横浜にあるキャバクラのヘアメイクをしていて、
その時聞いた話なんだ。
キャバクラで働く女の子(仮にAさん)におきた本当の話。
Aさんは20歳になったばかりで、大学に通いながら
キャバクラで働いてるという、よくいる女子大生キャバ嬢だった。
「最近、ウザイ客につきまとわれてるから、やめよっかな~」
よくある事だと思った。
お店の子達は、お店側(ボーイさん)でもお客でもないヘアメイクには、
話がしやすいようで、女の子の愚痴や相談ごとなどはよく聞いていた。
Aさんの話を聞くと、先輩キャバ嬢を指名してきている
社長さんの部下にAさんがついていて、
その人が粘着質なお客だということだった。
粘着質なお客はよくいるらしい。ただ、
「ありえないんだよ。」
とAさんは言っていた。
ボーイさんにも相談したそうだが、
自分が管理できないのが悪いと言われ、
真剣に聞いてもらえなかったそうだ。
それから2日くらい後。
Aさんが店長と言い争いながら、泣いているのを目撃した。
その後、メイクを直し、髪型をどうするか聞いている間も、
いつもの明るさもなく別人のようだった。
その時聞いた彼女の話によると。
2日前に家に帰ると、玄関のドアノブに袋がかかっていて、
その中に、男性の局部の写真とプーさんのぬいぐるみが入っていたそうだ。
そして、プーさんのぬいぐるみのおなかの辺りが裂けていて、
その中から精子らしい液体が流れ出ていたとのことだった。
直感的に、その粘着質のお客だと思ったとのことだった。
そして昨日、休みだったAさんは友達と買い物に行く約束をしていて、
駐車場に停めてあった車に乗ろうとすると、
また、同じ紙袋に、今度はAさんの下着が入っていたそうだ。
その下着の中に、ぐちゃぐちゃになったAさんの写真と、今
度は血まみれになったカミソリがはいっていたということだった。
「もうやめるから、これが最後になるかもね~」
Aさんのメイクをしたのはその日が最後だった。
次の日、自宅で自殺していたAさんを発見したのは、
新人のボーイさんだった。
出勤確認の電話に出ないAさんを心配した店長さんが、
そのボーイさんに寮まで迎えに行かせたところ、
ドアノブで首を吊ったAさんを発見したということだった。
身近でしかも、ほぼ毎日会っていた子が突然亡くなるのは、
なんともいえない感じだった。
葬式の後、店長さんから飲み会の席で
話を聞く機会があった。
店長さんが言うには、
そんな客はいなかったということだった。
そして、Aさんは時々ありもしない話をしていたそうだ。
「よくあることだよ…。」
といっていたのがとても印象的だった。
ただ、その1週後。
店長さんが逮捕された。
亡くなったAさんのお腹の中には店長さんとの子供ができていたそうだ。
店長さんには結婚を前提に交際してる人がいて、
Aさんとは子供の件で激しくもめて、どうしようもなく
絞殺してしまったとの事だった。
そして、怖くなって、自殺に見せかけて
誰かに発見してもらう。とっさに思いついた筋書きだったそうだ。
「よくあることだよ…」
店長さんが言っていたのを思い出すと、
涙があふれてくる。
それから、ぬいぐるみ、精液、カミソリ、血、写真、Aさんが話していた言葉には、
何かメッセージがあったんだなと今は思っている…。