アラフィフ婆の独り言。
婆が生まれ育った田舎町はある事業で数年だけすごく景気が良かった。
景気がよくなったら夫たちは車と女に注ぎ込むようになり、離婚が相次いだ。
現代みたいな、妻側が愛想をつかして離婚を言いだす形でなく
夫側からの一方的な離縁。
要するに新しい女ができたからお前はいらん出て行けというやつ。
今は親権は母有利だけど、当時は土地柄もあってか
経済力を持たない妻はほとんど親権養育権を却下され
身一つで追い出された。
というか裁判に頼ることを知らない人がほとんどだった。
夫側はすぐ新しい女と再婚し、後妻と子供を作った。
当然のように先妻の子をかわいがらない後妻ばっかりで、
私たちが十代の頃、町は「家にいづらい」
という理由でフラフラしてる継子だらけだった。
継子同士でくっついて子供できちゃったりしてDQNの生産地だった。
現在ババアの私もその継子の群れの一人。
毎日町を雨でも雪でもゾンビのように徘徊してた。
幸い(?)可愛くなかったから男の家に引っ張り込まれて妊娠なんてことにはならなかった。
高校にはなんとか行かせてもらえた。普通科じゃなかったけど。
とにかく卒業して就職して、県外に逃げた。
そして幾十年経過。
私たち継子ゾンビの親たちが揃って弱る年齢になった。
平均して70代後半だから糖尿だの動脈瘤だの
色々体に爆弾を抱え、介護要員を探しているらしい。
後妻と後妻の子はどうしたのか知らない。
でもどの親も一様に「頼れるのはお前だけ」と電話口で言う。
私が子供の頃も、頼れるのはお父さんだけだったよ。
家の中で血がつながってる人はお父さんだけだったからね。
でもお父さんは何もしてくれなかったよね。
「我慢しろ」「大人になれ」だけだったね。
お父さんも我慢すればいいよ。老化はしょうがないことだからね。
大人になって受け入れてね。
心の中でそう言って「忙しいから」と切る。
着拒はしない。父が哀れっぽくすがってくるのが気持ちいいから。
元継子ゾンビの4割くらいが私と同じようにして、
2割くらいははっちゃけて帰郷したそうだ。
父が死んだらすっきりするんだろうか?よくわからない。