朝 「朝日なんですけど、新聞どうですか?」 俺 「朝日は嫌いなんだ」 朝 「え、どういうことすか?」

6年ほど前、俺が大学3年生で一人暮らししてたころ、
朝日の勧誘が来たんだ
見た目俺と同じくらいの
若いヤンキー風の金髪ピアスなあんちゃんで、
少し不機嫌な顔しながら新聞薦めてきた


「朝日なんですけど、新聞どうですか?」

「もう読売取ってるからいらない。
それに朝日は嫌いなんだ。ごめんね」


「さっき勧誘した人も朝日嫌いだって言うんですよね。
新聞なんてどれも変わらないじゃないですか」

「情報は大して変わらないけどね。
コラムが嫌われてるんじゃないかな」

「え、どういうことすか?
意味わかんないでこれで説明してください」

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と言いながらポストに突っ込んだままの
読売新聞抜き取って俺に渡してきた
勧誘員は本紙もってないとはいえ、
本当に常識ねぇなと思いつつ真面目に対応

コラムとはなんなのか、
朝日はどういった事を書いてるのか説明


「で、朝日は日本嫌いで、
いつも日本批判ばかりしてるから嫌いなんだよ」

「俺だって嫌いですよこんな国!だって~~」


「君や朝日が日本を嫌うのは自由だけど、
俺は好きなの。
今だってコタツに入ってりゃ幸せだし、
宗教自由だから食事の前のお祈りは
いただきますの一言だけ。

女の子が一人で夜中ぶらつけるほど安全で、
簡単な怪我や病気は病院いっても3000円もしない。
居酒屋で一杯飲むの我慢すりゃ病院いけるんだぜ?

刺身も味噌汁も大好きだし、
母国の料理に飽きたらちょっと都会にでれば
どの国の料理だって食べられる。

へたな国だと
今みたいに こんな国! なんて言おうもんなら、
非国民ってことで居場所なくなるよ

で、話遮っちゃったけど、
君が日本嫌いなのはなぜ?」

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「・・・そういやなんで嫌いなんでしょうね。
今の話聞いてたら分からなくなっちゃった」

その後雑談(勧誘員始めたばっかりで~とか身の上話)
して帰っていった

案外素直なんだな~と思いつつ、
その後3ヶ月くらいしたころ


「こんちわーっす。
お久しぶりです!朝日の勧誘員です!」

「おお、久しぶり。
そろそろ慣れてきたから俺に勧誘再挑戦?」

「いえ、あの後3日くらいですぐ辞めました。
朝日が嫌われてるの再確認しましたよ
で、今国の役に立ちたいと思って大
検と国家二種の勉強してるんすよ」


「・・・それはまた随分唐突な・・・」


「日本の好きなところ考え始めたら
どんどん好きになっちゃって。
好きな国に住めてるってだけで今すげー幸せなんすよ!
田舎帰って本格的に勉強しようと思ったんで、
お別れの挨拶とお礼にと思って」

と、小包くれて(中身はお茶だった)去っていった。
当時の俺からしてみれば
よくある勧誘断りのための方便しただけの相手
それがなぜか、当時タメ口だったのがなぜか敬語、
不機嫌に見えた顔は超爽やかな笑顔

日本贔屓な外国人の話を聞いて和むことはよくあったが、
日本人相手でも和むもんだな

一度玄関先で小一時間話した程度の相手に、
お土産もって挨拶に来るなんて思ってもみなかった

それから若い感じの勧誘員には、
新聞だろうが教材だろうが宗教だろうが
真面目に対応するようになったよ

出来の悪い漫画みたいな話だが、全部マジ話

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