旦那「イノシシが襲ってきたら、俺がちょっとでも抵抗して食い止めるから、 おまえ、振り向かずに全力で逃げろ」

旦那との馴れ初めです。

普通に大学の自然科学系サークルの
先輩後輩(旦那3年・わたし1年)で、
熊本・宮崎の山間部への夏合宿中の出来事です。

旦那をリーダーとする6名の班で
未舗装の林道を歩いていたところ、前方のヤブが
ガサゴソと動いて・・・・イノシシが出ました。
イノシシは20mくらいの距離でこっちを向いて止まり、わたしたちと
にらみ合う格好になりました。

わたしは真ん中くらいに位置していたのですが、皆がさりげなく
じりじりと後退していくのに、わたしだけ足が竦んで動けず
知らない間に最前線単独でイノシシを迎え撃つヒロイン・ポジに
なってしまっていました。
周囲に誰もいないと気づいた時の絶望感はもうなんというか・・・

と思ったら、旦那がいつの間にか横に立っていて、わたしの二の腕を
ぐっと掴み、小声で「平静を装って立ってろ。頑張れ」といってくれました。

最後尾にいた旦那は前から逃げてきた班員へ身振りで避難を指示しつつ
イノシシを刺激しないようにゆっくりと前進し、わたしを助けにきてくれたのです。

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旦那は私の前に進み出ると、イノシシから目を離さないままで、
「ゆっくり下がれ。襲ってきたら、俺がちょっとでも抵抗して食い止めるから、
おまえ、振り向かずに全力で逃げろ」
と指示しました。

そして三脚とハリバートンケースを手に身構えること数分?数十秒?
・・・イノシシは山裾へと消えていき、
後ろをウリ坊が5匹ほどちょこちょこと着いて行きました。

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「子連れ・・・マジでやばかったのかよ」と嘆息する旦那と涙目ですがりつくわたし。

そこへ逃げた皆も戻ってきてわたしを
置き去りにしたことを盛大に謝られました。
皆に怒る筋合いはないです。
わたしも他の人のことなど考えられませんでしたし
足が動いてたら真っ先に逃げてました。
旦那も「逃げる気持ちは分かるが、きみたち、もう少し頑張れ(笑)」
と皆を笑わせて
班の空気が悪くならずに済みました。

むしろわたしの動揺が激しいということで、
その日は行動中止して即座に逃げ帰ったため
予定が消化できなくなり、申し訳ない思いでした。
が、旦那は「また出るかも知れないし、中止はおまえのせいじゃない。
むしろ強行指示したら俺が馬鹿だわ」と笑いました。

これがきっかけです。
感謝と尊敬の気持ちがすぐに恋愛感情にかわりました。
それ以降のサークル活動では、部室で旦那をみつけるとあからさまに駆け寄り、
同じ班になるよう画策しました。旦那の好みそうな分野を集中的に勉強しました。

旦那は在学中にある資格を狙っていて勉強が忙しく、
サークルの中心というわけではなかったので
頑張ったわりになかなか進展しませんでしたが、サークルの先輩の皆さんが
旦那に「彼女のこと何とかしてあげて。
あんなに慕われてるのに」といって下さったらしく
イノシシ遭遇から3ヶ月くらい後に旦那から「ごめん。ただ感謝されてるだけだと思ってた」
「よかったらお付き合いをお願いします」といってもらえました。

わたしはその後、旦那の後追いで関連のある資格をとり(旦那と同じ資格は難しすぎたので)
今は机を並べて働けています。

特定されるとまずいので詳しくは書けませんが、
職場にはイノシシをモチーフにした「あるもの」が
で~んと飾ってあります。

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