近所の駐車場の人だかりに巻き込まれ、あっという間に大人の中に飲み込まれてしまった。 そして中にいた大きくて怖い顔をしたおじさんが手を差し出してきた

今日皿洗ってたらなぜか思い出したので書いてみる。

今アラフォーの私が小学校低学年だった頃の話。
学校帰り、その日はどうしてだったかいつも一緒の友達もいなく
ひとりてくてくと家路をたどっていると、
近所の商店の駐車場に人だかりができていた。
田舎町には物珍しい光景だったので、何をしているのか無性に知りたくなり
覗き込んでみようと思ったものの、人壁ができているので中が伺えない。

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駄目ならさっさと諦めて帰ればよかったものを、ぼやぼやしていたせいで
人だかりに巻き込まれ、私はあっという間に大人の中に飲み込まれてしまった。
そして中にいたのは、大きくて怖い顔をしたおじさんだった。
びびりまくっている小学生を見て、おじさんは一瞬おや、という顔をしたが
すぐに笑顔でこちらに向かって手を差し出してきた。

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私は逃げた。悲鳴をあげてなりふり構わず逃げた。
逃げ出す直前、おじさんの横にいた、これまた怖い顔の黒服のおじさんと
ばちっと目が合った。黒服のおじさんが
何か言いかける素振りをしたように見えた。
もう怖くて怖くて、約1kmの距離を走り通して家に逃げ込んだ。
家に入ってからもまだ怖かった。
あの黒服のおじさんはきっと追いかけてきたに違いない。
家を知られてしまったら、家族もきっと怖い目に遭う。どうしようどうしよう。
恐ろしくて親に言うこともできなかった。

後々、あの真ん中にいた強面のおじさんは時の総理大臣で
選挙のために地元で挨拶回りをしていたのだということを知った。
物知らずな小学生には充分な修羅場経験だったけれど
総理やSPの人たちもびっくりさせてしまってしまったことだろう。
あのときは本当に失礼致しました、と本人に言う機会もないけれど。

お察しの通り中曽根さんです。
父と親戚と学校の先生以外の成人男性に耐性がなかったから
余計怖かったのかも。
明らかに迷い込んできただけの子どもに神対応してくれたのに、お恥ずかしい。

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