父「なぁ母さん、もうそろそろオレが『アレ』をかばわなくてもいいか? 」聞いてしまった、あの日の会話を…

その日父さんは、
いつものように母さんと激しい口ゲンカをしていた。
いつも自分のココロの中で、ひそかに思っていた。

「こんな親にぜってぇならねぇ。いつか出て行ってやる…。」

母さんは酒に狂って、むかしあの暖かい手でオレを包んで
くれた人とはまるで別人だった。
いつも小さいオレにボウリョクをふるい、
父さんはソレを止めていた。

でも聞いてしまった、あの日の会話を…。

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あんトキ、オレは母さんのさんざんなぐられ、
キレていつもより早く布団に入った。
眠れないなぁと思って、トイレにいったんだ。
「まだ起きてるのか」とか言われていつもみたいに
なぐられないように、そっとトイレに通じる廊下を歩いていた。
スグ右側には、母さんと父さんがいるリビングへ入るドア。

父さんの声が耳に入った。

「なぁ母さん、もうそろそろオレが『アレ』をかばわなくてもいいか?
 これ以上やっても家を飛び出さないと思うんだ。」

「もうちょっとやってくれない?『アレ』が完全に家を飛び出すまで。」

そのトキ初めて、自分はなんていわれてるか分かった。
もう人間としての扱いではない。

『アレ』

父さんと母さんのあのコトバだけが、
オレの頭を何回もよぎった。
出ていくもんか。
あの2人にずっとずっと迷惑をかけてやる。
タヒぬまでな

そんなトキ母さんは、
不倫してどっかいった。
オレにはあんまり感じなかった、母親と別れるのが。
理由なんてどーでもいい。とにかくオレは
徹底的に父さんを痛めつけられる。

父さんはもう白髪混じりで体もボロボロだった。
そんな父親をヘーキで買い物にいかせたり、
家の掃除をさせたりと完全にオレの召使になっていた。

そんな日々のなか、オレはパチスロに狂い、
お金がまったくなかったんだ。
どうにかしていい方法がないかと、探した。

そうだ!

ウチにはいい召使がいるではないか。
財産はまだもらってなかったな

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「おいクソジジイ金だせよ」
「…」
「なんとか言えよボケ!」
「出かけてくる…」

はぁ?といって「そのままタヒね」と呟いた。

その日、父さんは帰ってこなかった。

翌日、警察が家に来た。
水タヒ体が発見され、どうもオレの父親の体らしい。

見にいってみると、眠ったような父親の姿があった。

チッ、この手でコロそうと思ってたけど
自分でタヒにやがったか。

なんであのトキ、少しでも悲しみを感じなかったのだろう。
そんな自分を過去に戻ってコロしたい。

解剖をしたところ、胃の中から紙が出てきたらしい。
オレは狂って紙でも飲んだか、
と思って医師の話を聞いていた。

どうも、メッセージが書いてあるらしい。

「たった1人の息子へ

 私がお前にこんな扱いをされても当然だった。
 私はダメな父親だった。
 あの時、母さんはお前のコトをずっとなぐっていただろう?
 父さんはかばっていたのは、実は演技なんだ。」

 知ってらぁバカオヤジ

「お前には家を出ていってもらうつもりだった。
 なぜそんな事をしたのか、今でもわからないだろう?
 お前には、あの家がつらすぎると思った。
 私は母さんの言いなりになり、
 お前が家を出ていったら身元を捜して一緒に暮らそうと
 計画していたんだ。
 だが、その前に母さんは不倫し、
 お前には嫌われたままだった。
 しょうがない。全部私が悪いんだ。

 さっき言ってたお金の話、一生遊んでも使い切らないほどの
 お金を銀行に振り込んでおいたよ。
 お前にお詫びだ。お金でお詫びなんて、ますますだめな父さんだったな。
 本当に今まですまなかった。
 講座の番号は、父さんの誕生日だよ。わかるね。
 それでは、別の世界で待ってるね。
 元気に暮らして人の役にたちなさい。」

足から力がなくなり、警察にもたれかかった。
「ちょっとちょっと、どうしたんですか?」

その後、オレは父さんの墓にほとんどのお金をつぎこんだ。
ダメな父親で悪かっただと?
いつまでもお人よしすぎんだよ、アンタは。

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