母親としての喜びと引き換えにした物が、
貧困と暴力、後悔しかないなんて
加害者の農家の家族です
彼女の非業の死の原因は、私たちかもしれない
彼女が望むように海外で挙式をし、
望むように専業主婦になってもらい農作業、庭の草むしりさえもさせなかった
賃貸に住むのは嫌だ、同居も二世帯住宅も嫌だというから、
敷地の一角に4LDKの家も経て、間取りや内装も彼女の思うようにした
習い事がしたいというから通わせ、
新車が欲しいというから欲しがった車を新車で買った
妊娠すると体調が悪いので家事ができないというから、
食事は姑が作り、掃除はダスキンを頼んだ
食べたいものは食べさせ、欲しいものは好きなだけ買ってやっても、
彼女には不満で、婚家は針の筵だったのだろう…
兄は元妻に対して声を荒げることも無く、
何でも受け止めてきた
家を出る時に兄名義のキャッシュカード、
300万ほど入っていたのを持ち出したが、そのことは何も言わないでいた
私は嫌味な小姑と取られるのが嫌で、彼女が言うことは何でも従った
両親もせっかく来てくれたお嫁さんということで、大事に接してきたのに
それでも私たちは最悪な家族で、
彼女を死に追いやった一番の原因なのだと
こんなみっともない馬鹿げた話は誰にも話せない
知っているのは両親と兄、私たち夫婦と、
あちらの両親だけ
墓場まで持っていこうともっている
回りの人には、元妻は産後の肥立ちが悪く亡くなったとしか言っていない
元妻の葬儀も両親だけで行い、
葬儀後に病気で亡くなったとだけ親戚に伝えたらしい
元妻が死んだからと言って、忘れることはできない
残された子が何も知らず、だだ泣くしかできないのを見た時、
何とも言えない気持ちになったから
赤ん坊の世話はしたことが無いので、出産した産院に行き、
元妻が体調が悪くて育児ができないと嘘を言って、世話の仕方を習ってきた
必死に育て、やっと一息つけるかと思った矢先の、
最悪な知らせ
離婚の話し合いの席で、元妻の祖父が
「育てるのが面倒なら、孤児院にでもいれればいい」と言われ、
私たち家族はこの一家を完全に見限った
持ち出したキャッシュカードについても、
「300万ぐらいグズグズ言うな、手切れ金みたいなものだ」
と言い放つので、窃盗として警察に通報すると言ったら押し黙った
それでもウチが悪いと言われるのだろう、
元嫁が逃げてしまったのは事実なんだから
ここで吐き出せて、少しは楽になれたかもしれない…