姑「あんたの親、ろくでもないねっ(笑)」

結婚してすぐ義実家に同居することが決まっていた。
家具を運び込んでいたら
近所のおば様たちがわらわら集まってきて

「ここんちの奥さんはキツい人なのよ、大丈夫?」

と遠まわしに

「なんで同居なんかしちゃったの」

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みたいな意味のことを口々に言ってきた。
子供の頃から私は親に「おまえはワガママ」
「我慢がきかない」と言われてきたので
お姑さんは同居した途端豹変してしまうんだろうか、
私につとまるだろうかと怖気をふるった。

しかし同居してみたら、お姑さんは別に豹変しなかった。
声が大きくて言い方がキツくて一言多いだけで、
言ってることは正当だし一貫している。
たとえばお姑さんが「ここを掃除しておけ」と命じ、
私がそこを掃除する。
掃除のやり方がよくないとか、お姑さんの仕方と違うと叱られるが
次からその通りにすると「下手」とは言われるが、
もうやり方については叱られない。
だんだん上達していけば、叱られることもなくなる。

結婚して1年くらい経った頃、お姑さんとお茶を飲んでいて
「あんたは何言っても暖簾に腕押しで、
張り合いがないけど有り難いっちゃ有り難いね」

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と言われた。

「私もお義母さんは筋が通っているから有り難いです」

と返した。
そこからなんとなく昔話になって、
実家の母は言うことがコロコロ変わってやりにくかったという話をした。
同じく掃除の話にたとえると、
母に「ここを掃除しておけ」と命じられ、私がそこを掃除すると
七割~八割の確立であとで「そこを掃除しろなんて言ってない!」と母に怒られる。
「私は階段を拭いておけと言ったんだ!階段を拭くのが大変だから、
別の所を掃除して勘弁してもらおうとしたんだろう!
勝手なことをするな、バカ!」と言われる。
確かに母は「ここを掃除しろ」と言ったよ、と反論しても無駄。
さらに数日すると母の脳内でさらに話が変わり、
私はどこも掃除せず、無視して遊びに行ったことになっている。
もうちょと経つと「母を罵って、遊びに行った」ことに変わる。
このあたりで母が父に言いつけ、父が私を叱る。
いつもこんな感じだったんで、両親にはいつも
「我慢がきかないワガママ娘」と言われていた。
初めて義両親とうちの両親で顔合わせしたときも、
両親は私をメタクソに言っていた。

そのとき判明したことだけど、
お姑さんはお姑さん両親の話を聞いて
「こりゃひどい嫁が来る」と怖気をふるっていたらしい。
でも同居してみたら、無表情で不気味ではあったけど
なんでもハイハイやるんで
「それほどひどくないな」と思ったそうだ。
「お互い様でしたねー」と笑い合ったあと、
お姑さんがすごく明るい声で

「あんたの親、ろくでもないねっ(笑)」

と言った。
その瞬間、なんかすごーーーく嬉しかった。
今までうちの親が間違ってるとか、
親がろくでもないなんて言ってくれる人がいなかったから。
その日以来、お姑さんがすごく好きになった。
好きな気持ちが通じるらしく、向こうにも可愛がってもらえた。
夫の浮気で結局離婚しちゃったけど、お姑さんには今も感謝している。
そうでなかったら、離婚したら迷わず実家に戻ってまたウダウダやっていただろうから。

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