伯父さんはハンザイ被害者遺族のカウンセリングをしている。『あの…うちの愛ちゃん、しりませんか?』

親戚の伯父さんから聞いた本当に悲しくて衝撃的な話です。
伯父さんは仕事柄、ハンザイ被害者の方々と会合したり
お宅に訪問し話をきいたりたりカウンセリングしていました。

その中でかなり昔、娘さんをコロされた夫妻の話です。
夫妻は小さなお弁当屋さんを営んでいて、
その日もせっせとお店で働く中年男性と女性数名が見えました。
伯父さんは仕事と言えども深い傷に触れる仕事は
やっぱり自身もつらい気持ちがあるから、
少しホッとしてお宅に上がらせてもらいました。

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愛想のいいオバチャンとオジチャンに挨拶し、
事の次第を話すと自宅奥に招かれました。
そこには、とても老けた七十代くらいに見えるお爺さん、
同じ年くらいのお婆さんが座っていました。
そして愛想のいいオバチャンが2人を紹介してきて、
やっと被害者のお父さんお母さんと分かった。
2人とも実年齢は五十代前半、でもすっかり老け込んでます。

オバチャンはお母さんの妹で事件後から弁当屋を変わりに切り盛りしているそう。
オバチャンに促されお母さんがたどたどしく挨拶し、
続けてお父さんも子供みたいな挨拶をした。
オバチャンから話を伺うってるうちに、
午後3時になり、急にお父さんが立ち上がった。

お父さんは伯父さんに、

『あの…うちの愛ちゃん、しりませんか?愛ちゃん、
今日は半ドンなのに帰ってこないんですよ。おかしいんです。』

と聞いてきた。
オバチャンが慌ててなだめてもお父さんは耳に入らないのか、
玄関にハダシで飛び出して『愛~?どこさいったのー?
お父ちゃん探してるよ。愛ちゃん、暗くなるよ?帰りなさい』と緩やかに道路に叫ぶ。

それを聞いたガリガリのお母さんはケラケラ乾いた声で笑い、

『うちのシト、おっかしいでしょ?
まあだ3時なのに娘さ探して駆け出してさ時期帰ってくんのに。』

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と遠い目をして言う。目は笑ってなかった。
伯父さんとオバチャンでどうにか家へ引き戻し、オバチャンが

『お兄さん、愛は愛はもう何年も前に死んでるでしょ?
だめだよ、駆け出して道路なんか出たら。お願い本当ヤメテ。』

と言うとお父さんはワーッと泣き出して

『うちの愛が死んだ?!嘘だよ!愛は死んでない。
父ちゃん行ってきますって朝ご飯食べて元気だったよ。』

死んでない死んでない!っと頭をかきむしって床に崩れて泣き叫ぶ。

『愛は赤ちゃんときから外が好きだったからね、
こうして何時間も外で遊んでるんですね。今どこだろね?』

とお母さんは伯父さんを見つめながら遠い目で言った。
伯父さんは胸が引き裂かれる思いでやりとりを見ていた。
気がつくと泣いてて、それを見たお母さんが

可愛らしいガーゼを差し出してきた。
涙をふかせてもらいオバチャンから色々話をきく。
お父さんはほぼ毎日定刻に娘を探しだし、
そして取り乱す、もしくは寝込んでしまう、
お母さんはもう現実を受け入れることすら出来ずにただひたすら待っている、
帰るものだと思っていて、あの日から時が止まったまんまだ。

毎日、毎日、毎日、娘があの日食べた朝ご飯のメニューを作って食卓を取り囲み、
後は1日中、娘を待つ。
お母さんは、娘が赤ん坊のときに肌身離さなかったガーゼを毎日何度も手洗いして干す。
お父さんは、ひとしきり騒ぐと赤ん坊のように指を加え空を見つめる。
これが被害者遺族の現状なんだと伯父さんは心を打ち砕かれた。
幾度かカウンセリングを行い

昨日が夫妻の命日だったから感情的になってしまった。
仮名だったりボカシたけど、伯父さんから聞いた衝撃実話です。

本当に被害者遺族の実状を知ったら殺人なんて起こらないよと、
泣きながら話してくれました。

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