13歳で両親に捨てられて16でそろそろしのうかという時に出会ったのが今の妻

13歳で両親に捨てられて14から働き出して
学校にも通わずに16でそろそろ死のうかという時に出会ったのが今の妻
人の家の前に勝手に花なんか植えるもんだから
荒みに荒んでたこともあって、
せっせと植えた種を土ごとその子に蹴浴びせたのが始まりだった
俺は昼も夜も働いてて、朝方家に帰ると家の扉の前にちょこんと座ってんだよ
学校行ってねえのかと思ったけどその日も話しかけすらしないで押しのけて部屋に入った。
それが2、3日続いて流石にしびれを切らしてなんなんだと
話しかけてみたらニッッコニコでご飯作ろっか?と聞いてきた

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正直障害者か何かなんだろうなと思った
次来たら殺すぞみたいな事を言ってその日もその子を無視してた
翌日だったかいつだったか、猛烈に雨が降ってる日ですら
家の前で待ち構えていたんだが、無視し続けた
俺も1人で生きるのに精一杯だし他人なんて全部嫌いだったと思う
何よりその時は同情されるのが死ぬほど嫌で
こいつも俺のことを可哀想とでも思ってるんだろうなとしか考えてなかった
だけどそれでも家の前にいるその子に根負けして
遂に今回だけ飯を作ったら2度と近寄るなという条件付きで許したんだ

家に入ると自己紹介をされた、無視した
無視したんだが妻はそれでもニコニコしてて、
正直腹が立ってしょうがなかった
鞄から材料を取り出してせっせとご飯を作ってるのを
後ろから見てたんだが、食べるつもりも毛頭無かったんだ
それどころかひっくり返してやるつもりだった
それくらい当時は荒んでたし妻の事が嫌いだった
しばらくして簡単な朝飯が出来上がって、俺の前に並んだ
卵焼きとご飯と、簡単なスープ
ひっくり返してやるつもりが、何故か手に取って無言で1口食べてしまった

涙が止まらなくなってしまった
当時は色々な感情で訳が分からなくなってしまったんだと思う
誰かが自分の為にご飯を作ってくれるのも、
誰かと朝飯を一緒に食べるなんてことはもう無いし、
そうして独りで死んでいくんだとしか思っていなかった
どうしようも無くなっている時に、妻がそっと俺を抱き締めてくれたんだ
俺はしばらく泣き続けていたと思う
ようやく落ち着いた時に、当然だが相手のことが気になった
俺の家の前で花を植えてたのも来る日も来る日も家の前で
待ち続けていたのもこうして朝飯を作ってるのも
全く知らない人間がやってる訳だからそもそもおかしいんだよな

あれだけ無視し続けて何とも自分勝手だが妻について色々と聞いた
彼女は俺よりも小さい頃に両親を亡くして親戚に引き取られたものの、
引き取った親戚と両親が不仲だったのもあり疎まれていたらしい、
家にも帰ったり帰らなかったりで、学校には通っているらしいが
友達もいないしそれどころか周りから避けられているようだった
当時どころか今でも妻は変わり者だったし、
どこか掴みどころも無いので、そういう所が人を遠ざけたんだろうな

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なんで俺の周りをうろつくのかと聞くと
今でも時折思い出しては笑ってしまうんだが、
ニコニコ笑顔で「なんとなく!」と返ってきた
当時はそのまま殺してやるぐらいの勢いで切れかけたが、その前に妻が
「独りで死んでいく人なんて、居ないんだよ」と付け加えた
なんて言うのか、力が抜けたというか、ふっと何かの糸が切れた様な気がした
俺は何も言えなくなって座り込んでいたんだが、
妻は優しく俺の手を握って寄り添ってくれた。
その日はずっと寄り添ってくれていた

その日の夜、俺自身気持ちが渦巻いてどうすれば良いのか
分からなかったのと、仕事の時間も近づいていたので、
親も心配すんだろと妻を無理矢理追い出した。
明日も来るねと言って帰っていったんだが、正直俺は嬉しかったんだと思う
何も言わずに見送るだけだった

妻は本当に毎日来た。
毎日来て、飯を作っては掃除や家事をせっせとやって、
それが終わると俺の側に寄り添っては離れなかった。

そんな毎日が続くにつれて、少しずつ俺の失くしたものが埋まっていった
それまでの俺の人生に神様がくれた唯一の贈り物だと思う
妻と出会えたなら、それまでの俺の人生も、
意味があったんだろうなと今では思えるよ

半年も経つと俺は掴みどころのない妻に
悪戦苦闘しては屈託の無い笑顔に釣られて笑うようになった
今でも覚えているが、初めて俺の笑顔を見た時の妻は
それはもう滝のように泣きながら俺を抱き締めてたよ
それが数年続いて、俺は知り合いの会社に就職して、妻は高校を卒業した
卒業式で、妻をの卒業を祝ったのは俺だけだったが、
妻はいつもと変わらず満面の笑顔だった

就職して、荒みに荒んでいた俺が段々人と接するようになって、数年。
信じられない話だが、いつの間にか俺の周りには沢山の人がいた
本当に信じられない話だが
友人、同僚、先輩、後輩、趣味仲間
数え切れない程に沢山の人が俺を受け入れてくれていた
でも、いつも1番近くで俺に寄り添ってくれていたのは、他でもない妻だった

そして今から5年前、俺は妻と結婚した
プロポーズがこれまた笑い話になりそうなんだが、
家の近くの公園で俺が意を決して結婚しようと伝えたら、
妻は笑いながら

「靴飛ばしで勝てたら結婚してあげる!」

なんて抜かすんだよ
万が一本気かもしれないと思うと気が気じゃなくて、
せーのの合図でいい年になった俺はそれはもう
全力で靴吹っ飛ばしたら妻は横でにやにやしながらこっち見てんの
結局最初からOKだったんだけどどのくらい本気で
飛ばしてくれるかなと思ったらしい
ほんと敵わないよ

そうして去年、妻が妊娠した
両親がいない2人だし、いい両親になれるのか、
日々これから生まれる子供の話をしては頭を悩ませているが、
きっと大丈夫だと思う。
子供の名前は、俺と妻が初めて会った日、
妻が俺の家の前に植えた花の名前を付けた。
きっと妻に似た優しい子になってくれると思う。
きっと笑われてしまうけど、一生掛けても返しきれない愛情をありがとう。
愛してる。

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